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資産運用「気づきのタネ」(61)資産運用、失敗への三段階と薬

2012年1月28日 10:08

資産運用、失敗への三段階と薬


インドの伝統医学、アーユルヴェーダの日本における第一人者で私もお世話になっている蓮村誠先生がFacebook上に以下のようなコメントを掲載されました。

①人が間違った行為をしている時、それには3つの段階があります。一つ目は単なる勘違いや思い込み。これは正しい知識を持つ事で訂正できます。例えは健康に良いと思い込んで水を毎日2リットル飲んでいる人が、実は身体を冷やすので良くないと知ればやめる事ができます。

②2つ目は1つ目の状態が進行し正しい知識を持っても間違いを訂正できない段階。例えは過食症。食べ過ぎている事を分かっているのにやめられない、身体に良くないと知りながら食べ続けてしまいます。過食後に嘔吐するのは食べ過ぎが良くないと分かっているからです。 

③3つ目はさらに進行した段階で、もはや自分の間違いに気づく事ができません。嘔吐する事もなく過食を続け、やがて肥満、高血圧、糖尿病などの病気になってしまいます。では何故人は間違ったことをするのでしょうか? 人である限り間違える事は仕方がないのでしょうか?

このコメントに触発されて人生を通じての資産運用における「失敗への三段階」について書いてみます。

① 投資も資産運用も何も知らず、また、知ろうともしない。将来の自分はいまの自分が支えるという発想もない。「投資は危ない」、「博打だ」と思って、ただ、銀行預金だけしていればよいと思っている。しかし、あるとき、友人が株、投信、FXなどで大儲けをしたと聞くと突然、投機をはじめ大損をする。そして、二度と投資(実は投機)などするものかと思う。

そのような人に必要なのは投資教育です。基本的な知識が身についてくると資産運用の必要性と、どのようにすれば安定的に資産を形成できるかがわかってきます。金融資産全体の配分を重視する、リスクを管理する、コストに注意するなどです。投資教育によってカオスから少しずつ行動が秩序だってきます。

 ② 知識に基づいて投資をしているうちに短期的な暴落などが起こります。それはよく起こることだとは頭では分かっていてもやはり心配になります。恐怖という敵が攻撃してくるのです。もしかしたら、大変なことになるのではないか、資産運用などしなければよかったのではないか・・・と怯えてしまうのです。そして、せっかく始めた「人生を通じての」資産運用を途中でやめてしまうのです。

この段階で必要なのがファイナンシャル・ヒーリングです。心に生まれるストレスを癒してあげる。理論と体験に基づいたアドバイスによって長期投資の長旅を支えてあげることでこの段階の失敗を避けることができます。

③ 資産運用に慣れてくると次の敵がやってきます。欲望という敵です。このときの行動は二通りに分かれます。一つは理論通りにやっているのだが、どうもパフォーマンスが「かったるい」。もっと早く、もっとたくさん儲かるのではないか。そこで理論を無視して投機に走ります。もう一つのタイプは理論を過信するタイプです。高度な数学・統計学と高性能のコンピュータなどを使って人を出し抜こうとします。でも、結局、両方とも「ゼロサム-コスト=マイナス・サム」の世界での勝負です。これらは長期で見ればうまくいきません。たまたま幸運に恵まれ、うまくいったのを自分の実力だと思ってしまうのです。

ここで必要なのが「急がない、欲張らない、争わない、考えすぎない」という私が提唱する「リラックス投資」です。

蓮村先生の三段階とは少し違うかもしれませんが、人生を通じての資産運用では三つの敵と戦う必要があります。三つの敵とは、無知、恐怖、欲望です。そして、それらに対する薬が投資教育、ファイナンシャル・ヒーリング、リラックス投資なのです。

資産運用「気づきのタネ」(61)資産運用、失敗への三段階と薬

資産運用「気づきのタネ」(60)もっと配当金を注目しよう

2012年1月18日 14:18

もっと配当金を注目しよう


株主は株式の発行企業に対して色々が権利を持っています。例えば、株主総会に出席して議決に参加する権利、万一、会社が解散することになった場合、残った財産を請求する権利などです。そのなかでも一番、直接的に重要なのが利益の一部を配当金としてもらえる権利です。ある意味、株主と株式の発行会社の間の「絆」となっているのが配当なのです。

株式の価値は未来永劫にわたって支払われる配当金の現在価値の合計であるとされます。つまり、今年、来年、再来年、さらに10年先、100年先の配当金それぞれが、現在、どれぐらいの価値を持っているかを計算して、それを合計したものが現在の株価だということです。

もちろん、100年先と言わずとも、5年先でも、10年先でも配当金や、配当金の原資になる利益の予測は非常に難しいものです。また、それは投資家それぞれの判断によって異なります。そこで、ある人は「この株が1000円なら安い」と思い、別の人は「1000円では高い」と判断し、その結果、取引が成立しているのです。

配当金の流列が現在の株価を決める。だから、配当金の原資である利益が重要である。流通市場で毎日、乱高下している株価は、将来の配当金に対する投資家ひとりずつの見通しが変化している結果なのです。企業と株主を結びつける「絆」が配当金です。長期投資のグル、ジェレミー・シーゲル氏はこんなことを言っています。

「経営陣がつねに、あくまで株主の利益のために行動するというなら、配当は重要ではない。だがそうではない大多数の企業では、決定的に重要となる。株主と経営陣との間に信頼関係が築かれ、収益に関する経営陣の発言が裏付けられるからだ。・・(略)・・配当がなくてはならないほど重要なのは、それが信頼の印となるからだ。」

企業が会計操作や不正行為などをしていたとしても一般投資家はなかなかそれを知る術がありません。しかし、株主のための配当を払ってくれるということは一番、確かな事実として株主と企業を結び付けています。

多くの投資家が株価ばかりを注目して配当を忘れがちです。でも、上記のような理由で配当は本当に重要です。さらに、配当を再投資することの効果も見逃せません。景気が悪くなり株価が下がり、配当も減ることは良くあることですが、普通は株価の下落率よりも配当の下落率は小さいのです。その結果、もらった配当金でそのときの株価で再投資をすると積み立て投資と同じような効果を得ることができます。これを続けていれば持ち株の配当利回りを向上していくことが可能です。

前述のシーゲル氏の試算によると、「1871年から2003年にかけて、インフレ調整ベースで、株式の累積リターンの97%は、配当再投資が生み出してきた。値上り益が生み出した部分は3%にすぎない」ということです。配当金はもっと重視されることが市場の活性化にも必要なのではないかと思います。
 

資産運用「気づきのタネ」(60)もっと配当金を注目しよう

資産運用「気づきのタネ」(59)「投資教育家」と「ファイナンシャル・ヒーラー」

2012年1月11日 14:15

ベンジャミン・グレアムの名著、「賢明なる投資家」の序文でウォレン・バフェットが次のように言っています。

生涯を通じての投資で成功するためには、知能指数がずば抜けて高い必要もなければ人並み外れた洞察力を持つことも、内部情報に通じている必要もありません。必要なのは、意思決定のための適切かつ知的なフレームワークと、それを働かせないような力から感情を一定に保つことができる能力です。

私はかねてから自分の天職は「投資教育家」であり、同時で「ファイナンシャル・ヒーラー」であると考えています。

バフェットのいう「 意思決定のための適切かつ知的なフレームワーク 」をそれほど知識も経験も時間もない一般生活者のために提供するのが「投資教育家」としての私の仕事です。投資を始めるためには決して難しい知識や長い経験は要りません。本当に基礎的なことをいくつか知っておけばよいのです。しかし、また、それを知らずに投資をするとひどいことになる恐れがあります。そして、投資の世界は奥が深いものです。少しずつ投資に習熟してきて、興味が湧いてくるのであれば、さらにステップアップしていけばいいのです。

そして、バフェットの言葉にある「感情を一定に保つことができる」ようにするのが、 「ファイナンシャル・ヒーラー」の仕事です。人生を通じての資産運用は孤独な長旅です。途中は晴天の日ばかりではありません。むしろ、その晴天の日は少ないといってもいいでしょう。金融危機、バブル崩壊、自然災害、インフレやデフレ、戦争、その他諸々の色々なことが怒ります。それにマーケットは日々、反応します。特に短期的には極端な動きをすることが多いのです。それが心の中にストレスを生みます。そして、そのストレスから逃れるために長期投資をやめてしまう人も多いのです。そうならないように、「こういうことも時々あるんだ、安心して自分の定めた道を歩み続ければいいんだ」という「癒し」を与える、それがファイナンシャル・ヒーラーとしての私の仕事です。

投資教育とファイナンシャル・ヒーリングは長期投資に不可欠な車の両輪です。微力ながら私の仕事によって、少しでも多くの人々が将来の経済的独立を勝ち取り、金融面の束縛から解放されることを心から願っています。

 

 

資産運用「気づきのタネ」(59)「投資教育家」と「ファイナンシャル・ヒーラー」

資産運用「気付きのタネ」(58)長期投資は視座を高く持とう

2011年12月18日 09:16

長期投資は視座を高く持とう


10年間の長期投資をするのであれば、少なくとも20年は続く大きな潮流に乗っていなければなりません。

なぜなら、もし、10年の投資で10年の潮流に賭けて投資をしていたなら、投資期間を終えて資産を売却しようとするときに、潮流が終わってしまっているからです。その場合は当然、その資産の評価は下がってしまっている可能性が高く、せっかく長期間投資をしてきても満足のゆくリターンを得にくいからです。

もし、30歳代の人が30年後の退職資金を形成するために投資をするのであれば、当然、50~60年は続くトレンドに投資をする必要があります。そのような長いトレンドを考えるのであれば、当然、より幅広い視野とより長期の視点が必要です。ちまちまとした毎日起こる出来事はアワのようなものです。アワではなく潮流を見ることが必要です。

個別銘柄はどうなるかわかりません。大成功する企業もあるでしょう。また、立派な企業と思われていても倒産や廃業になってしまう例も枚挙にいとまがありません。国にしても同じです。60年代、日本は奇跡の成長を遂げました。70年代、80年代、日本は光り輝いていました。でも、いまは問題山積で悩み苦しんでいます。永遠の成長産業だと思われた半導体産業もいまはすっかりコモディティ化してしまいました。やはりすばらしい成長を遂げたVTR(ビデオ・テープ・レコーダー)はいまやDVDやブルーレイに取った代わられてしまいました。

それでは何十年も続くトレンドとはいったい何なのでしょう。例えば、地球全体の人口増加は確実に起こるでしょう。その人口増加は現在、貧困に悩む国々で起こります。グローバル化は人類が誕生して以来の長い、長い潮流です。情報化も同様です。これらは地球経済のフラット化をもたらすでしょう。それが貧困地域の人口増加に対する答えでもあるでしょう。しかし、エネルギー問題、水、食料の問題も深刻化するでしょうし、環境問題も大きな課題です。

結局、地球経済全体を買う、そして、目先のことではなく非常に長いメガトレンドに基づいた投資をするというのが答えです。私はそれがグローバルなインデックス投資だと考えています。

長期投資には高い視座が必要です。年末、年始、高い視座を持って地球の行く末を考え自分の長期投資に反映させるのも面白いと思います。

資産運用「気付きのタネ」(58)長期投資は視座を高く持とう

資産運用「気づきのタネ」(57)靴下を買うように株を買おう

2011年12月 2日 09:24

靴下を買うように株を買おう


アメリカに「靴下(ソックス)を買うように株(ストックス)を買おう」ということわざがあります。SocksとStocksというたった一文字、「t」が入るか入らないかで購買行動が大きく変わります。

靴下を買うときは安くなれば安くなるほどみんな喜んで買います。

でも、株式の場合は逆で、高くなるほどみんな喜んで買い、安くなると誰も見向きもしなくなるのです。

縦軸に価格、横軸に数量をとると、靴下の場合は右肩下がり、株式の場合は右肩上がりの線になるのです。

DemandCurve001.jpg

本当は誰でも株は安く買いたいと思っているはずです。では、なぜ、安くなっているときに買わないのでしょう。
それは、もっと安くなるかも知れないと思うからです。下がっているのだから損をするかも知れないという恐れを持つのでしょう。

でも、多くの人はどん底では買えないことを知っています。だから、買う必要のある人も、「まあ、上がりだしたら買えばいい」と考えるのでしょう。しかし、また、上がりだしたら、今度は、「あんなに安かったのに」という安値覚えにとらわれてします。今度、下がったら買おうと思う。みんながそう思っているからなかなか下がらないということになるのです。つまり、少しでも安く買いたいという欲望が邪魔をして行動が取れないのです。

いま、1年もの定期預金金利は0.2~0.3%あれば恩の字でしょう。10年物の国債だって1%です。東証1部の株式利回りは2%以上です。その意味では、値下がりを待って銀行におカネを寝かせておくと、この株式の利回り分だけは損をしているのです。しかも、株価はいま一株当り株主資本を下回った水準にあります。

値下がりをしたらそこで買おうと思ってもなかなかうまくいくものではない。少しずつでも積み立てのつもりで投資をしておくべき時期ではないかと思います。
 

 

 

資産運用「気づきのタネ」(57)靴下を買うように株を買おう

資産運用「気づきのタネ」(56)わからないものです

2011年11月19日 13:48

 わからないものです


オリンパスの事件は私も本当に驚きました。「とばし」などという90年代にはやった言葉が突然、亡霊のように現れた感じです。内視鏡で世界に冠たるシェアを持ち、そして、カメラ・メーカーとしても多くのファンを持っているその会社が、しかも、90年代からという長きにわたって不正行為を行っていた。

その少し前には大王製紙の問題。エリエールという我々の生活にも深く浸透している製品を作っている会社。しかも、問題になっている元会長は東大法学部卒の超インテリ(のはず)。それが巨額の資金をラスベガスですって、その穴埋めを会社の資金でしていた。

もちろん、真相解明はこれからの調査を待たなければなりませんが、とにかく困ったものです。さらには、東日本大震災に端を発した東電の原発問題もありましたし、不正行為ではなくともJALの経営破たんもありました。

そんなことをアメリカ人の友人と話していたら、「それは日本だけの問題じゃあないよ」とのこと。確かにGMが倒産したり、エンロンの不正会計による倒産など、数え上げればきりがありません。

そして、このような事件が起こるたびに株主は自己責任とはいいながら大きな損失を被っています。

このような事件は未然にはわからないものです。

オリンパスにしても欧米の名だたる機関投資家が詳細な分析と会社訪問などをして買いを決め、そして保有していたのです。しかし、彼らと言えども裏で行われていることがわからなかった。まして、個人投資家の我々はまず、情報を事前にキャッチするなど不可能です。

では、どうしたらいいのか。

結局、各銘柄の保有額を、大事件が起こり、株価が大幅に下げても大丈夫なぐらいにとどめておくということしかないのでしょう。人生を通じた資産運用のためには株式は保有せざるを得ない資産クラスです。だからこそ、十分に分散されたポートフォリオが必要なのです。しかも、日本だけではなく、世界に分散しておく必要があります。つまり、グローバルなインデックス・ポートフォリオに投資をしておくというのが答です。。

たしかに、インデックス・ポートフォリオにはオリンパスだって大王製紙だって入っていたでしょう。でも、それが大幅安しても全体に対する影響は限定的です。まして、グローバルなポートフォリオだったらダメージは微々たるものです。自然災害、事故、テロ、企業の不正行為等々、これからも世界中で不測の事態はしょっちゅう起こることだと思います。株式ポートフォリオをグローバルなインデックス運用にしておくのはその点では安心できる戦略です。「大きく儲ける」発想ではなく、「大きく負けない」運用が重要な時代なのです。

 

資産運用「気づきのタネ」(56)わからないものです

資産運用「気づきのタネ」(55)マルチョイと投資

2011年10月30日 09:39

 マルチョイと投資


私は人生を通じての資産運用の方法を啓蒙する活動をしています。しかし、「方法論」はお教えしますが、何を買うべきかということはお話しません。それはそれぞれの方が考えるべきことだからです。

ところが、投資セミナーなどに来られる多くの方が求めるのは、「難しい話はともかく、要するに何を買えばいいのですか?」ということが多いのです。私のセミナーでも口では言わなくても、「きっと本音はそうなんだろうなあ」と思うことがしばしばあります。

今年、残念なことに逝去された三原淳雄さんからこんな話を聞いたことがあります。三原さんがアメリカに住んでおられたころ、子供さんは現地の中学校に行っていたそうです。そのときの試験問題が「清教徒たちはなぜアメリカに渡ってきたのかその理由を書きなさい」という論文形式のものだったそうです。日本に帰ってきて学校ででた試験は「清教徒がアメリカに渡ってきたのは何年ですか」というものだったとおっしゃていました。

いま、日本の試験はマルティプルチョイス(マルチョイ)形式のものが多いと聞きます。マルチョイでは、解答の選択肢が三つとか、四つ与えられます。受験者はそのひとつずつを検討してマルかバツかを考えていきます。そして、最終的に「これが一番、正解の確率が高いだろう」と思うものを選択します。

子供の頃からそのようなやり方で試験を受けてきた人たちは、解答の候補をいくつか与えられ、そのひとつずつに自分なりの判断を加えて最後に正解をひとつ選ぶことに慣れているのです。しかも、かならず唯一の絶対的に正しい答えがあると信じている。そして、それ以外のものはすべて間違いだということになります。

これは投資ではありえないことです。投資では、まず、選択肢は自分のニーズに合わせて考えなければならない。しかも、絶対的な正解はなく、すべて不確実性を内包しています。そのリスクをどのようにコントロールするか、バランスを取りながら自分に適した答えを作りだすことが必要なのです。その方法が資産配分であり、分散投資なのです。

確定拠出型(DC)プランのメニューでも、どれが一番上がりそうかという視点から商品を選んでしまう。それが上がったら(あるいは下がってしまったら)次の商品をメニューから選ぶ。ポートフォリオという発想が希薄なのです。

学校での試験形式を変えるのは大切なことですが、私個人がそのために時間を使うのはムダだと思っています。でも、若い人たちに正しい投資を通じて、マルチョイとは違う世界があるということを啓蒙していくことは少しはできると思っています。ある意味、本当の投資教育はそこから始まるのではないでしょうか。

資産運用「気づきのタネ」(55)マルチョイと投資

資産運用「気づきのタネ」(54)「休むも相場」は長期投資の楽しみ

2011年10月21日 14:20

 「休むも相場」は長期投資の楽しみ


  「休むも相場」、これは個人投資家が持つ最大の強みのひとつです。機関投資家はそうは行きません。「環境が悪いから休んでいました」というのは運用報酬をもらっているプロには通らない話です。だから、無理をしてでも激流のなかに飛び込まざるを得ないのです。そして、短期の勝負に明け暮れて結局、パフォーマンスも上がらず、個人的にもストレスが貯まるばかりになってしまうのです。

伝説の投資家、ジョン・テンプルトン卿は、1969年、あまりに雑音の多いニューヨークを後にして、英領バハマに居を移しました。その理由を彼は「神が私に与えた投資の分野での才能を生かすことこそ自分の使命である。だから、情報と雑事を離れる必要があるのだ」と述べています。そして、晩年には投資で成功するためには、「祈ること」、「雑事を離れること」、「富を人々と分かち合うこと」が大切であるとしています。

テンプルトン卿が偉大なのは、プロの世界で戦いつつ、このようなことを実行できたところにあります。バフェットなども同じようなことがいえると思います。

 相場が難しくなるといても立ってもいられなくなり、必要もない取引をバタバタとしてしまう人がいます。そんな時こそ、「休むも相場」という言葉を思い出していただきたいのです。

個人投資家はマーケットから離れることは自由にできます。そして、「休む」ことで客観的な視野が開けます。大きな経済の潮流と自分の人生に思いを馳せて自らの立ち位置を確認する。将来の夢を描いてみる。山登りの途中でちょっと休憩して遠くの景色を眺めるようなものです。ちょっと汗を拭いて水を飲んだり、おにぎりを食べたり。そんなことも長期投資という長旅のなかの「楽しみ」のひとつです。

資産運用「気づきのタネ」(54)「休むも相場」は長期投資の楽しみ

資産運用「気づきのタネ」(53)「退職したら毎月分配」は本当か

2011年9月27日 12:51

 「退職したら毎月分配」は本当か


めでたく定年退職を迎えた方が退職金を毎月分配型の投資信託にすることが非常に多いようです。

確かに就業中は毎月、銀行口座に給料が振り込まれていたのにそれがストップしてしまう。もちろん、生活費はいままで通りでていく。何となく不安になるのも無理はありません。そんなときに、毎月、分配金が振り込まれてくるというのは、気持ちが楽になるものです。それは非常によくわかります。

しかし、その安心を得るために何を犠牲にしているのかということをしっかりと理解することが必要です。とても円預金などでは得られないような分配金を受け取れるのであれば、その裏で大きなリスクが存在しているはずです。

具体的に言えば為替リスクやカントリー・リスクです。高い金利の通貨に投資をしていれば確かにそのときは高いリターンを得られますが、金利が低下しはじめると一斉に売りがでて、その通貨が暴落するということはよくあります。また、国の債務が非常に大きいと格付けが低下するなど信用リスクも存在します。

投資先国の金利が低下したり、通貨が安くなり、分配金の支払が投資収益でまかなえなくなることがあります。それでも高い分配金を支払っているのであれば、それは結局、投資元本を分配金として受け取っているのと同じことです。

65歳で退職するならば、60歳ごろから準備をすることで、毎月分配型の投資信託を買わずとも、定期的な収益を得ることはできます。例えば退職の5年前から四半期ごとに一定金額を5年満期の債券に投資をしていきます。そうすると退職した後は四半期ごとに債券が償還になりその資金を受け取ることができます。

もちろん、退職後も退職金などを原資にして継続的に債券投資をしていきます。このような投資戦略を実行していると日本で金利が上昇し始めても、若干の遅れはあっても金利の上昇についていくことも可能になります。

毎月分配型の投信をすべて否定するつもりはありません。しかし、高い分配金の背後にあるリスクを理解しないで、金融資産のかなりの部分を投資してしまうケースは絶対に要注意です。ここに述べた債券を使う方法なども合わせて、万一、投資商品の一部が大きくやられても、全体は致命傷を受けない範囲で投資を組み合わせていくことが必要です。なにしろ「虎の子」の退職後資金です。失ってしまったら取り返せません。注意深い運用が必要なのです。

 

資産運用「気づきのタネ」(53)「退職したら毎月分配」は本当か

資産運用「気づきのタネ」(52)投信会社はつらいよ

2011年9月 4日 09:48

 投信会社はつらいよ


投信会社の収入減は運用報酬です。そして、運用報酬は運用資産額に一定の比率を掛けて決まります。ですから運用資産額が増えないことには経営が成り立ちません。しかも、投信会社は幅広く多くの投資家に商品を提供するわけですから、色々な規制もあり、とても経費がかかります。それを賄うためには相当の運用資産が必要です。

では、どうやったら資産が増えるか。販売力のある証券会社や銀行が販売してくれるのが一番、手っ取り早い方法です。販売が投信会社の経営上重要であるということは、販売会社が投信業務にかかわる投資家が払う収入の多くの部分を取るということです。そうでなければ販売をしてもらえません。「嫌ならいいよ」と言われてしまっては投信会社は経営が成り立たなくなってしまうのです。

ですから投信を買った時に支払う販売手数料(申込み手数料)は販売会社(証券とか銀行など)が取ります。また、毎年、とられる信託報酬の4割ぐらいはやはり販売会社が取ります。しかも、投信が株式や債券を売買するときにも証券会社が売買手数料を取ります。つまり、銀行とか、証券にとって投信業務はすごく「おいしい」商売なのです。

現実には、銀行とか、証券がグループ内に投信会社を持っているのが普通です。最近は随分、改善されてきましたが、その経営陣はグループ内からの天下り、スタッフも中核会社からの転籍社員が多いのです。そして、販売会社は、とにかく売れるものを売りたがる。極端にいえば、販売会社はお客が儲かるか儲からないかは別として、とにかく売れるものを売ればしっかりと収益が上がるのです。

だから、「いま、売れそうなもの」、「みんなが買いそうなもの」を出したがる。そして、グループ内の投信会社に「こんな投信を作ってくれ」と依頼する。投信会社は売ってもらえなければ経営が成り立たないから、販売サイドの要望にそった商品を作る。そして、それが幅広く販売される。普通は「みんなが買っていて、値上りし始めている」商品は価格もピークに近いのです。だから、投信は「儲からない」というイメージが定着してしまうのです。

このような投信ビジネスの構造で抜け落ちているのが、投資家が本当に必要とする商品の提供です。そこで、これを改善しようということで「直販」型の投信がでてきたのです。つまり、販売会社を通さずに自分で投信を売ることで運用と投資家の距離を縮めようというのです。これはとてもすばらしいことです。

当然、多くの直販投信は残高が集まらないので苦しんでいます。でも、何とかこの努力が報われていくことを願っています。各社の「悪戦苦闘」がいつか、大きな成功に結び付き、日本の投信業界の質的な向上に結び付くことを祈ってやみません。

資産運用「気づきのタネ」(52)投信会社はつらいよ

資産運用「気づきのタネ」(51)機関投資家はつらいよ

2011年8月31日 15:05

 機関投資家はつらいよ


アクティブ運用に精をだす機関投資家と言えば沢山のアナリストやエコノミスト、チャーティストなどを抱え、膨大な資料を購読し、企業を訪問し、最先端の計量モデルを用いて運用をしています。特に、年金運用の分野では、それは、それは激烈です。個人投資家がどんなにがんばっても同じ土俵で戦っていたら、偶然にうまくいくことはあっても、まず、機関投資家に勝てることはありません。しかし、同時に機関投資家もつらいのです。どこがつらいのかを知ることは個人投資家が機関投資家に勝つヒントにもなります。

まず、ほとんどの機関投資家は四半期ごとにパフォーマンスをチェックされています。四半期と言えば三カ月。どんなに長期投資目的で良い銘柄を選んでも成績は三カ月ごとに評価されます。どうしても、すぐに結果のでる投資に惹かれ易すくなってしまいます。つまり、「時間といつも競争している」のです。

しかも、自社と同じように重装備をした競争相手と戦っています。年金の運用報告会では基金のトップが並ぶなかで自社の投資成果の説明が求められます。いくら、長期的視点から良い運用をしていても、競争相手に何期も続けて負ければ解約されてしまうかも知れません。そのため、いつも、0.01%でも良いから高いリターンを狙います。

そして、評価されるときの基準は多くの場合、市場全体を表す指数との比較です。つまり、10%リターンがあっても、マーケットが12%上がっていたら負けとされてしまうのです。そうすると、何よりもマーケットに負けない運用が中心になってしまい、アクティブ運用の市場に勝つという運用がしにくくなってしまうのです。少しでも他社よりも高いリターンが欲しい、でも、マーケットに負けるのは怖いという、まさに綱渡りを続けているのです。

さらに、ファンドマネジャーたちはいつも社内のプレッシャーのもとに仕事をしなければなりません。トップから実務者まで、関係者全員が集まる社内の投資政策委員会で「なるほど、それは良い」と全員を納得できる運用をしなければなりません。しかし、だいたい、みんなが納得できるような運用はすでに株価に織り込まれているのでまず、うまくいかないのです。と言って、「わが道を行く」というのはサラリーマン・ファンドマネジャーでは極めて難しいのはいうまでもありません。

機関投資家は重装備していますが、決して楽ではないのです。とても、つらいのです。個人投資家は完全に自由です。自分の納得できる運用をできるのです。「時間と争わない」、「マーケットと闘わない」、「欲張らない」、「考えすぎない」というリラックス投資をすることが一番、機関投資家に負けない投資法だと思います。

資産運用「気づきのタネ」(51)機関投資家はつらいよ

資産運用「気づきのタネ」(50)短期投資で大切なふたつのこと

2011年8月16日 09:20

 短期投資で大切なふたつのこと


株式市場のなかで短期投資はとても重要です。確かに人生を通じての資産運用を考える場合、基本は長期投資です。しかし、サテライト部分での短期投資は十分にありますし、また、楽しみとして短期投資を余資で行うことは決して否定されるものではありません。

短期投資は基本的に投資対象が株価です。そして、売買をすることによってリターンを得ようとします。一方、長期投資はあくまで投資対象が企業そのものであり、企業を保有することでリターンを得ます。つまり、企業が成長するとともに資産を増殖していくことを目的とします。

短期投資は普通、以下のようなプロセスで行われます。まず、人の知らない情報を得ることである証券の割安性を発見する、そして、それを他の投資家が気付く前に買い、みんなが割安性に注目しだし株価にそれが反映されだしたら売却する。ざっとこんな感じです。この過程で証券は常に新しい情報を反映することとなります。短期投資家は市場に効率性を与えています。これがアクティブ運用の役割です。

しかし、アクティブ運用全体を考えてみると市場が与えてくれるリターンは「市場リターン・マイナス・投資に伴うコスト」です。短期投資家は基本的にアクティブ運用者ですから、彼らもマイナス・サムの世界にいることは間違いありません。

そのなかでプロほど情報を持たない個人投資家が短期投資でうまくいったとしても、それはほとんど「幸運」です。ですから、短期投資でもっとも大切なことは、うまくいってもそれは「自分の運が良かった」と割り切ることです。決して、「俺は天才かも知れない」とか、「俺は遂に常に儲かる方法を発見した」などと思わないこと。「運が良かった」と、過去形であることにも注意してください。つまり、これまでは幸運にもうまくいったが、これからはわからないということを忘れないことです。

そして、次に大切なことは、短期の見通しが外れ株価が下がってしまったとしても、長期で保有しても安心な銘柄を選ぶということです。自分で保有していることが誇れるような企業の株式を買う。本当に良い世の中を創るために仕事をしてくれている企業を持つ。そのような企業こそ長期にわたって成長が可能なのです。そして、このような銘柄であれば短期の見通しが外れても、サテライト銘柄として長期で持つことができます。

大切なことは企業の株主価値が長期的に右肩上がりであることです。株価はその右肩上がりのトレンドに沿って、上に下に乱高下します。しかし、トレンドが右肩上がりであれば、仮に高値づかみをしても、次の高値は前回の高値よりも高い可能性が高いのです。逆に右肩下がりの銘柄だと失敗するとひどい目にあうことになります。

短期投資で大切なことは、まず、うまく行ってもそれは「幸運」であることを忘れない、マーケットはそんな甘いものではないということを忘れないことです。思い上がりは禁物。謙虚な姿勢が大切です。そして、短期投資であっても、長期投資同様にその企業の価値をしっかり見極めるということが大切です。「どうせ短期だから企業価値など関係ない」と思うのは大きな落とし穴です。短期投資をするのであれば、これらふたつを頭の片隅に置いておくのは大切だと思います。

 

資産運用「気づきのタネ」(50)短期投資で大切なふたつのこと

資産運用「気づきのタネ」(49)価値のあるものを保有する

2011年8月 8日 14:11

 価値のあるものを保有する


債券を持っていると、債券発行をした企業から事前に約束したキャッシュフローを受け取ることができます。そして、定められた日に元本が返済されます。つまり、債券は将来にわたっておカネを受け取ることができるという価値を持っています。

株式を持っている人は、企業が保有する全資産から借りているおカネをすべて返済した残りをそれぞれの保有比率に応じて保有しています。つまり、株式には企業の純資産の裏づけがあります。そして、企業が生み出す利益の一部を配当金として受け取り、残りは企業に預けておき将来のビジネスに活用してもらいます。一部例外もありますが、基本的に企業が稼いだ税引き後の利益は最終的には株主のものです。ですから、株式にも価値の裏づけがあります。

債券にしても、株式にしても、価格が市場で変動します。なぜ、変動するかというと、その証券の現在から将来にわたる価値に対する評価が人によって異なったり、変動したりするからです。しかし、これはまだ、ファンダメンタルな価値を反映した評価だといえます。なぜなら、その証券の価値そのものが評価の基準になっているからです。

しかし、証券価格が上に行きそうだ、下に行きそうだという思惑で価格はさらに大きく変動をします。投資家の需給関係や、チャートなどのテクニカルな状態をもとに株価や債券価格の先行きを予測し、それで一儲けしようという人たちがでてきます。証券価格は最終的には本来の価値の周辺を動きます。ですから、本来の価値を投資判断の基礎としない人たちは、結局、短期の売買か、あるいは投機をしていることになります。

さらに、証券価格の将来の動きを予測してそれを証券化した証券、つまり、派生証券が取引されるようになります。こうなってくると、影の動きを予測する別の影が誕生することになります。そして、その影の影が市場を大きく動かすこともよくあります。しばしば、犬がシッポを振るのではなく、「シッポが犬を振っている」といわれます。これは価値ある証券の価格が影の影である派生証券に振り回されるという意味です。

証券価格は証券の価値という実体の影です。そして、派生証券は影の影です。そして、影の影の影が生れたり、色々な影の影を組み合わせていかにも魅力がありそうな商品が開発されています。でも、ご用心。所詮、影は影です。安心してのんびりと、ゆったりと資産形成をしようという人は実態価値のあるものだけをしっかりと保有し続けるのが一番いいのです。

資産運用「気づきのタネ」(49)価値のあるものを保有する

資産運用「気づきのタネ」(48)投機と投資の違いを理解することの大切さ

2011年8月 2日 09:48

投機と投資の違いを理解することの大切さ


視野を長期にするほど、世の中の動きにはトレンドがあることが分かります。特に超長期の潮流は普段、我々はそれほど気づかなくても、力強い流れで世の中を動かしています。

例えば、グローバル化です。グローバル化は決して最近、始まったことではありません。中世の大航海時代だってグローバル化です。また、モンゴルが領土を拡大したのもグローバル化、フェニキア人が貿易をしていたのだってグローバル化です。

ある意味、グローバル化は人類が生れてからずっと続いている潮流です。情報化についても同じことが言えるでしょう。

このような大きな潮流が100年単位の変化を起こし、その変化が10年単位で世界を動かし、それが中期的、短期的な変動を生み出しています。

長期投資家はそのような大きな流れを把握した上で自分の立ち位置を確認し、長期的な流れに沿った投資をします。ですから間違う確率が少ないのです。ただし、その効果が実現するのには長い時間がかかります。

一方、短期投資家は、大きな流れとは関係なく、非常に短期な変動を見て賭けをしようとします。大きな潮流には明確な方向性がありますが、短期の変動はランダムです。つまり、次にどう動くかは予測できないのです。でも、うまく「当たれば」すぐに儲かります。

ランダム性に賭け、一発勝負をするのはまさに投機、長期的な潮流に乗ってその流れのなかで資産を増加していこうとするのが投資です。どちらが良いとか悪いとかいうものではありません。大切なことはこれらは違うものだということです。

投資は自分の将来の生活を支えるために行う、ある意味、ちょっと退屈な、でも、とても大切な作業です。反対に投機はエキサイティングなレジャーです。そして、投機を続けていても将来の経済基盤は造れません。

とても残念なのは「投資」というとほとんどの人が「投機」のことだと思ってしまうことです。これは本当に深刻な問題です。いま、きちんとしたまじめな投資教育が必要なゆえんです。

資産運用「気づきのタネ」(48)投機と投資の違いを理解することの大切さ

資産運用「気づきのタネ」(47)永遠のマジック・フォーミュラはあるのか

2011年7月25日 15:01

 永遠のマジック・フォーミュラはあるのか


ある投資信託が、非常に高い確率で儲かるすばらしいフォーミュラを開発したとします。マーケット全体や個別企業の株価の動きなどを計量分析に含めているようです。とにかく、そのようなマジック・フォーミュラが開発されたとします。

その投信会社はそれを商品化します。その商品は人気になり、資金が集まり始めます。事実、予測通りのすばらしいパフォーマンスが達成され、さらに資金がどんどん流入します。投信業界でも注目されるような大きな投資信託に育って行きます。しかし、徐々にそのパフォーマンスは当初の輝きを失い始めます。そして、だんだんありふれた成果しか得られなくなるのです。

なぜ、そうなるのでしょうか。これはファンド・マネジャーに驕りの心が生れるとか、手抜きをするというような理由によるものではありません。ファンドが大きくなること自体が、パフォーマンスの足を引っ張ることになるのです。

そのフォーミュラによって発見される銘柄は、他の投資家が割安であることを気づいていない銘柄です。そして、当初はファンドも小さいのでその銘柄をしっかりと買って、他の投資家が割安性に気づき買い始め、値上がりをしたところで売却ができるのです。

でも、ファンドが大きくなるに従い、たくさんの株数を買わねばならなくなります。そうすると、そのファンドが買うだけで、その銘柄は上昇を始めてしまいます。上昇を始めれば他の投資家もすぐに割安性を気づきます。もっと、資金量が大きくなれば、自分が買うだけで割安性がなくなってしまい、そして、自分が売るだけで値下りをしてしまうことになります。

こんなジョークがあります。ある大金持ちの投資家が、誰も注目していないある銘柄を発見し、口の堅そうな証券マンに電話をして、ひそかに買い始めます。当初株価は1000円だとしましょう。徐々に買いを進めるほどに株価が上昇をし、1500円になります。順調だというのでさらに買増します。買い注文もだんだん大きくなり、2000円、3000円とどんどん株価が上昇し、とうとう1万円になりました。まあ、10倍にもなったのだから「そろそろ利食いを入れよう」というので証券会社に売り注文を出すため電話をします。証券マンは、こう答えます。「え?売るんですか?買い手なんていませんよ。だって買っていたのはあなただけでしたから・・・」。

どんなにすばらしいマジック・フォーミュラでも、そこに資金が集まるほどうまくいかなくなります。伝説の投資家、ジョン・テンプルトン卿はこんな言葉を残しています。

「ひとつの銘柄選択法が人気づいたら他の方法に変えよ。どのような方法でも、フォーミュラでも多くの人が使い始めると有効ではなくなる」

資産運用「気づきのタネ」(47)永遠のマジック・フォーミュラはあるのか

資産運用「気づきのタネ」(46)あれはブラック・スワンだったのか?

2011年7月13日 09:27

 あれはブラック・スワンだったのか?


「リーマン・ショック」と言われる世界的な株式暴落が起こったのは2008年9月でした。あのとき、「100年に一度」の暴落とか、「ブラック・スワン」だとか言われました。

ブラック・スワンというのはナシーム・タレブという人が2007年に書いた本のタイトルで、「みんながありえないと思っている非常に大きなインパクトのある事象が起こる」という意味です。ちょうど、スワン(白鳥)は白いに決まっているという常識に反して、現実には黒いスワン(「黒い白鳥」というのも変な言葉ですが・・・)が存在するということから名付けられたタイトルです。

リーマン・ショックのような大暴落は過去の統計で見ても100年か、それ以上に一回、起こるか起こらないという常識に反して、実際にそれが起こるときには起こったのです。それで、「ブラック・スワンだ」と騒がれました。

しかし、良く考えると、あの時からわずか3年ほどでそれなりにマーケットは回復しています。今後も波乱を繰り返しつつも長い時間の経過とともに回復し、上昇していくでしょう。それは、株式というものに本源的な価値があり、十分に分散されたポートフォリオの価値は長期的には増加していくからです。

ですから、毎月の給料から積立投資をしている「資産形成世代」にはあのショックは買いのチャンスではあってもそれほどのショックではなかったはずです。

しかし、高齢の「資産活用世代」の方にはそのダメージは甚大です。取り戻すだけの十分な時間が残されていないからです。

結局、私は万人に共通する「ブラック・スワン」現象というのは存在しないのだろうと思います。若い人には、リーマン・ショックだって資産運用の長旅の途中のひとつの想い出です。彼らには、スワンはやはり白なのです。しかし、高齢の方にはあれは間違いなく深刻なブラック・スワンだったのです。

いま、また、欧州各国の債務問題などでマーケットは波乱のなかにありますが、何でもかんでもブラック・スワンと決めつけるのではなく、自分の立ち位置に基づいた冷静な判断が必要です。

資産運用「気づきのタネ」(46)あれはブラック・スワンだったのか?

資産運用「気づきのタネ」(45)インデックス運用は株式市場の活力を奪うか

2011年7月 5日 08:51

 インデックス運用は株式市場の活力を奪うか


インデックス運用を採用する投資家が増えそれが株式市場の活力を奪っているという議論があります。日経も、企業年金は平均すると日本株の7~8割を東証株価指数連動のインデックス型で運用していると報じており、「そろそろ『市場全体を買う投資』を見直さないと、日本の株式市場はますます閉塞してしまう」と述べています(日経2011年7月4日夕刊)。本当でしょうか。

インデックス運用は市場全体を買います。インデックスの対極にあるアクティブ運用は、市場の一部を買い、市場以上のパフォーマンスを狙います。確かに、年金のような巨額の資金を運用する場合、運用機関をたくさん採用してアクティブ運用をしていても、結局、市場全体を保有するのに近づき、「それなら最初からコストの安いインデックス運用の方がよい」ということになります。

また、個人投資家もなかなか個別銘柄を選択するだけの経験や知識、そして、時間がない人が多いので、それならマーケット全体を持っておこうという人も多いのだと思います。その結果、インデックス運用に人気が集まっているのでしょう。

インデックス運用をする場合、ファンドマネジャーは個別銘柄の価値評価はしません。運用の目的はいかに市場と同じようなパフォーマンスを達成するかにあり、個別銘柄の高いパフォーマンスを狙っているわけではありません。一方、アクティブ運用はあくまで個別銘柄を分析し、割安銘柄を買い、割高銘柄を売ることで市場よりも高い成果を求めます。つまり、アクティブ運用者が市場の効率性をもたらし、インデックス運用者はその効率性に依存する形で存在しているのです。

市場のなかでインデックス運用の売買が増えるほど、結果として、割高銘柄や割安銘柄が増えます。つまり、市場の非効率性が増し、アクティブ運用者にとって収益チャンスが増えるのです。問題は、その収益チャンスを積極的に取ろうというアクティブ運用者があまりいないということなのです。大きなリスクを取るべきアクティブ運用者が、「負けない運用」ばかりを求めているところに市場の活力のなさがあるのです。何か、全員が横並びでゴールインする小学校の徒競走のような気がします。

インデックス運用の市場全体に占める比率が上がったとしても、アクティブ運用者がリスクをとってしっかりとしたアクティブ運用をしている限り、市場の活力は奪われません。大切なことは、市場全体に占めるインデックスの比率ではなく、毎日の売買に占めるアクティブの比率なのです。仮に市場の9割がインデックス運用になっても、残りの1割で活発なアクティブ運用が行われていれば、市場の活力の源泉となる価格発見機能が損なわれることはないでしょう。

有識者として著名なウィルシャー・アソシエイツ社のデニス・ティトー氏が以下のような発言をしたのを聞いたことがあります。

「実際にはありえないことだが、もし、年金資産にアクティブ運用者がまったくいなくなってしまっても、年金以外の分野で市場の効率性を生み出す多くの投資家が存在するであろう。私の考えでは、取引量の5%くらいが活発に売買されれば大型株の値動きは十分に効率性を保ちうると思う」(拙著、「新時代の投資戦略」より)

活力を奪っているのはインデックス運用が増えることではなく、ハングリーにリターンを求めるアクティブ運用者が減っていることなのだと思います。

 

資産運用「気づきのタネ」(45)インデックス運用は株式市場の活力を奪うか

資産運用「気づきのタネ」(44)投資は「生き方」を教えてくれる

2011年6月29日 09:28

 投資は「生き方」を教えてくれる


普通、投資とは、以下のようなプロセスで可能となります。

1.いま、すぐには必要としないおカネがあるがそれを将来のために増やしたい
2.そのおカネをいますぐ必要とする人に用立ててあげる
3.その人はそのおカネを活用して収益をあげたり、満足感を得る
4.そして、感謝のしるしとしておカネを用立ててくれた人にリターンを支払う

いますぐに必要としないおカネをそのまま引出に入れておけば何の価値も生み出しません。しかし、それを世の中に流通させ、そのおカネが世のため、人のために活用されることで付加価値が生れ、その付加価値の一部が自分のところに戻ってくる。それによって自分の資産が増えていきます。

結局、おカネを使ってしまいたい誘惑に負けず、それを世の中に流通させることでリターンが生れるのです。言い換えれば、投資とは、「将来の大きな喜びのためにいま、少し我慢をする」ということです。

この場合、投資のリターンが金銭である必要はありません。人生の目的は「お金持ち」になることではなく、「しあわせ持ち」になることです。所詮、おカネもしあわせに変換されて初めて価値が生れるのです。それであれば、投資のリターンはおカネを通過しないで、直接、しあわせをもたらすものであってもいいのです。

ですから、投資のキーワードは「時間」と「しあわせ」です。時間というのは人生そのものです。我々すべての人がこの世に生れて与えられるのが人生という時間です。そして、その人生でみんな、しあわせを求めて生きていきます。ですから、「投資」について深く、突き詰めて考えていけば、自然に「人生をいかに生きるか」という問題に到達するのです。

前回、チョコレートの話で書いたように、おカネは人々とのご縁を気づかせてくれます。これは意識の空間的な広がりをもたらします。そして、投資は「生き方」という時間的な意識の広がりをもたらします。ですから、おカネと投資について考えることは、我々の意識の時空を広げてくれることにつながります。そして、それによって我々は良い人生がおくれるのではないかと思います。

資産運用「気づきのタネ」(44)投資は「生き方」を教えてくれる

資産運用「気づきのタネ」(43)チョコレートからおカネを考える

2011年6月18日 14:47

 チョコレートからおカネを考える


たった一枚の板チョコ、ひとつ100円ぐらいです。

チョコレートの原料はカカオです。アフリカや南米の熱いところでとれます。高さ7~10メートルぐらいの木の枝に直接、実がなり、その実のなかにカカオ豆が入っています。それをとって生計をたてている人もいます。乾燥した豆を日本の商社などが買付け、日本に運んできます。その船を運航する人、燃料を作る人、船を造る人、みんな、それで生活をしています。

そして、日本に届いた豆はチョコレートの工場に運ばれます。その運搬作業をする人もいます。豆は工場で選別され、粉砕され、砂糖やココナツ・ミルクと一緒に練られ、ドロドロになります。それが成形され、冷やされ、包装され、箱詰めされ、倉庫で出荷を待ちます。そしてお菓子屋、コンビニ、スーパー、キオスクなどに配達されます。工場で働く人、その会社の管理部門で働く人、配送する人、お店で売る人、すべての人がそれで収入を得て、毎日の糧を稼いでいます。

このたった一枚のチョコレートが私たちの元に届くまでに一体、何人の人がかかわっているのでしょう。そのすべての人が、それを仕事として生活をしている。それが、一枚、100円です。これって、すごいことだと思いませんか?

このようなグローバルな作業がスムーズにできるのは、みんなが「美味しいチョコレートを作って喜んでもらいたい」という気持ちがあり、おカネを媒体としてその思いが物質化してチョコレートができているのです。

少しでも世の中の多くの人に喜んでもらおうと、私たちが額に汗して働いた大切なおカネを、美味しいチョコレートを作ってくれてありがとうという感謝の気持ちを込めて支払う。そのおカネの少しかも知れませんが一部は間違いなく、ガーナでカカオの実を摘んでいる人の生活の支えになっているのです。

おカネのことを深く考えていると、我々はみんな、世界中の人たちと結びついた網の目のひとつずつであることを気づきます。そして、そのネットワークをおカネは、みんなに喜んでもらいたいという「善意」と、良いものを作ってくれてありがたいという「感謝」を乗せて循環しているのです。

この話はいつも中学校や高校に出張授業をしたときに話ています。でも、大人にもこの当たり前のことを、もっと、もっと実感してもらいたいものだと思います。そうすれば、おカネは汚いものなどというイメージはかなり変わってくるのではないでしょうか。

資産運用「気づきのタネ」(43)チョコレートからおカネを考える

資産運用「気づきのタネ」(42)なぜ瞑想が投資に役立つか

2011年6月 9日 12:21

 なぜ瞑想が投資に役立つか


私は瞑想を始めて今年で20年になります(私が実践している瞑想法)。その間、外資系資産運用会社を立ち上げ、育て、2005年からは現在の会社を起業しました。もちろん、その間に色々なことがありましたが、とにかく何とかやってこれたのは、朝夕の瞑想をしてきたことが大きな理由だと思っています。

我々の周りは色々な刺激で一杯です。そして、その刺激を受けて、さまざまな感情が湧き上がります。まるで、我々の心は暴風雨で荒波が立っている海のようです。でも、静かな場所で、目を閉じ、静かに呼吸をしていると段々心が落ち着いてきます。暴風雨の海も、我々の日常の心も、表面の波は荒いのですが、表面から深く潜るほどにその波は落ち着いた力強い波になって行きます。

そして、瞑想からでてくると、いままで「大変だ、どうしよう」と思っていたことが、「ま、いいや。できることをしっかり続けよう」という気持ちになっているのです。体も疲れると同じぐらい心も疲れます。だから、心が休める時間を持つことがとても大切なのです。

株式市場も毎日、色々な材料、情報に満ち溢れています。そして、それらに一喜一憂し、荒波のように揺れ動いています。しかし、海の表面の荒波が、深く潜るほど落ち着いた波になるように、投資も、より幅広く分散し、そして視点を長期にするほど、株価の動きは落ち着いたものになります。

海のずっと底の方には力強い潮流が流れています。マーケットでもどんどん分散を進め、保有期間を長期化するほど世界経済の大きな潮流に乗っていくことができるのです。

我々の生活にとって瞑想は非常に有益です。投資にとって、瞑想に相当するのは分散投資と長期投資です。瞑想は我々の意識の時間と空間を広げてくれます。長期投資は時間の広がり、分散投資は空間の広がりです。瞑想と投資、あまり関係ないように見える両者も、実はとても似た面があるのです。

詳細は拙著、「瞑想でつかむ投資の成功法」をご覧ください。オーディオブックもあります。

 

資産運用「気づきのタネ」(42)なぜ瞑想が投資に役立つか

資産運用「気づきのタネ」(41)トレンドに乗り、サイクルを受け入れる

2011年6月 5日 14:04

トレンドに乗り、サイクルを受け入れる


株式市場には長期的な方向性を示すトレンドと、中期・短期的な変動のサイクルがあります。一般にトレンドはファンダメンタルな要因に大きな影響を受けますし、サイクルは市場心理や需給関係を反映します。

短期投資家はサイクルで勝負します。しかし、これはなかなか難しい。まあ、7勝8敗か、8勝7敗ぐらいが良いところでしょう。

長期的な方向性を示すトレンドは、大きな潮流ですからそんなに簡単に変化しません。ですから、トレンドに賭ける方が勝率が高いのです。

トレンドに賭ける場合、大切なのは、ファンダメンタル面で投資対象が価値を増やしているということです。つまり、投資する株式の価値が長期的に右肩上がりであることが必要なのです。

私はそれはこれから数十年にわたって続く世界経済の拡大だろうと思っています。地球全体でみれば人口は増えていきますし、これまで発展途上と言われていた国々の生活水準も向上しつつあります。グローバル化が進み、地球規模でのインフラ整備が各地で起こっていますし、また、代替エネルギーなどの新技術開発もこれからどんどん進むでしょう。これらをすべてひっくるめて世界全体の株式インデックス投信を保有していればいいのです。

大きなトレンドに乗って、あとはサイクルを受け入れていればよい。ちいさなギザギザで売買を繰り返し儲けようというような小賢しい考えは捨てて、長期のトレンドで時間をかけて大きく儲けることを目指すべきです。

その意味ではサイクルの循環を通じて買い続ける積立投資は有効な方法でしょう。また、退職金を投資するような場合でも、相場の1サイクルを想定してその期間で資金を分割して投資をしていくのも良いのではないかと思います。どちらにしても、相場の天井と底を当てようという努力はあまり有益ではないと知るべきです。

資産運用「気づきのタネ」(41)トレンドに乗り、サイクルを受け入れる

資産運用「気づきのタネ」(40)心を込める、投資にも寄付にも

2011年6月 2日 08:57

 心を込める、投資にも寄付にも


「物心一如」というすばらしい言葉があります。モノと心は異なるものではない、モノと心は一体であるという意味です。お百姓さんがお米をつくる時、「美味しいお米を食べてもらい、みんなに喜んでほしい」という心が込められているのです。

ファースト・フードなどでマニュアル通りポンとコーヒーを出されるのにはあまり「心」を感じません。でも、こだわりの喫茶店で店主がいれたコーヒーには、「私のコーヒーを味わってみてください」という心が感じられます。世の中が便利になるにつれてモノと心が分離してきているように思います。

おカネを銀行に預ける。あとは銀行がどこに融資するか決めてくれる。自分は金利さえもらえればよい。これが間接金融です。銀行に預けたおカネがどう使われるか、我々には発言権はありません。あとは、「銀行さん、よろしくね」というわけです。

でも、自分で株式や債券を買うときは、どの企業に自分のおカネを使ってもらいたいかという選択肢が投資家にあります。そこに思いを込めることができます。これが直接投資です。直接投資では自分の心を投資先企業に届けることができます。その代わり、パフォーマンスがどうなるかは自己責任です。

さて、昨年末のタイガーマスク現象や、今回の震災のあとなど、寄付が盛んです。これはとても良いことです。でも、募金箱にチャリンとおカネを入れて、あとは「赤十字さん、よろしくね」というのはちょっとさみしい気がします。そのおカネがどこに、どう使われるかわからないからです。つまり、「間接寄付」なんですね。

赤十字などの団体に寄付をするのが悪いわけではありません。でも、寄付したおカネがどこに、どう使われるかを明確にしている団体に寄付をすることがもっとあっても良いのではないかと思います。直接投資では自分の思いを届けるために銘柄を選択する作業が必要となります。同じように、寄付で自分の思いを直接届けようというのであれば、そのような団体を探す作業が必要です。そして、その作業をした分だけ、自分のおカネがどう役立っているかを具体的にイメージしやすい。つまり、心のリターンが大きくなります。

額に汗して稼いだ大切なおカネです。投資も寄付も自分の心を込めて世の中のために用立てたいものだと思います。

資産運用「気づきのタネ」(40)心を込める、投資にも寄付にも

資産運用「気づきのタネ」(39)世界中の企業の持ち株会社を持つ

2011年5月27日 15:59

 世界中の企業を保有する持ち株会社の株式を持つ


世界中の国と地域の主要な産業の主要企業を全部持っている持ち株会社があったら投資したいと思いませんか?

もちろん、そのなかには高度成長の国、産業、企業、そして、反対に衰退していく国、産業、企業すべてが含まれています。しかし、明るい面、暗い面、全部合わせてほぼ世界全体の経済の成長を享受するわけです。

世界全体の経済はこれからも成長を続けるでしょう。人口も増加し続けていますし、新興国を中心に需要も拡大しています。中期的には景気の波は避けられませんが、潮流としては成長期にあると言えると思います。その成長をざっくりと取り込めるのが、そのような持ち株会社への投資です。

では、そのような持ち株会社がこの世の中に存在するかと言えば、残念ながら存在しません。でも、投資手段としてそれに代わるものはあります。グローバルな株式インデックス投信です。

もちろん、厳密に言えば持ち株会社と投資信託は違います。一番大きな違いは、持ち株会社は企業を支配することを目的としていて、投資目的で保有しているのではないということです。

投資信託の場合は直接、保有先企業に株主権を行使することはできません。しかし、考えてみれば個人の財力で、持ち株会社を支配できるほど株式を所有するのは困難です。ですから、その面の違いは投資家からみれば実質的にはそれほど大きな差異があるものではありません。

経済的な面でいえば持ち株会社の場合、保有先企業の収益が持ち株会社のもとに集まってくます。持ち株会社の株主はその利益を受け取ります。投資信託への投資家は、投資先企業の収益を投信の分配金、あるいは基準価格の値上がりの形で享受します。投資信託は保有するのに信託報酬などのコストがかかりますが、持ち株会社も同じように管理コストなどがかかります。

法制面の細かいことを別にして、実質的に長期投資家の視点からみれば、グローバルな株式インデックス投信を保有するということは、世界中の企業を保有している持ち株会社を持っているのとそんなに大きな違いはないのです。

長期投資家は株価を見ながら売ったり買ったりして値幅取りをするわけではありません。むしろ、投資先企業のオーナーとなって、その企業の成長とともに自分の資産を増やしていくことを目指しています。その意味ではグローバルな株式インデックス投信を長期で保有することは、世界中の企業を持っている持ち株会社の株式を持っているのととても似た面があるのではないかと思います。

 

資産運用「気づきのタネ」(39)世界中の企業の持ち株会社を持つ

資産運用「気づきのタネ」(38)値上りを狙わず、バランスを重視せよ

2011年5月15日 09:10

 値上りを狙わず、バランスを重視せよ


長期的な投資のパフォーマンスの大部分は資産配分で決まるということが言われます。資産配分は「アセット・アロケーション」とも呼ばれますが、金融資産全体が、株式や債券、国や地域でどのように分布しているかを示すものです。例えば、日本株、外国株、日本債券、外国債券にそれぞれ25%ずつというようなものです。いわば、資産運用の設計図。これが長期パフォーマンスのほとんどを決めるというわけです。80年代の中ごろから実証研究が発表され、これが注目され始めました。

このような指摘は、それまでの投資のプロにとって大変なショックでした。つまり、値上りしそうな良い銘柄を選ぶ証券選択や、下がったところで買って、上がったら売るという投資タイミングこそプロの腕の見せ所だとみんな考えていたからです。それが、証券選択やタイミングの説明力は数パーセントにすぎないとされたのです。

私の体験から言っても、銘柄選択やタイミングは、まあ、8勝7敗や、7勝8敗ぐらいのもので、これを長期に続けていると、全体に占める貢献度は非常に小さくなってしまいます。しかも、売買に伴いコストがかかるので、その分は資金の流出になってしまいます。それよりは、自分の運用目的に合った資産の配分を決め、それをしっかりとキープする。それが長期的な資産運用する上での鍵です。

多くの人が「何が値上りするか」と言うことばかりを考えます。しかし、本当に大切なのは、まず、自分の資産配分を決め、あとはそのバランスをキープすることです。何パーセント単位での細かい操作は不要です。何割ぐらいの単位で結構です。ですから、別に毎日、値動きなどチェックする必要はありません。まあ、年に3~4回、状況をチェックして、大きくバランスが崩れていたら、飛び出しているところの買いを控えたり、売却したりして、引っこんでいるところを余分に買う。そして、長期的な設計図に近づくように操作をしていく。ただ、それを何十年も続けていればいいのです。

資産運用「気づきのタネ」(38)値上りを狙わず、バランスを重視せよ

資産運用「気づきのタネ」(37)買い物の三原則

2011年5月 6日 16:48

 私は次のような買い物の三原則を決めています。

① 値段につられて買わない

つい、「セール」という札がついていると買わずにいられなくなる人も多いことだと思います。安いからと言って不必要なものを買う必要はありません。自分にとって本当に意味のあるものだけを買うことに徹すべきです。

② 自分の価値観で買う

買い物をするとき、きちんと自分の価値観を持って買うことが大切です。単に、その時に流行っているとか、みんなが買っているからと言った理由で自分も買ってしまうことがないように。

③ 借金はできるだけしない

お金を借りるということは、元利金を支払わねばなりません。つまり、自分という資産が生み出す収入に対して、自分より先にそれを取る人がいるということです。余程、意味のある借金出ない限りお金を借りるのは避けるべきです。

これらは一般的な買い物のルールなのですが、よく考えてみると株式投資にもそのまま当てはまります。つまり、株価が下がったから買うとか、上がっているから買うということはしない。人気につられて買うのではなく、自分の判断で買う。みんなが買っていても自分にとってそれが意味がなければ絶対に買わない。そして、信用取引はしない。レバレッジは使わない。

当りまえのことですが、欲に目がくらむと陥りがちなワナなので注意をしたいものです。

資産運用「気づきのタネ」(37)買い物の三原則

資産運用「気づきのタネ」(36)資産運用の勉強は難しいか?

2011年4月30日 10:40

資産運用の勉強は難しいか?


 資産運用というと、「難しい」という印象が強いようです。でも、年金では退職後の生活が成り立たないことが明確ないま、誰にとっても資産運用は「しなければならない」ものです。まさに、資産運用は生活のなかに組み込まれるべきものなのです。

「難しい」という印象が強い背景には、相変わらず資産運用の考え方や手法が西欧から輸入されたそのままの形で伝えられていることにあります。私はそれを「和風化」することが必要だと思っています。これについては「賢い芸人が焼き肉屋を始める理由*投資嫌いのための『和風』資産形成入門」をご覧ください。

もう一つの理由が販売サイドが、少しでも多くの投資商品を売ろうとして、どんどん商品を複雑化しているという点があると思います。株式や債券などのように価値の裏付けがある金融商品は非常に単純です。でも、みんな、価値の長期的な増加ではなく、目先の価格の変動を追い求め、袋小路に入ってしまうのです。そのような短期的なニーズに合わせて作られた難しい投資商品の話を金融機関の営業マンから聞かされ、「難しい」という印象を持ってしまうのです。

私は資産運用の知識は我々がコンビニで買い物をするとき必要な知識程度で十分だと思っています。我々がコンビニにお昼を買いに行く時を考えてください。昨日の夕食、結構、食べ過ぎてしまったので、今日は焼肉弁当ではなく、サンドイッチにしておこう。飲み物はお茶のボトル。ちょっと甘いものも欲しい。でも、アイスクリームはやめて、小ぶりの羊羹にしておこう。それぞれ、メーカーや値段、賞味期限、カロリーなどをチェックして全体の予算内で何を買うかを決めます。また、極端に安い商品などあれば、ちょっと「?」と思うでしょう?

別に専門技術はありません。ただ、「自分は何を求めているのか」が明確で、賞味期限やカロリーなどの基本的な意味がわかっていて、そして、自分の予算を知っている。それだけです。ところが、金融商品となるとなぜかこの常識的なことができないのです。お店でセールになっているものをみんな買ってしまう。みんなが買っていると一緒に買ってしまう。キャンペーンに飛びついてしまう。営業マンに勧められるとなんとなく「お任せ」したくなってしまう。

スーパーでは常識が働くけれど、証券会社や銀行などの販売会社ではそれが失われる。投資に難しい勉強は不要です。コンビニで買い物をするときに必要な知識程度で十分です。複雑な理論よりも、何よりも、大切なのは、「明確な目的」と普通の常識、特に「おいしい話は危ない」という注意深さだけです。

 

資産運用「気づきのタネ」(36)資産運用の勉強は難しいか?

資産運用「気づきのタネ」(35)生活者はCEO

2011年4月20日 14:32

 生活者はCEO


普通、CEOはチーフ・エグゼクティブ・オフィサー(最高経営責任者)の略です。つまり、CEOは企業の経営の総責任者です。

私は生活者こそ、CEOだと思っています。CEOと言っても企業の最高経営責任者ではありません。しかし、生活者は、CEOという三つの側面から、企業の最高経営責任者以上に、経済全体に対して大きな影響力を持つ存在です。

まず、「C」はコンシューマー(消費者)のCです。企業にとってはお客です。お客がどう思うかが企業のビジネスを決定付けます。

次の「E」はエンプロイー(従業員)です。多くの方は企業に勤めて従業員として仕事をしています。従業員の質が企業の商品やサービスの質を決めるといっても過言ではありません。

最後の「O」はオーナー(保有者=株主)です。株式を買うということは発行会社のオーナーになることです。直接、株式を保有している方は言うに及ばず、投資信託などを通じて保有している方もいるでしょう。「私は株など持っていない」と思っても、実は年金などを通じて、ほとんどの方は株式を所有しているのです。

社会を構成する生活者は、消費する商品を選択することで企業のビジネスに影響を与え、同時に、企業のなかにあってより良い財やサービスを提供し、そして、企業のオーナーとして企業の活動をチェックしつつ、その企業が生み出す付加価値を享受します。そして、その評価が株式市場に株価として反映されます。

このように生活者を総体としてみれば、消費し、生産し、そして、利益を得るという循環を構成しているのです。単に生産して、それを消費するという直線的な関係でなく、株主であるという要素を加えた「三角関係」にすることで、社会に生れた富を回収するということが可能になることがわかります。ここに株式投資の大切な意義があります。

 

資産運用「気づきのタネ」(35)生活者はCEO

資産運用「気づきのタネ」(34)運用から三つの「ム」を省こう

2011年4月10日 19:27

 運用から三つの「ム」を省こう


三つの「ム」というのは「ムリ」、「ムダ」、「ムラ」のことで日本の製造業が世界に冠たる存在になったのは、徹底してこの三つの「ム」を省いたからだと言われています。

私は資産運用でも同じことが言えると思っています。

まず、「ムリ(無理)」というのはまさに理が無いということ。最初の「ム」を省くというのは、要するに理論的に整合性のない、「無理」なことをしないということです。例えば、ハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンという大原則を忘れて(あるいは、欲につられて)甘い話に乗せられてしまう。これなど典型的です。決して難しい理論は要りませんが、最低限のマーケットの法則は頭にいれておくことが必要です。

二番目は「ムダ(無駄)」です。まず、資産運用をするときにかかるコストをできるだけ省くことが成功の秘訣です。特に長期投資の場合、わずかなコストの差が、長期的に大きな違いとなります。株式売買に伴う委託売買手数料、投信に投資するときにかかる販売手数料や信託報酬、税金などはコストとして十分に吟味する必要があります。

もうひとつ、忘れられがちなのが、取っても報われることのないリスクを取るという「ムダ」です。マーケットに参加するなら、市場リスクを避けることはできません。しかし、個別銘柄のリスクは分散によって排除できます。逆に言えば、排除できるリスクはとっても報われないということです。ムダのない、賢いリスクの取り方が必要なのです。

そして最後が、「ムラ」です。パフォーマンスが必要以上に大きく変動するのはパフォーマンスのムラです。つまり、目標とする資産額を達成するにために、いかにムラを少なく(変動を小さくして)目標に向かって進んでいくか、これが資産運用の目指すリスク管理なのです。

三つの「ム」をできるだけ省くことによって資産運用の質がずっと向上します。ぜひ、一考してみてください。

 

資産運用「気づきのタネ」(34)運用から三つの「ム」を省こう

資産運用「気づきのタネ」(33)リスク回避のマジックはない

2011年4月 3日 19:37

リスク回避のマジックはない


東日本大震災は1000年に一度などと言われます。また、リーマンショックが100年に一度などと言われたのは記憶に新しいところです。1000年に一度、100年に一度というめったにありえない出来事が現実に起こる。そのことは我々に貴重なことを学ばせてくれます。つまり、確率的にどんなに低くても想定外の出来事は起こるのです。

リターンはコントロールできないが、リスクはコントロールできる。これは資産運用の知識として最も重要なもののひとつだと言えると思います。しかし、リスクは削減できても消し去ることはできない。100年に一度の確率までリスクを削減したとしても、起こるときには起こる。そして、そのリスクがあるからこそリターンによって報われるのです。

もし、リスクを極限まで削減しようとするなら結局、期待リターンが、銀行の普通預金程度のリターン程度にまで下がるぐらいのコストをかけなければならないのです。それなら最初から銀行に資金を預けておけばよいということになります。しかし、銀行預金ではなかなかインフレに勝てない。つまり、購買力がリスクにさらされることになってしまいます。リスクを完全に回避するためのマジックはないのです。

それではどうしたら良いかと言えば、原理原則に戻り、十分に分散した低コストのポートフォリオを長期で保有するということしかないということになります。そして、投資期間の終わりが近づくにつれて短期的な変動が全体に大きな影響を及ぼさないように資産配分を変更していく。先人たちが苦労して創り出した投資理論の原点こそ一番、合理的なリスクとの付き合い方であるということなのです。

長い投資期間の途中では大きな荒波に見舞われることもしばしばあります。しかし、ある出来事が極端であるほど、その起こる確率は小さいし、また、極端なことが起これば、いずれ平均へ回帰するような力が働くという大原則を深く理解しておくことが必要なのだと思います。

 

資産運用「気づきのタネ」(33)リスク回避のマジックはない

資産運用「気づきのタネ」(32) なぜ、投資が復興の役に立つのか

2011年3月21日 09:39

 なぜ、投資が復興の役に立つのか


東北地方を中心とする大震災が起こりました。原発危機も起こりました。でも、これから力強い復興が始まるものと思います。日本人はこういう時にはものすごく大きな力を出す民族です。私はこのショックによって、日本人が本来持っている、でも、最近はちょっとかすんでいた底力が目覚めるだろうと思っています。

我々ができることはたくさんあります。寄付やボランティア活動などは言うまでもなく大切です。そして、「投資」も非常に重要です。

「え?こんな時に金儲け?」と思う方もいるでしょう。でも、そうではないのです。

証券市場の本来の役割は長期安定資金の供給です。その発行市場を支えているのが流通市場です。流通市場が健全であってこそ、企業が長期的な資金を株式や債券を発行することで調達できるのです。

危機があれば短期の投資家はマーケットから逃げ出します。そのときに長期の投資家まで手控えていたら株式市場は下落します。そうすると復興に向けての長期資金の調達が困難になったり、企業の実力よりもずっと高いコストで資金を調達しなければなりません。

これから復興に向けて膨大な資金が必要となります。公的部門は復興国債とか、復興税で必要資金を獲得できるかも知れません。しかし、民間企業は自分で資金を調達しなければなりません。成長時代と異なり、短期の預金を資金源とする銀行には、長期資金を貸し付けるリスクが取りにくくなっています。

長期資本調達の場としての証券市場の重要性が高まっているのです。それを支えるのが長期投資家なのです。そして、結果として、このようなリスクを取った投資家には大きなリターンがご褒美として与えられるのです。

投資というと、「いくらで買って、いくらで売るか」、「いくら儲かったか、損したか」ということにばかり注意が行き、その結果、「こんな時に金儲け?」という反応になるのでしょうが、いまこそ、証券市場の本来の存在意義を思い出すときです。

 

資産運用「気づきのタネ」(32) なぜ、投資が復興の役に立つのか

資産運用「気づきのタネ」(31)株式を持つリスク、持たないリスク

2011年2月21日 09:32

株式を持つリスク、持たないリスク


「株は怖い」、それは株価が日々、大きく変動するからです。例えば100万円を投資して、それが80万円とか、ときには50万円になってしまうことだって、珍しくはありません。

株式市場は良い年には倍にもなれば、悪い年には半値にもなる。しかし、長期間にわたって通算してみると、良い年と悪い年が打ち消し合って、預金や債券よりは高い収益が得られるのです。

ポイントはバランスの問題なのです。全財産のすべてを株式に投資したら、全財産が倍になったり半分になったり、これではとてもやりきれません。でも、全体の10%だけを投資していれば、悪い年でも5%の下落ですみます。もちろん、良い年にも上昇は5%だけです。でも、まあ、そこそこの収益で満足する「知足」の投資ならこれでいいでしょう。

一例を示しましょう。消費者物価を見ると1950年に100だったものが今日、約800になっています。もし、この60年間、ずっと普通預金を続けてきたとすると資産は200円ちょっとになっています。つまり、預金の価値は物価と比べると四分の一になってしまっています。一方、株式市場を見ると、その60年の間に大きく上がったり下がったりしながら、約100倍になっています。

そこで、預金の10%だけを株式投資にまわしていたらどうなっていたかをみると、12倍になっているのです。つまり、物価上昇を大きく上回るパフォーマンスだったのです。

いままで、みんな、デフレ、デフレの合唱でしたが、人類の長い歴史はなだらかな物価上昇が正常です。それは、人間は常に作れる以上のものを欲しがるからです。株式を持つリスクはあります。特に短期では株価の変動は大きなものです。でも、持たないリスクを考える時期に来ているのではないかと思います。

資産運用「気づきのタネ」(31)株式を持つリスク、持たないリスク

資産運用「気付きのタネ」(30)

2011年2月16日 16:25

鮮度が落ちないポートフォリオとは?


 株式市場では色々な「テーマ」とか、「材料」が注目され、それに関連した銘柄が買われます。ハイテク関連とか、含み資産株とか、ヘルスケアとか、新エネルギー、インフラ投資、環境関連、その他もろもろ・・・枚挙にいとまがありません。

株式投資にあまり経験のない方はこのようなストーリーに飛び乗ってしまうケースが多いのです。しかし、多くの場合、しばらくするとそのようなテーマは忘れ去られ、それにつれて関連銘柄の値動きもじり安となってしまうのが普通です。

それでは、どうしたらいいのか。あるテーマが終わる前に利食っておき、次に注目されそうなテーマに乗り換える。これができればいいのでしょうが、現実には、いつ、天井を打つかなど誰にもわからないし、また、次のテーマが何になるかも分るものではありません。

だいたい、長期投資をするときに、何十年にもわたってこのような空中ブランコのようなことを続けていくのは精神衛生上も良くないし、そんなことにうつつを抜かしているひまがあれば、自分の仕事をしっかりとやった方がはるかに投資効率はいいでしょう。

では、どうしたらいいのか。簡単です。市場全体を持っておけばいいのです。いまはありがたいことに市場全体のパフォーマンスに連動する「インデックス投信」がいくられもあります。それを持っていたら、どんなテーマが市場で取り上げられても、「あ、それ、持ってる」と思って安心していられるのです。

日本株で言えば、東証株価指数(TOPIX)に連動する投信を持っていたとします。そして、あるテーマに関連した銘柄が大幅高したとしましょう。そうすると、そのファンドが持っているそれらの銘柄も全体に占める比率が高まってきます。そして、そのテーマが人気の圏外に去り、次のテーマがでてくると、投信のポートフォリオのなかも自動的にそれを反映します。

これはテーマではなく、国の単位でも同じことが言えます。例えば、モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナルという会社が算出しているACWIという指数があります。この指数は世界の主要な先進国と新興国の株式をそれぞれの規模に応じて計算しているものです。ですから、ACWIに連動する投信を保有していれば、中国が大幅高をすると自動的に中国をたくさん保有することになるし、代わってアメリカ株が上昇すればアメリカ株の比重が高まるのです。

このように市場の規模(時価総額と呼ばれます)に応じて算出される指数に連動するインデックス型の投資信託やETF(上場投資信託)は「鮮度が落ちない」長期投資に適した投資対象だと言えます。

資産運用「気付きのタネ」(30)

資産運用「気づきのタネ」(29) クローゼット・インデックスにご用心

2011年2月 5日 16:34

クローゼット・インデックスにご用心


投資信託などの資産の運用には、アクティブ運用とインデックス(またはパッシブ)運用と呼ばれる二つがあります。

アクティブ運用というのは、例えば、日本株市場全体の動きを表す「ベンチマーク」を最初に決めておき、それを上回るように努力する運用です。例えば東証株価指数(TOPIX)をベンチマークに選定したなら、そのパフォーマンスを上回る成績をあげることを目指すのです。

これとは逆にインデックス運用は最初からベンチマークを上回る成績は狙わずに、ベンチマーク通りのパフォーマンスを狙います。

アクティブ運用でベンチマークに代表される市場以上のパフォーマンスを狙うのであれば、当然、市場のなかの「市場よりも高いパフォーマンスが期待できる銘柄」を選ぶことになります。インデックス運用は市場の一部を買うのではなく全体を買付保有します。

アクティブ運用は当然、高いパフォーマンスを狙うので運用のコストも高くつきます。売買を繰り返すことになるし、また、調査部門などのコストも膨大です。インデックス運用は反対にコストは非常に安くすみます。

さて、ここからが今日の本題です。一例をあげます。

ある証券会社から、日本株アクティブ型の投資信託を勧められたとしましょう。話を聞くと面白そうなので少し買ってみます。別の証券会社からも、別の日本株アクティブ型投信の話が持ち込まれます。これも面白そう。そこでまた、買ってみます。さらに、別の銀行からも話がきて、別の日本株アクティブ投信を買います。こうして、数種類のアクティブ投信を保有している方も多いと思います。

でも、これらの投信を全部、ひとまとめにしてみると、実は限りなく市場全体を買っているのと同じになっていることが多いのです。しかも、みんな、アクティブ型ですからとてもコストが高い。結果として、非常にコスト高のインデックス型投信を持っているということになってしまうのです。それなら、最初から、安いインデックス型投信を一本だけ持っていればよかったということになります。

このように、さまざまなアクティブ型投信を貯め込んで、結果としてコスト高のインデックス・ポートフォリオになってしまっている状態を「クローゼット・インデックス」と言います。つまり、クローゼットにどんどん荷物を押しこんでいったらすべてがごちゃごちゃになっているイメージです。

「クローゼット・インデックス」というのは年金運用で使われる用語ですが、個人投資家も十分に気を付けるべき点だと思います。

資産運用「気づきのタネ」(29) クローゼット・インデックスにご用心

資産運用「気付きのタネ」(28)

2011年2月 1日 16:06

上がりそうな銘柄探しはお止めなさい


私がセミナーなどで、「資産運用は長期投資です」などというとみなさん、「うん、うん」とうなずいていらっしゃるのですが、その後の懇親会などでうかがうと投資の失敗談ばかり。そして、ほとんどの方が「上がると思った」とおっしゃるのです。

なぜ、上がると思う株を買うとうまくいかないか。

答えは簡単です。あなたが上がると思うときは他の人もみんな上がると思っているからです。しかも、みんな、「すぐに」儲けたい。そのゲームに知らず知らずのうちにあなたも巻き込まれているのです。

アメリカに「より馬鹿理論」というのがあります。これはどこの国でも通用するすばらしい理論です。

つまり、ある人が「上がる」と思ってある銘柄を買う。そのとき、当然、その人は自分よりも「より馬鹿」な人がいて、もっと高値で買ってくれるという前提を持っています。しかし、あなたがその「より馬鹿」になっている可能性も高いのです。しかも、みんな、短期の値幅取り狙いです。ですから、より馬鹿はすぐにいなくなってしまう。

自問自答してください。「私は本当に人よりもずっと早く情報を手に入れていて、人よりもずっと早くより馬鹿な人に売ること

このようなワナを避けるには方法があります。値段(株価)で買わないことです。

自分の生活を「かげ」で支えてくれる世界中のさまざまな企業をに投資をする。グローバルなインデックス投資をすればこれは簡単です。そして、世界中の企業のオーナーになって「おかげさま」という感謝を込めて保有する。

みんなが、短期で儲けようと思っているときに、のんびり、「まあ、そのうち花が咲くだろう」と思ってゆったりしている。時間の制約がないことを日本では「永代」といいます。まさに「永代投資」。

自分が「より馬鹿」にならないための方法、それは「おかげさま投資」と「永代投資」です。

資産運用「気付きのタネ」(28)

資産運用「気づきのタネ」(27) リターン追求とリスク削減

2011年1月23日 13:41

リターン追求とリスク削減は分けて考える


投資をするのであればできるだけ高いリターンをあげたい。しかし、同時にできるだけリスクも小さくしたい。これは誰でも望むことです。そして、リスクをコントロールするためには、投資対象を分散しなければならない。これも多くの方がご存じです。

それで、一銘柄に全額を投資するのではなく、できるだけ多くの銘柄に投資をする。

とはいえ、当然、資金の限界があり、まあ、数銘柄買うのがやっとという方も多いと思います。

高いリターンを期待する銘柄をたくさん買ってリスクを削減しようとするのは効率が良いとは言えません。高いリターンを期待するのですから、それらの銘柄はリスクも高いと考えるべきです。

確かにそのような銘柄を数銘柄でも持てば、一銘柄で勝負するよりはリスクは削減されるでしょう。でも、何十銘柄も保有できるのであれば話は別ですが、数銘柄では限界があります。そこで良い方法をお教えします。

例えば、ハイリターンが期待できそうな二銘柄があるとします。そのうち実際に買うのは、より良いと思う一銘柄だけにしておきます。あるいは半額ずつ二銘柄を買うのでも結構です。そして、予定しているおカネの半分でインデックス投信を買います。

インデックス投信は市場と同じような動きをするように設計されていますから、この投信を持つのは市場全体に投資したと同じ効果があります。分散投資を究極まで追求したポートフォリオです。こうしておけば、リターン追求銘柄でリスクを削減する必要はグンと減ります。

要するにリターン追求の「攻め」とリスク削減の「守り」を分けて考えるのです。サッカーなどでもそうですが、攻めと守りは役割が違いますし、得意とする分野も違います。同じことが投資でも言えるのです。

資産運用「気づきのタネ」(27) リターン追求とリスク削減

資産運用「気づきのタネ」(26) 貯蓄と投資

2011年1月12日 21:18

貯蓄と投資はどう違うか


貯蓄と投資の違いをご存知でしょうか?

 

ひと口に言えば、
貯蓄は、おカネを使わないでとっておくこと
投資は、おカネを増やすこと
です。

ですから一番、純粋な貯蓄というのは、貯金箱におカネを入れて貯めることです。あるいは、机の引き出しにおカネを入れておくというのも同じです。

投資は、当面、必要のないおカネを、いま、必要とする人に用立ててあげる。その人はそのおカネを活用して何らかの収益や喜びを得る。それに対するお礼として、おカネを使わせてくれた人に「ありがとう」という気持ちを込めて投資のリターンをお返しする。これによっておカネが増えるのです。

みんなが貯蓄だけをすると経済のなかを流れているおカネが滞留してしまうことになります。投資の場合はそれが何らかの形で活用されるのです。だから、みんなが、ただ、おカネを貯めるだけになってしまったら、経済はまわらなくなってしまいます。

貯蓄は銀行におカネお預けること、投資は株式や債券、投資信託など価格変動リスクの高いものを買うことだと思っている人もいますが、それは必ずしも正しくはありません。銀行預金だって預金のおカネは銀行がまとめて貸付先に貸しているわけです。だからこそ、少額であっても金利がついてくるのです。

いま、多くの人が収入のほとんどを銀行に預けています。それは、意味のないことではないのですが、銀行は当然、貸付先から受け取る金利の一部を自分のものとして受け取り、残りを預金者に支払います。その代わり貸付先がつぶれても銀行が健全なら資産は安心です。言いかえればその分、収益が低いのです。しかし、その低い収益では、将来を支えることはなかなか難しい状態なのです。預金のごく一部でも、十分に分散された株式や債券などにしておくと、長期では大きな違いが生じるものです。

将来の自分はいまの自分が支えなければならない時代です。いまと将来の間には長い時間が横たわっています。ですから、その時間を利用して、毎月の収入の一部を投資してゆく。つまり、おカネも働かせて増やしてゆく。それによって将来の自分を支えることにもなるし、また、経済におカネを流して世の中を活性化してゆくのに役立つことにもなるのです。銀行預金のうちの少しだけでも、もう少しリスクの高い、そして、リターンも高い投資をしても良いのではないかと思います。

資産運用「気づきのタネ」(26) 貯蓄と投資

資産運用「気づきのタネ」(25) 「しあわせ持ち」の方程式

2011年1月 3日 11:41

「しあわせ持ち」の方程式


人生の目的は「お金持ち」になることではなく、「しあわせ持ち」になることです。

「富」には内側の富と外側の富があります。

内側の富というのは、心のなかのしあわせ感、満足感です。人生はこの内側の富を最大化するためにあります。外側の富とはモノやおカネです。基本的には外側の富はほとんどおカネに換算することができます。もちろん、内側の富と外側の富はイコールではありません。

内側の富とおカネに換算した外側の富を結び付けるのが「価値観」です。言い換えると、1円がもたらす幸福感です。1円当たりの幸福感が高まるほど、外側の富が同じでも内側の富は増えていきます。逆に、いくら外側の富が増えても、1円当たりの幸福感が下がっていくと、内側の富はちっとも増えません。

1円当たりの幸福感というのは「品格」ということだろうと私は考えています。同じ1万円でも、霜降りのステーキを食べるのと、発展途上国の子供のフォスターペアレントになるのとどちらが本当の意味でしあわせをもたらすでしょうか?何が自分に本当の幸福感をもたらすかを考えるためには、自分自身の心の内側を眺めてみることが必要です。その意味で瞑想などは非常に有効な方法だと思います。

内側の富は「インサイド・ウェルス」ですから「I」、外側の富は「アウトサイド・ウェルス」ですから「O」、1円当たりの幸福感は価値観ですから、バリューの「V]とすると、以下のような方程式がなりたちます。

         I = O × V

当社、I-Oウェルス・アドバイザーズの「I-O」はこの方程式からとったものです。当社のキャッチ・フレーズ「目指そう品格ある資産家」というのは、外側の富を増やすと同時に、品格を磨いていくことが、人生において非常に大切であることを意味しています。品格を高める、そして、品格のある資産運用を行い、その成果を品格を持って使っていくことが本当のしあわせ持ちになる道なのです。

資産運用「気づきのタネ」(25) 「しあわせ持ち」の方程式

資産運用「気づきのタネ」(24) 無料セミナーは本当に無料?

2010年12月28日 19:06

無料セミナーは本当に無料?


銘柄や、セクターの推奨や、どんな投信を買ったら良いかというものから、投資や資産運用の考え方や手法に到るまで色々な情報が氾濫しています。

覚えておいていただきたいのは、「ただの情報はない」ということです。無料セミナーは決して無料ではないということです。

証券会社や銀行などが入場無料のセミナーなどを開催します。立派なホテルで、おみやげまでついて・・・。

これには大変なコストがかかっています。主催者は企業ですから、当然、このセミナーによって何らかの見返りを期待しています。だからこそ、膨大な経費がかかってもこれを実施しているのです。

では、その見返りは何かと言えば、投資商品の販売というケースがほとんどでしょう。例えば、「新興国経済の今後」という講演があると、その会社は、それとなくブラジル関連の投信を勧めてくる。「今後の為替市場動向」という講演があれば、店頭では外貨建て預金のキャンペーンをしていると言った具合です。

確かにあなたは会場の入り口ではお金は払わないでしょう。でも、参加者全体としては、このセミナーのコストを十分すぎるほど負担しているのです。

仮に、セミナーにでても、誘惑に誘われないで何も買わなかったとします。その場合は、確かにあなた個人の金銭的な出費はないのですが、言いかえれば聞いてもあまり意味のない講演を聞き、時間というコストを使ったということになってしまいます。

一方、完全に独立した企業(当社のような・・・)によるセミナーもあります。これは有料です。その代わり、「下心」なして、投資家にとって本当に有益な情報を提供します。

結局、主催者のためになる情報にコストを払うか、投資家のためになる情報にお金を払うかという選択なのです。

資産運用「気づきのタネ」(24) 無料セミナーは本当に無料?

資産運用「気付きのタネ」(23)

2010年12月24日 15:14

応援する会社を買うのもよいが、生活を支えてくれる企業を買うのもよい


「応援したい会社が苦しんでいるときに、株式を買うのが良い」というのはよく言われることです。これは、真理です。応援したい会社であれば長期に持つこともできます。しかも、あなたが「応援したい」と思うほど、世の中のために役立っている会社なのです。そして、その会社が苦しんでいるとき、普通、株価も安くなっているものです。ですから、本当に好きな会社の株式が割安のときに買えるという意味でこれは非常にポイントを得たアドバイスだと思います。

同時に私は、我々の生活を支えてくれている企業に対して「ありがとう」という感謝の気持ちを込めて株主になるのも大切ではないかと思っています。我々の生活は世界中の、あらゆる産業によって支えられています。これらをすべてまとめて買う。つまり、グローバルなインデックス投信を買うということです。当然、日本の企業にもお世話になっているので日本株のインデックス投信と、世界の先進国と新興国のインデックス投信を合わせて持つのです。

私は前者を「応援の投資」、後者を「感謝の投資」と呼んでいます。結果として、応援の投資はアクティブ運用でリターンを狙う、感謝の投資はインデックス・コアとしてリスク削減を狙うということになります。株式の長期投資をするときに、単に「上がりそう」というだけの理由で売り買いするのではなく、応援とか、感謝というような「気持ち」を込めるということはとても大切だと思います。

資産運用「気付きのタネ」(23)

資産運用「気付きのタネ」(22)

2010年12月15日 16:16

魚屋さんとお寿司屋さんの違い


誰かが証券会社に勤めているなどと聞くと、何か、きっと儲かるいい銘柄を知っているのではないかと思う方も多いと思います。つい、「ちょっと教えてよ」などと聞きたくなるのも人情というものです。でも、それは大きな間違いです。

おそらく、そのような質問を受けて、ホンネで一番困っているのは証券マン本人でしょう。「もし、それがわかったらオレは会社勤めしてないよ・・・」と。(でも、多くの場合、「知らない」とは言わず、何かもっともらしいことを話してしまうのは人間の性でしょうか)

証券マンは確かに商品については深い知識を持っています(いるはずです)。しかし、彼のスキルはその商品を売ることにあり、その商品を用いて資産を運用することではないのです。

信託銀行、投資顧問、投信会社など資産運用会社は証券を用いてお客さまのために資産を運用することが仕事です。つまり、金融商品は運用というサービスを行うための素材なのです。

これは魚屋さんとお寿司屋さんの関係と似ています。魚屋さんの仕事はいきの良い魚を売ることです。お寿司屋さんの仕事は魚を加工しておいしいお寿司にすることです。知識の範囲が全然違うのです。いくら千客万来のお寿司やさんでも魚屋さんはできませんし、また、大成功している魚屋さんもお寿司屋さんにはなれません。

日本では資産運用会社の多くが銀行や証券会社の系列に入っています。私は資産運用会社がもっと独立した業界に育つことがとても大切だと思っています。お寿司屋さんは、魚屋さんを喜ばすことではなく、お客が一番喜んでくれるお寿司をだすのが仕事なのです。同じように投資家が本当に喜ぶ運用サービスを運用会社には望みたいものだと思います。

資産運用「気付きのタネ」(22)

資産運用「気付きのタネ」(21)

2010年12月 4日 13:23

営業マンはあなたの設計図を知らない


長期的なパフォーマンスに圧倒的な影響力を持つのが、株式と債券の比率、国内と海外の比率などの大きな資産クラスをどのように配分するかという、アセット・アロケーションです。これは、いわば資産運用の設計図です。

それぞれの個人が自分のライフステージや資産の額、収入の額と安定性などを勘案して設計図を描きます。そして、その設計図に沿ったポートフォリオを作るために素材となる金融商品を買い集めるのです。

もちろん、銀行や証券会社の営業マンはあなたの頭にある設計図がどのようなものであるかは知りません。ですから、あなたが何を必要としているかとは関係なく、現在、人気のある投資信託などを勧めてきます。

彼等には決して悪意があるわけではありません。おそらく非常にナイーブにこの商品はとても人気があるから、きっとこのお客も喜んでくれるのではないかと思って推奨してくるのでしょう。でも、残念ながら、それがあなたが必要とするものである可能性はむしろ小さいだろうと思います。

大切なことは、お客であるあなたが、自分の設計図をきちんと持ち、自分の必要とする商品を営業マンに説明できることです。そして、できれば営業マンが持ってくる商品を、いくつか比較して最も自分のニーズにあっている商品を選ぶことです。手っ取り早く上がりそうな銘柄を教えて、短期で一儲けと思ってもそれは長期的な資産運用の役には立たないものです。

資産運用「気付きのタネ」(21)

資産運用「気づきのタネ」(20)

2010年11月30日 20:13

ミドルはつらいよ~だから、おカネにも働いてもらう


人生100年時代はほぼ三分の一ずつ、三つの期間に分かれます。学びの時代、働きの時代、遊びの時代です。

学びの時代は、赤ちゃんとしてこの世に生れてから社会にでて一人前になるまでです。この期間の費用は、ほとんど親がだしてくれます。

退職後の遊びの時代はこれまで形成してきた資産を活用して、自分の好きなことをすることで世の中の役に立ってゆく時期です。

さて、問題は真ん中の働きの時代です。まあ、仕事で一人前になる30代の前半から60代の前半までの30~35年ぐらいの期間です。

長い人生でおカネをしっかり稼げるのはこの時期です。そのおカネは、①子供の養育費(自分も親の世話になったのでこれは仕方ない)、②いまの生活費、③退職後の生活資金という三種類の資金を稼がなければならないのです。人生100年分をこの30数年で稼がなければならないのです。

だから、自分で働いて稼ぐのに加えて、稼いだおカネにも稼いでもらわなければならないのです。おカネの眠らせていてはいけないのです。働きの時代は資産形成期ですが、この時期にどのようにおカネを運用するかは人生全体に大きな影響を与えます。

資産運用「気づきのタネ」(20)

資産運用「気づきのタネ」(19)

2010年11月23日 09:14

株式市場では最大多数にとってもっとも都合の悪いことが起こる、だから Buy and Forget!


これは永遠の真理です。

市場に参加している大多数の投資家が、株価が上がってほしいと思っているときは、株価は下がります。逆にみんなが、株価が下がってほしいと思っているときは、株価は上がります。

考えてみれば、それは当然です。なぜ、みんなが上がってほしいかと言えば、みんなが株式をすでに持っていて、値上りしたら売りたいと思っているからです。つまり、これ以上、買ってくれる人が少なくなっているということです。

みんなが下がってほしいということは、みんな株式を持っていないで下がったら買いたいと、思っているからです。これは下値が固いということです。

アメリカの「より馬鹿理論」も同じことです。誰かが株式を買うとき、世の中に自分よりもっと馬鹿な奴がいて、自分の買値よりも高い値段でその株式を買ってくれるという前提に立っています。売りの場合は逆です。

人と同じことをしていても絶対に儲からないという格言はいくらでもあります。ほとんどの人は、売り買いして儲けようとします。だから、ずっと持っていることが儲かる秘訣なのです。Buy and Forget!

資産運用「気づきのタネ」(19)

資産運用「気づきのタネ」(18)

2010年11月15日 08:27

「根拠なき楽観」に安住するな!


日本は非常に明確な四季のある国です。さらに季節を細かく分けて24節気があるほどです。

大寒」、「啓蟄」、「春分」、「夏至」、「立秋」など、これらはすべて二十四節気によって決められた季節を表したものです。日本人には、季節というものの細かい変化を楽しむ文化が根付いているのです。

加えて、四季折々のお祭りがあり、季節が変わるごとに、皆が集まってお祭りをしたり、食事をしたり、お酒を飲んだりしながら、楽しみを分かちあいます。

どんなに寒い冬でもじっと我慢していればいつか必ず春がくる。

まさに「冬来たりなば春遠からじ」です。

そんな考え方が我々のDNAのなかにしっかり埋め込まれているのではないでしょうか。

がまんするというのは悪いことではありません。しかし、がまんでは、循環的な問題に対しては有効ですが、構造的な変化には対応できません。通常の季節の巡りとは異なり、基本的な環境が変わっているからです。

現在の日本の抱えている困難な問題、例えば、経済、社会、外交、さらには雇用の問題、年金の問題等々、みな構造的な変化が底流にあります。それは、日本という国の成熟化と人口構成の変化、そのなかで地球規模でのグローバル化が進展しているところにあるのではないでしょうか。

四季の巡りになれた日本人は「いずれ良くなる」という「根拠なき楽観」に陥りがちです。でも、構造が変化しているときはいくら我慢して待っていても状態は良くなりません。

将来の自分を支えてくれるのはいまの自分しかいないのです。いま、一歩を踏み出し、長期的な視野で資産形成を始めることしか、構造変化に対応することはできないのです。

資産運用「気づきのタネ」(18)

資産運用「気付きのタネ」(17)

2010年11月 8日 13:07

「時間」という資産のアロケーションにもバランスが大切です


長期投資ではアセット・アロケーション(資産配分)がパフォーマンスのほとんどを決めることが知られています。つまり、国内外の株式、債券などにどのように自分の資産を配分するかがもっとも重要であり、銘柄選択やタイミングなどの要素はそれほど大きな役割を果たしていないのです。

人間にとっておカネは大切なものですが、実はもっと、もっと大切な「資産」があります。それは「時間」です。アセット・アロケーションが重要であるのは金融資産だけではなく、時間という資産にも当てはまります。

「平成18年度社会生活基本調査」に「1日の時間をどのように使っているか」という調査結果が掲載されています。ミドルエイジの代表として40~44歳の人を見てみましょう。男性は通勤時間も含めた仕事に8時間27分使っています。一方、女性は4時間5分を使っています。

驚くのは家事で、男性はわずか10分、女性は3時間37分です。

仕事と家事を合計すると男性は8時間37分、女性は7時間42分でそれほど大きな差はありません。しかし、男性の時間資産のアセット・アロケーションが大きくゆがんでいるのがわかります。

このバランスを欠いた男性の時間のポートフォリオは将来の大きな問題をはらんでいます。誰しもいずれは仕事を離れ、家庭に戻ってくるのです。そのときに「自分のいるべき場所がない」という大きなリスクです。

人生の目的は「しあわせ持ち」になることです。幸福な家庭はしあわせのインフラです。そのインフラがきちんとできていなければ、いくら経済基盤だけがあっても良い人生とはいえないでしょう。

ミドルエイジの方々、いまから時間資産のアセット・アロケーションをバランスあるものにするようお勧めします。

 

 

資産運用「気付きのタネ」(17)

資産運用「気づきのタネ」(16)

2010年10月31日 10:01

健全なリターンは健全なポートフォリオに宿る


健全なリターンというのは、最終的に自分の必要とする資産額をできるだけ小さい変動で実現するために必要なリターンです。

そのようなリターンを生み出してくれるのが健全なポートフォリオです。自分の求めるリターンを、一番少ないリスクで達成できるポートフォリオの設計図を描くことがまず必要です。高いリスクの株式や低いリスクの債券などをどのような比率で調合するかを決めるのです。

そして、その設計図にあわせて最適な素材を選択することが必要です。つまり、十分に分散された、長期に保有していても鮮度の落ちない、そして、コストの低い投資対象を候補として絞り込みます。通常は、株式や債券に投資をする投資信託が素材が必要になります。

次にそれらの素材を組み立てます。これは売買執行の段階です。若い方なら毎月の給料から積立投資をするのが一般的です。退職後の方であまり投資に習熟していない方であれば、何回かに分けて買う方が下落したときのショックは少ないでしょう。

最後が定期点検です。モニタリングと呼ばれますが、年に3~4回、現在の状況と計画を検証します。大切なことは短期的なマーケットの動きにあたふたしないことです。視野を長くとってどっしり構えていればいいのです。

大切なことは、健全なリターンはきちんとした構造を持つポートフォリオから生れるのだということです。一発勝負で投機をすれば、たまたま当たることはあるでしょうが、それは健全なリターンではありません。できるだけ、計画されたリターンを生み出してくれる確率が高いのが健全なポートフォリオであり、その健全性を維持していくのが人生を通じての資産運用なのです。

資産運用「気づきのタネ」(16)

資産運用「気づきのタネ」(15)

2010年10月26日 12:51

運用でコントロールできるのは「A・R・C」


「神よ、私が変えることのできないことを受け入れる冷静さを、変えることのできることを変える勇気を、そして、それらの違いを判断できる知恵を与えたまえ」(ラインホルド・ニーバー)

資産運用ではコントロールできることと、コントロールできないことがあります。 コントロールできないことの代表はリターンです。リターンがコントロールできるなら、投資はこれほどやさしいものはありません。しかし、残念ながらこれはできない。

では、コントロールできることとはなにか。私はそれらは「A・R・C」であるとしています。

「A」はAllocation。つまり、資産配分です。株式と債券の比率、海外と国内の比率をどうするかは自分でコントロールできます。そして、長期にわたる配分比率がパフォーマンスの大部分を決めるのです。

「R」はRiskです。リスクは「不確実性」ですが、これはコントロールできます。その方法はひとつが分散投資。つまり、色々な銘柄を持っていればリターンの高いもの、低いものが相殺しあって安定したリターンになります。もうひとつの方法が長期投資です。1年だけを見ると良い年も悪い年もありますが、長い期間、持っていれば良い年と悪い年が相殺しあってリターンが落ち着いてくるのです。

そして最後の「C」がCostです。資産運用にはコストが付きものです。売買をすればコストがかかるし、投信を持っていればコストがかかります。税金もまたコストです。そして、わずかに見えるコストも長期間のうちには大きな差をもたらします。

「A・R・C」は自分の意志でコントロールできるのです。これらをしっかりコントロールすれば、その結果として良い投資成果が得られるのです。でも、多くの人は結果であるリターンをコントロールしようとするからなかなかうまくいかないのです。まさに冒頭の二―バーの言葉を玩味すべきです。

資産運用「気づきのタネ」(15)

資産運用「気づきのタネ」(14)

2010年10月17日 09:30

運の良い会社の見分け方:まず、経営者は「開眉仰月口」か?


道教に「開眉仰月口」は開運の秘訣という教えがあります。

眉を開き、月を仰ぐような口をしていると良いことがどんどん起こるといいます。

その反対は「寄眉覆船口」。

こちらは眉を寄せて船が転覆したような口をしている人で、こういう人からは運が逃げていきます。

言われてみればその通り。誰でも左側のような顔の人とは仲良くしたしけど、右側のような顔の人とは近付きたくないですよね。

   つまり、この教えは「良い顔の人は良いことがあるから良い顔をしているのではない。良い顔をしていると自然に良いことが寄ってくるのだ」ということなのです。

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拙著、「瞑想でつかむ投資の成功法」(総合法令)より 

運の良い会社を発見するためのひとつの方法は企業トップの顔を見ることです。そして従業員の顔です。みんなが「開眉仰月口」であればその企業はどんどん運をつかむこと請け合い。長期投資にも適していることでしょう。こんな視点も銘柄選択で大切なのです。

資産運用「気づきのタネ」(14)

資産運用「気づきのタネ」(13)

2010年10月11日 11:21

バブルのピークでは全員が長期投資家になる


バブルがピークに近づいたときにアンケートをとるとほとんどの投資家が、「まあ、マーケットは時々は下がることもあるけど、長期に見れば上昇を続けるもんだ。だから、私は少々の下げにびくびくすることなく、じっくりと長期投資を続けるよ」というようなことを言うものです。

みんな、マーケットはずっと上昇を続けると確信しているからこのような発言になるのでしょう。

で、いまは?

みんなが投資などに手を出さないか、あるいは、極めて短期の投資です。

「どうせ、株なんて上がりっこないよ。だから、そんなものやるよりFXかなんかの方がずっと効率がいいし、面白い」

「株なんてあがりゃしないよ。時々、面白そうな銘柄があったら、『早乗り、早降り』、これに限るね」

「株はリスクが高い、だから短期で売買をしなければ危ない!」

相場が良い時に長期投資を口にするのは誰でもできます。そんな時は逆に危ないのです。

本当に難しいのは相場が悪い時に長期投資を始めることです。でも、長期で報われるのは、環境の悪い時に行動をとった人たちだということです。

資産運用「気づきのタネ」(13)

資産運用「気づきのタネ」(12)

2010年10月 3日 17:17

アセット・アロケーションを真剣に考える人ほどインデックス運用を使う


インデックス運用は、「パッシブ運用」と言われるように何か、消極的な投資であるような印象があります。しかし、実は、インデックス運用を使う人ほど、さまざまなインデックスをどのように組み合わせるかという「アセット・アロケーション」を真剣に考えている人たちなのです。

アクティブ運用のパフォーマンスは「市場パフォーマンス±アルファ」です。うまくいけばリターンは高いが、逆に行けば市場リターンよりも低くなってしまいます。当然のことながら、市場平均の動きからはかい離します。

ポートフォリオの長期的なパフォーマンスは「アセット・アロケーション」が大部分を決定します。将来に向けて自分がどのようなリターンを狙うかを決めるときは、当然、国内外の株式や債券の指数を前提にその組合せ、つまり、アセット・アロケーションを決めます。これが資産の設計図です。

その次に、投資商品を部品として設計図通りに組み立ててポートフォリオを作ります。そのとき、部品である投資商品が指数と異なる動きをしていたらどうなるでしょう。せっかく作った設計図とは異なるパフォーマンスが生れてしまう可能性が大です。

長期的パフォーマンスの決め手であるアセット・アロケーションを真剣に考えるほど、その部品である投資商品はインデックス型のものにならざるを得ないのです。

資産運用「気づきのタネ」(12)

資産運用「気付きのタネ」(11)

2010年9月27日 14:22

『 トーシカ・ホイホイ』にご用心


証券会社や銀行の営業マンが投信を勧めてきます。

「この投信はとても人気があります。値動きも堅調で面白そうです」と熱心に勧めます。「よし、それでは一口乗ってみようか」という訳で100万円を投資します。

それがうまく値上がりします。100万円が三ヶ月で110万円になりました。悪くない!もうけの10万円で温泉行っておいしいものを飲んだり食べたりして、ハッピー!そして10万円を使い切るとまた、元手の100万円を別の投信に投資して再挑戦となります。

しかし、うまくいかないこともある。

残念ながら100万円が70万円になってしまった。「しょうがない。これはしばらく塩漬けだな・・・」。

営業マンもしばらくはおとなしい。しかし、そこは営業マン。ほとぼりが冷めたころにはまた、「新しい投信がでます。今度こそはいけそうです」などとアプローチしてきます。「本当かよ」とは思いつつも、やっぱり成功したときの楽しい思い出が頭をよぎり、「じゃあ、やってみるか」ということになる。しかし、今度も値下がり・・・。

そしてこれが数回、続きます。そうするとさすがに人の良いお客も頭にくる。

「もう、あの証券会社とは付き合わない。今度は別の銀行でやろう」ということになります。かくしてA証券のお客はB銀行のお客になり、B銀行のお客はC証券のお客になり、C証券のお客はA証券のお客となる。

そしてまた、同じプロセスが始まるのです。こうして値下がりで苦しむ投資家がどんどん増えていきます。まるでゴキブリ・ホイホイならぬ「トーシカ・ホイホイ」です。

ToshikaHoihoi.JPG

この「トーシカ・ホイホイ」のワナはどこにあるのでしょうか。

まず、「人気がある」というのは「みんなが買った」、つまり、「これ以上、買ってくれる人が減っている」ということです。それから「値動きが堅調」というのも「いま、上がっている」ということです。だから目標値が近づいてきている。つまり、これ以上、高い値段で買ってくれる人が減っているということなのです。

でも、「この投信は人気がありません。値段も全然、動かず上がる気配もありません。だから買ってみませんか?」では商売にならないのです。やっぱり、景気よく「人気があって値上がりしている」方が売りやすい。つまり、売る側が売りやすい商品ほど高値づかみになりやすいという皮肉な、しかし厳然たる事実があるのです。その結果、「トーシカ・ホイホイ」はいつも満員御礼となっているのです。

資産運用「気付きのタネ」(11)

資産運用「気づきのタネ」(10)

2010年9月18日 14:10

株式投資は馬券を買うのとは違う、馬主になることなのだ


投機と投資はどう違うか、私は次のように考えています。

投機は、結果に法則性がないことを対象に資金を投ずる
投機は、結果をコントロールすることができない

投資は、結果にある程度の法則性があることに資金を投ずる
投資は、結果をある程度、コントロールすることができる

最も典型的な投機はコインの裏表を当てたり、サイコロの目をあてることです。パチンコも投機的ですが、人によっては、台を選ぶなど、少し分析的な要素も交じってきます。競馬は、(私はあまり知りませんが)馬の調子や、馬場の状態など、さらに分析的な部分が増えるようです。

株式投資は「ある程度」、結果に法則性があり、その結果をコントロールする術もあります。この「ある程度」というところがミソで、完全にはできない。この「できない」という部分をリスクというのです。

よく「株式投資なんて競馬みたいなものだよ」という人もいます。そういう人は株式=馬券と考え、馬券がパアになると同じように株式もパアになると考えています。でも、本当は違います。株式を持つということは企業のオーナーになることです。つまり、競馬で言えば馬主になることに近いのです。

馬券を買うのは1レースごとの非常に短期の取引です。馬主になるのは、その馬との長いお付き合いです。

良い馬の馬主になれば馬が賞金を稼いでくれる。良い企業の株主になれば、企業がリターンを稼いでくれる。この点を考えれば、株式投資と馬券を買うのは全然違うことがわかると思います。株価を対象として、それを売買して短期で儲けようとするのは投機です。企業を長期間、保有して、企業の成長とともに自分の資産を増殖しようとするのが本当の投資です。

資産運用「気づきのタネ」(10)

資産運用「気づきのタネ」(9)

2010年9月14日 08:10

意識の時空を広げることこそ投資成功の秘訣


私は2005年、起業を前に「瞑想でつかむ投資の成功法」という本を書きました。意識の表面はいつも荒波です。色々な刺激に対して、さまざまな感情が沸き起こり、ストレスが発生します。瞑想で心を静めていくと、表面の意識から、心のなかの奥深いところへ意識が移動して行きます。自分が小さな今に縛られたものではなく、とても長い時間の流れのなかの、そして、宇宙全体に広がるご縁のネットワークのなかの存在であることを、少しではあっても感じることができます。

投資も同じです。毎日の株価、基準価格や金利、為替の変動は表面の荒波のようなものです。でも、心を静めてマーケットを見れば、表面の荒波の背後にある大きな長期の潮流があることに気付きます。

意識の時空を広げてマーケットを見ることが投資成功の秘訣です。長い時間軸で見る。そして、空間、つまり、個別銘柄ではなく、日本だけではなく、世界中の投資対象を全体としてとらえる。これを具体化したものが、グローバルなインデックス投信の長期保有なのです。

資産運用「気づきのタネ」(9)

資産運用「気づきのタネ」(8)

2010年9月 6日 21:40

長期投資、分散投資の本当の意味は?


「長期投資と分散投資は大切」、これは耳にタコができるぐらい聞いている方も多いでしょう。確かに、株価は大きく変動しながら株主資本の増加を反映しながら上昇していきます。でも、大きく変動するときにみんな、同じように変動するわけではない。だから、色々な銘柄に分散投資をしていれば、それぞれの動きがお互いに相殺しあって、比較的なだらかに価値の増加を反映した株価の上昇を得られる。それはその通りです。

でも、その背景にある事実に気が付いている方は割合少ないのです。ある一銘柄のみを持っているとその企業が倒産するとその投資はパアになります。JALやGMなど、記憶に新しいところです。でも、たくさんの企業を持っていれば全部の企業が倒産することは考えにくいのです。

また、ある一年をとってみれば確かに企業利益が赤字になることもあります。しかし、長期的にずっと赤字が続くということも考えにくいのです。株式会社はその起源は東インド会社だと言われます。つまり、この制度はすでに400年以上続いているのです。その間、世界の需要が拡大し、企業はその需要を満たすという役割を果たし続けているのです。

分散投資と長期投資が有効な背景には、ビジネス・ポートフォリオへの分散投資、長期投資という事実があるのです。それが根元にあることをしっかりと認識することはとても大切です。

 

資産運用「気づきのタネ」(8)

資産運用「気づきのタネ」(7)

2010年8月30日 08:48

資産運用は犬の散歩のように


<コメント>

例えば、あなたが東京の日比谷公園で犬の散歩をするとしましょう。日比谷交差点を出発、松本楼のあたりを通ってかもめの広場まで行くとします。

犬は大喜び、リードの長さいっぱいに走り回ります。でも、あなたが道に迷わずしっかりと目的地まで歩いていけば、犬も必ず目的地に一緒にきます。

資産運用も同じことです。リードの長さが「リスク」です。犬が大喜びで走り回るようにリターンも上に、下に変動します。でも、大切なことは「司令塔」であるあなたが目的地に向けて歩いていくことです。

犬に引っ張られて、犬の行きたいところに行くのではないのです。あなたが行きたいところに犬を連れていく。これが資産運用におけるリスク・コントロールです。

資産運用「気づきのタネ」(7)

資産運用「気づきのタネ」(6)

2010年8月22日 19:18

争わない投資とは、一体、何と争わないの?


<コメント>

私が提唱しているリラックス投資とは①急がない、②欲張らない、③争わない、④考えすぎない投資です。

このなかで「争わない投資」というのは何か少し説明しましょう。

争うという以上、相手がいります。プロの世界ではその相手は「他社」です。「競争相手よりももっといいパフォーマンスをあげる」というのはプロの世界ではよくある話。まあ、それは事実ですが、個人投資家にはあまり関係ない世界です。

個人投資家にとって争う相手とは?それは「時間」と「マーケット」です。

まず、「時間」。「いつまでに、いくら儲けたい」というのは時間との戦いです。時間と争わないというのは、時間を味方につけて、複利の効果を活かしてしっかりと資産の成長を計ろうということです。

「マーケット」と争わないというのは、市場指数や市場平均を上回るパフォーマンスをあげようとしないということです。市場並みのパフォーマンスで満足。上回ろうとすると、時に下回ることもあり、トータルで見れば、売買で動くときに取られるコストだけ損をしてしまう。市場並みのパフォーマンスをしっかり稼ぐので満足していればいいのです。これが「知足」の運用です。

「時間」と「マーケット」を味方につける。つまり、市場全体をインデックス投信やETFで長期間、保有していれば相対的には安定したパフォーマンスがとれるという意味です。

ひとつ、付言しておきましょう。「マーケット」というのはいまや、日本市場だけではないのです。我々がお世話になっているのは世界中の企業です。ですから、世界中の主要企業をカバーするようなインデックス投信を保有することが必要です。その点はとても大切なポイントだと思います。

資産運用「気づきのタネ」(6)

資産運用「気づきのタネ」(5)

2010年8月15日 08:51

「投資」は資金を投げること、「運用」は運んで用いること


<コメント>

「投資」と「運用」という言葉はしばしば同意後として使われます。でも、私はこれらは大きく異なると思います。

「投資」とは資金を投げること、つまり、資金を手放す。自分が持っている余裕資金を、いま、おカネを必要とする人に用立ててあげる。その人は、そのおカネを活用して、収益を上げる。その収益の一部をリターンとして受け取る。これが投資です。自分が人のために融通した資金が収益を生み出し、それが自分のところに戻ってくる。だから「リターン(戻る)」というのです。

「運用」は運んで用いる。手放さないのです。人生という長い時間軸に沿って資産を運んでゆく。そして、将来、必要となった時にそれを用いる。ですから、運用には出発点があり、過程があり、目的地がある。そして、そこに時間の流れがあるわけです。言いかえれば、①いま、いくらあるのか、②これらかいくらずつ積み立てるのか、③何年間運用をするのか、④そして、最終的にいくら必要なのかという四つの要素で出来上がっているのが運用です。

仮に10万円「投資」をして、その銘柄が10倍髙をした。これは投資としては大成功です。でも、それで将来の経済的基盤ができたかと言えばそうではない。運用の目的はいかに金融資産全体を安定的に増やしていくかということろにあります。「将来の自分をいまの自分が支える」、これが「運用」です。

資産運用「気づきのタネ」(5)

資産運用「気づきのタネ」(4)

2010年8月 9日 09:06

短期投資は株価の売買で儲けようとする、長期投資は企業の保有で儲ける


<コメント>

「よく長期投資って何年以上保有することを言うのですか」という質問を受けます。でも、私は何年以上が長期で、以下が短期という区分は適当ではないと思っています。

長期か、短期かの区分は保有期間の長さではなく、その動機によるのだと思います。

短期投資はあくまで株価を対象として売買で儲けようというものです。長期投資は企業を保有して、企業が成長すると共に投資資金も成長していくのです。その結果、どうしても時間がかかることが多いのです。

その意味では、長期投資の「長期」という言葉は少し誤解を招きやすいと思います。

私は「永代」という言葉が好きです。井原西鶴の日本永代蔵の「永代」です。この言葉、「時間的な制約がない」という意味だそうです。永代証文とか、永代供養というのも「ず~と」という意味です。まさに、長期投資の長期は永代です。だから「永代投資」と言った方は良いかも知れません。

時間的制約がないということは、「時間を味方につける」ということです。短期投資は「いつまでに、いくら儲けたい」という、時間と争う投資です。永代投資は時間の流れを楽しみながらのんびりと資産を増やす。

Get rich slowly!(ゆっくり金持ちになろう)」が長期投資です。

資産運用「気づきのタネ」(4)

資産運用「気づきのタネ」(3)

2010年8月 2日 11:33

資産運用とは将来の生活リスクを、コントロール可能な、いまの投資リスクに変換することである(岡本和久)


<コメント>

退職後の生活が不安。だから資産運用が必要とは言われるけど、やっぱりリスクのある投資は値下がりが心配。これが本音でしょう。だからと言って何もしないのは退職後の生活リスクをそのまま放置しているだけです。

資産運用というのは、将来の生活リスクを、投資のリスクに変換することなのです。

良いニュースがあります。投資のリスクはコントロールできるということです。適切なアロケーション、グローバルに十分分散されたポートフォリオを長期で保有する。そして、できるだけコストの安い投資対象を選ぶ。

何もしなければ退職後の生活リスクがそのまま残ります。投資にともなうリスクを理解することで、目先の投資リスクに対する耐久力がつきます。そして、それが老後の生活リスクを削減する方法でもあるのです。

資産運用「気づきのタネ」(3)

資産運用「気づきのタネ」(2)

2010年7月25日 17:14

働くということは、人的資産を金融資産に変換する作業である(岡本和久)


<コメント>

人生は三つのステージで構成されます。学び、働き、遊びです。

学びの時代というのは生まれてから社会にでて一人前になるまで。就職しても普通、最初の10年ぐらいは丁稚のようなものですから30歳のはじめくらいまででしょうか。学校で学び、自分の進むべき道を決め、その分野のプロを目指すのがこの時期です。つまり、自分というものの人的な価値(あくまで金銭的な価値です)を形成する時期です。

そして、本格的に働きだす。家庭を持つ人も多いでしょう。プロとして活躍し、自分が形成してきた人的資産を活用し、それを金融資産に変換する。金融資産形成期です。

そして、定年退職したら今度は遊びの時代です。遊びと言ってもだらだらと寝ころんでテレビを見ているというのではなく、自分が本当にしたいことを自由にして、世の中に貢献してゆく時期です。このステージでは金融資産を活用します。そして、若い人たちに生きざまをみせてあげる。つまり、次の世代の人的資産形成を行うのです。

こうしてみると人的資産と金融資産の、形成と活用によって人生が出来上がっていることがわかります。

資産運用「気づきのタネ」(2)

資産運用「気づきのタネ」(1)

2010年7月18日 09:46

相場が難しいとき、「投機」はしない方がいい。ただ、相場はだいたい、いつも難しい。(岡本和久)


 <コメント>

投機というのは偶然性にかけることです。コインの裏表を当てる。サイコロの目を当てる。結果に法則性がなく、結果をコントロールするすべがありません。

コインよりは、パチンコ、パチンコよりは競馬と少しずつ分析的要素が増えていきます。

株式「投資」は結果にある程度の法則性があり、結果をある程度、コントロールする方法もあります。

株価の動きは短期になるほどランダム性が高くなります。そのランダムな動きにかけるのが投機です。うまくいっても、失敗しても「運」でしかありません。

短期の相場動向は誰にもわからない。これはいつもそうです。つまり、相場の短期見通しはいつも難しい。退職後を支える運用資金をもって、荒波のなかに飛び込み、あえて波乗りをする必要はないのではないでしょうか?

 

資産運用「気づきのタネ」(1)

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