資産運用こぼれ話:プロとアマの違い

2016年9月24日 14:28

投資に関連してメディアなどで専門家が登場して色々な予測をしています。記憶に新しいところでも、「日本の消費税増税は実施されるか」、「英国はEUから離脱するか」、「米国の利上げはどうなる」、「中国経済の先行きは」など、枚挙にいとまがありません。その道の専門の方がコメントをしているので、それは十分、傾聴に値するのだろうと思います。しかし、これらの方々は評論の分野では専門家でも決して、資産運用のプロではないのです。

 
資産運用のプロは人さまの資金をお預かりして、その方の代わりに運用を行い、その成果に対して報酬を受け取る人のことです。その意味では個人投資家であれ、経済評論家であれ決して運用のプロではありません。
 
また、証券会社などの営業マンを投資のプロと思っている人も多いものです。しかし、これも間違いです。彼らは販売のプロであって運用のプロではありません。いわば、証券営業に従事する人は魚屋さん、運用を行う人はお寿司屋さんのようなもの。もちろん、どちらも大切な仕事ではありますが職種はまったく違うということも良く知っておく必要があります。
 
かつてアメリカで仕事をしていた時、親しくしていたファンドマネジャーが語ってくれた言葉が記憶に残っています。それはこんな言葉でした。
 
「私は予期せぬ出来事に対するポートフォリオのパフォーマンス防衛策を常に講じている。私の相場シナリオが外れたときに大幅高をし、当たった時にもそこそこの動きをしそうな銘柄をファンドの一部に組み入れる努力をしている。つまり、間違った場合のダウンサイド・リスクを限定するように心がけているのだ」
 
つまり自分の考えに絶対の自信を持って運用するのは危険である。常に自分が間違った場合のことを想定して運用をするということなのです。そこに本当のプロとしての謙虚さと顧客資産を守るという責任感の強さを感じたものです。言い換えれば相場の怖さを熟知し、自分が間違える可能性を常に前提にしてこそ初めて一人前のプロといえるのでしょう。そこに運用者としてのプロとアマの大きな違いがあるように思います。(投資手帖2016年10月号への寄稿文に加筆修正しました)
 
 
2016年9月24日 14:28 岡本和久 |

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