クローゼット・インデックスにご用心

2011年2月20日 11:55

投資信託などの資産の運用には、アクティブ運用とインデックス(またはパッシブ)運用と呼ばれる二つがあります。アクティブ運用というのは、例えば、日本株市場全体の動きを表す「ベンチマーク」を最初に決めておき、それを上回るように努力する運用です。例えば東証株価指数(TOPIX)をベンチマークに選定したなら、そのパフォーマンスを上回る成績をあげることを目指すのです。これとは逆にインデックス運用は最初からベンチマークを上回る成績は狙わずに、ベンチマーク通りのパフォーマンスを狙います。

アクティブ運用でベンチマークに代表される市場以上のパフォーマンスを狙うのであれば、当然、市場のなかの「市場よりも高いパフォーマンスが期待できる銘柄」を選ぶことになります。インデックス運用は市場の一部を買うのではなく全体を買付け保有します。アクティブ運用は当然、高いパフォーマンスを狙うので運用のコストも高くつきます。売買を繰り返すことになるし、また、調査部門などのコストも膨大です。インデックス運用は反対にコストは非常に安くすみます。

さて、ここからが今日の本題です。一例をあげます。ある証券会社から、日本株アクティブ型の投資信託を勧められたとしましょう。話を聞くと面白そうなので少し買ってみます。別の証券会社からも、別の日本株アクティブ型投信の話が持ち込まれます。これも面白そう。そこでまた、買ってみます。さらに、別の銀行からも話がきて、別の日本株アクティブ投信を買います。こうして、数種類のアクティブ投信を保有している方も多いと思います。

でも、これらの投信を全部ひとまとめにしてみると、実は限りなく市場全体を買っているのと同じになっていることが多いのです。しかも、みんな、アクティブ型ですからとてもコストが高い。結果として、非常にコスト高のインデックス型投信を持っているということになってしまうのです。それなら、最初から、安いインデックス型投信を一本だけ持っていればよかったということになります。

このように、さまざまなアクティブ型投信を貯め込んで、結果としてコスト高のインデックス・ポートフォリオになってしまっている状態を「クローゼット・インデックス」と言います。つまり、クローゼットにどんどん荷物を押しこんでいったらすべてがごちゃごちゃになっているイメージです。「クローゼット・インデックス」というのは年金運用で使われる用語ですが、個人投資家も十分に気を付けるべき点だと思います。

この記事は岡本和久のブログを加筆修正したものです。

2011年2月20日 11:55 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

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