資産運用「気づきのタネ」(60)もっと配当金を注目しよう

2012年1月18日 14:18

もっと配当金を注目しよう


株主は株式の発行企業に対して色々が権利を持っています。例えば、株主総会に出席して議決に参加する権利、万一、会社が解散することになった場合、残った財産を請求する権利などです。そのなかでも一番、直接的に重要なのが利益の一部を配当金としてもらえる権利です。ある意味、株主と株式の発行会社の間の「絆」となっているのが配当なのです。

株式の価値は未来永劫にわたって支払われる配当金の現在価値の合計であるとされます。つまり、今年、来年、再来年、さらに10年先、100年先の配当金それぞれが、現在、どれぐらいの価値を持っているかを計算して、それを合計したものが現在の株価だということです。

もちろん、100年先と言わずとも、5年先でも、10年先でも配当金や、配当金の原資になる利益の予測は非常に難しいものです。また、それは投資家それぞれの判断によって異なります。そこで、ある人は「この株が1000円なら安い」と思い、別の人は「1000円では高い」と判断し、その結果、取引が成立しているのです。

配当金の流列が現在の株価を決める。だから、配当金の原資である利益が重要である。流通市場で毎日、乱高下している株価は、将来の配当金に対する投資家ひとりずつの見通しが変化している結果なのです。企業と株主を結びつける「絆」が配当金です。長期投資のグル、ジェレミー・シーゲル氏はこんなことを言っています。

「経営陣がつねに、あくまで株主の利益のために行動するというなら、配当は重要ではない。だがそうではない大多数の企業では、決定的に重要となる。株主と経営陣との間に信頼関係が築かれ、収益に関する経営陣の発言が裏付けられるからだ。・・(略)・・配当がなくてはならないほど重要なのは、それが信頼の印となるからだ。」

企業が会計操作や不正行為などをしていたとしても一般投資家はなかなかそれを知る術がありません。しかし、株主のための配当を払ってくれるということは一番、確かな事実として株主と企業を結び付けています。

多くの投資家が株価ばかりを注目して配当を忘れがちです。でも、上記のような理由で配当は本当に重要です。さらに、配当を再投資することの効果も見逃せません。景気が悪くなり株価が下がり、配当も減ることは良くあることですが、普通は株価の下落率よりも配当の下落率は小さいのです。その結果、もらった配当金でそのときの株価で再投資をすると積み立て投資と同じような効果を得ることができます。これを続けていれば持ち株の配当利回りを向上していくことが可能です。

前述のシーゲル氏の試算によると、「1871年から2003年にかけて、インフレ調整ベースで、株式の累積リターンの97%は、配当再投資が生み出してきた。値上り益が生み出した部分は3%にすぎない」ということです。配当金はもっと重視されることが市場の活性化にも必要なのではないかと思います。
 

2012年1月18日 14:18 岡本和久 |

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