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2007年08月29日
岡本和久のI-OWA日記 2007年8月29日
ファンド情報
格付投資情報センターが発刊している金融窓版と運用商品の専門誌、「ファンド情報」8月27日号の「インサイト」というコーナーに私の記事がでています。タイトルは「年金運用革命から個人運用革命へ」です。
私が年金運用に従事していた1990年から2005年という時代は年金運用の革命期でした。つまり、基金が自分で運用方針を決め、資産配分を作り、ベストのマネジャーを選ぶようになったのです。私は同じことがこれから個人運用の世界で起こるだろうと考えています。投資家がみずから「司令塔」になるのです。これは、まさにインベストライフなどで提唱している「自立」です。
私の年金運用での経験と、これから個人投資家に起こる変化について1ページにまとめました。チャンスがあったらご覧ください。
発行者に確認したところ文章自体の著作権は私にあるので、文章を掲載することは構わないとのことですので、本文を以下、紹介します。
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■インサイト
年金運用革命から個人運用革命へ
私は1992年から2005年までの13年間にわたり外資系投資顧問会社で年金運用に従事してきた。この間、日本の年金は非常に苦しい時代であった。ひとつは制度疲労の問題、もうひとつは運用上の問題であった。前者については、まだ、解決のめどがたったとは言いがたい。しかし、後者については年金運用革命とも言える大変革が行なわれた。
90年代の初め、企業年金の運用はほとんど、系列、株式持合いなどで母体企業と関係の深い信託銀行、生命保険会社、投資顧問会社に資金を任せ、各社がそれぞれの相場観で運用を行っていた。その結果、基金全体としてみると、みずから望む資産配分とはほど遠いものとなっていたのみならず、重複売買なども多く、きわめてコスト高の体質となっていた。制度的にも、安全資産、株式、外貨建資産、不動産の配分を5-3-3-2と定めていた規則があり、基金全体と運用機関ごとにこの資産配分を守らされていた。
90年代半ば以降、加速的に規制が緩和された。運用機関の採用に自由度が増し、5-3-3-2規制、簿価評価などが撤廃された。これは、運用機関への「お任せ」運用からみずからが司令塔になるプロセスであった。その結果、自分に合ったアセット・アロケーションを決め、それぞれの資産クラスごとにベストの運用機関を採用するようになったのだ。この変化に対応し、従来のバランス型マネジャーは特化型マネジャーにとって代わられ、基金のポートフォリオもコアとサテライトに分割され管理するケースが増えてきた。こうして、私が投資顧問会社の社長を退任したときには日本の年金運用体制はほぼ、海外と遜色のない水準にまで到達した。
さて、個人投資家の話である。団塊の世代が定年退職の時期を迎え、その退職金をどうすべきか迷っている人が多い。投資信託などへ資金が流入しているわけだが、ほとんどの場合、証券会社や銀行などの営業マンに進められたというケースが多い。基礎的な知識もほとんどなく、ただ、「上がりそう」、「儲かりそう」というイメージで買ってしまっているように見受けられる。そして、儲かれば、売却。儲けはお楽しみに使い、次の投資信託に賭けてみる。その繰り返しなのである。毎回、うまく行けばよいのだが、世の中それほど甘くはない。自然に値下がり銘柄が増えてゆき、それが個人の「塩漬け」ポートフォリオになる。
いま、大切なのは個人が自分の資産運用の「司令塔」になることだ。パフォーマンスのほとんどを決めるという資産配分を選択し、それぞれの資産クラスごとにベストの投資信託を買いつける。決して「上がりそう」だから買うのではない。エクスポージャーを持つために保有するのである。このような変化は、かつて年金基金が体験したと類似している。つまり、年金運用革命がこれから個人の運用革命へと広がってゆくのだ。「株価を売ったり、買ったりする」というメンタリティーから脱却して、価値を創造してゆく「企業を保有してゆく」という長期投資への転換が起こる。これは合理性への道であるといえよう。
そのためには投資家みずから投資に関する知識を持つことが必要である。別に難しい理論を学べというわけではない。我々がコンビニで買い物をするとき、まず、何を買うのかが決まっていて、それぞれの商品についてある程度の知識があり、最終的に値段との折り合いで商品を選ぶ。その程度の投資のプロセスと基礎知識が必要なのだ。
投資教育ということが言われて久しいが、どうも株価ゲームに焦点が当たりすぎているように思う。そんなことより、もっと生活に密着した、生活の一部として世の中のおカネの流れを理解し、自分のおカネをどのように役立ててゆくかを考える、のんびりした投資の知識が普及することを願ってやまないのである。
投稿者 岡本和久 : 2007年08月29日 13:11
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