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2006年07月12日
ライフプランニング 理論と実例 (伊藤宏一著、セールス手帖社保険FPS研究所刊)

『ライフプランニング 理論と事例』
千葉商科大学大学院教授・CFP 伊藤宏一著/セールス手帖社保険FPS研究所
(「インベストライフ」2006年7月号に掲載された岡本和久による書評)
インベストライフ誌の編集主幹、伊藤宏一さんが標掲の本をものされた。専門家向けの高度な内容でありながら、また、きわめて「親切」な本だ。全体は三章構成となっている。第一章はライフプラン・コンサルティングの理論、第二章がライフプラン・コンサルティングの事例である。第二章はさらに「ライフデザイン編」と「個別テーマ編」に分かれており、前者には37例、後者には14例が事例としてあげられている。そして第三章はライフプラン・コンサルティング資料として実践で即、応用できる資料が掲載されている。
しかし、筆者の面目躍如たる部分は「はじめに」と「あとがきに代えて」で強調されているポイントであろう。まず、氏が情熱を傾けて、それこそ、命をかけて取り組んでいる「ファイナンシャル・プランニング」の前提となるべき概念が明確にされている。いわく、「ファイナンシャル・プランナー(FP)は、人々のライフデザインを理解し、それを具体化したライフプランを実現するための経済的ソリューションを提案することによって、人々の幸福をサポートする専門的職業である」。FPは人々が幸福になるためのサポートをすることが本質であることが高らかに謳われている。そしてそれが本書を通して通奏低音のごとく流れているテーマである。本書の題名が「ライフプランニング」となっているのもうなずけるというものである。
ライフデザインに基盤を置き、人々を幸福にするためには、単に法律・制度・商品知識や業務上の能力に豊富なだけでは不十分である。そこで必要なものは、人々の人生のライフデザインに共感し、それを理解する文学的・芸術的感性を持ち、顧客本位の立場をとり守秘義務を守る高い品性と道徳性などを含む包括的・総合的な能力が必要とされる。それはそのまま人格を磨くこと、人間としてより良い生き方をするということがFPの必要条件であるとの指摘がされている。
筆者は現在、日本CFA協会の会長を務めている。CFA、チャータード・ファイナンシャル・アナリストというのはグローバルな証券アナリスト資格である。ベンジャミン・グレアムが発起人となって作られたこの資格は1962年からの歴史を持ち、現在、各国にあるローカルなアナリスト資格のモデルになっている。全世界で同日、英語で同じ内容の試験が行われ、同じ基準で合否が決まる。それゆえ全世界どこでも通用するグローバル・パスポートと言われる。また、その学習内容についても常に最先端を走っている。しかし、なによりも大切なことはそのプロフェショナル性であると思う。プロフェショナルであるということは共通の知識を持つことにとどまらず、共通の倫理観と行動規範を持ち、それを実行することである。我々は所属する会社の社員である前に、まず、プロとしてのCFAなのである。
伊藤さんがいま、夢を実現しつつある本当の意味でのFPも、同様のプロフェショナルとしての誇りに裏打ちされたものではないかと思う。年功序列、終身雇用が前提であった日本の社会においてはプロであることはあくまで企業に所属することで意味を持つものであった。しかし、その構造が崩壊しつつあるのはご存知の通りだ。しかるにプロ意識はその構造変化に十分、対応しているとはいえない。それが昨今、問題になっている一級建築士の問題であり、公認会計士の問題の背景なのであろう。すべてプロ意識の欠如に原因があるのだ。伊藤さんがFPに対してこの点を強調していることの意味は大きい。
専門知識を学ぶための教科書はいくらでも世の中ででまわっている。しかし、このようなきちんとした「拠って立つ」ところを持った本は少ないのではないかと思う。まさに「哲学者」、伊藤宏一にしてはじめて著すことのできた本ではないかと思う。筆者はFPではない。あくまで証券分析と資産運用を専門分野とする人間である。しかし、FP業界でこのような質的進化が起こっていることは喜ばしいと思う。と、同時に、証券分析・資産運用においてもますます、腕を磨き、質の高い仕事をしていかなければならないと痛感させる書物であった。一読をお勧めする。
投稿者 岡本和久 : 2006年07月12日 17:02
コメント
はじめまして
澤上さんと伊藤さんの「自分の年金は自分でつくる!」
の本を読ませていただきました、一投資家です。
考え方に共感し、もっと勉強したいと考えています。
「ライフプランニング理論と事例」を購入したいのですが
ネット本屋では見つかりませんでした。
購入先を教えてください。
投稿者 木下裕治 : 2006年08月06日 06:29


