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発行市場と流通市場

2008年7月 5日 10:37

これから、何回かに分けて株式投資を実際に行うためにどうしても知っておくべき証券市場の知識について書きたいと思います。まず、証券市場には発行 市場と流通市場という二つがあります。証券市場の役割は、長期安定資金の調達の場を提供することにあります。銀行の役割は基本的に短期資金を貸し付けるこ とにあります。資金を長期的に必要とする人のためにあるのが証券市場です。

証券市場は大きく分ければ株式市場と債券市場に分かれます。株式 を保有するということは、その企業のオーナーとなること、債券を保有するということは、その企業の債権者になるということです。株式であっても債券であっ ても、証券市場には発行市場と流通市場の二つがあります。発行市場というのは、発行者が新しい株式や債券を発行して、資金を調達する場です。

株 式を例にとって話しましょう。最初は少数の個人や企業が出資していた零細企業もだんだん大きくなると、設備投資などのために長期的な資金が必要となってき ます。そこでもっとたくさんの人にオーナーになってもらい、新規の資金をだしてもらおうと考えます。証券会社が間に入り、投資家の需要などを予測して発行 者にとっても投資家にとっても魅力のある株価を判断し、その価格で新しい株式が募集されます。まさに証券会社の腕が問われる作業です。これが発行市場で す。

いったんオーナーになった株主も将来、おカネが必要になることがあります。そこで、自分の持っている株式を他の人に転売できれば、比較 的気楽に株主になることができます。また、株式が発行されたのちに買いたいと思う人もでてくるでしょう。そのようなことができれば株式の発行もしやすくな ります。それが流通市場です。資金調達をより円滑に行うために、流通市場で売買ができるようにすることを株式の「公開」といいます。そして、最初の公開を 「イニシャル・パブリック・オファリング(IPO)」と呼びます。また、取引所で取引できるようにすることを「上場(じょうじょう)」と言います。

流 通市場では毎日、たくさんの株式を買いたい人と売りたい人が、それぞれの注文を持ち寄り売買をしています。それぞれの投資家が、適正だと判断する値段で注 文をだし、売りたい人と買いたい人の注文がうまく出会えば売買が執行されます。その取引を行う場所が証券取引所で、たくさんの注文を持ち寄っているのが証 券会社です。取引所に株式が上場されると、多くの投資家が売ったり買ったりすることになります。それだけに企業は大きな責任を負います。取引所も上場を認 めるために厳しい要件を定めていますし、企業も適時に正しい情報を開示する責任を負います。そして、投資家もふくめすべての人がフェアな取引ができるため のルールを守ることが義務付けられています。

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イスラム金融

2008年6月20日 11:53

最近、SWF(国富ファンド)が欧米や日本の株式や不動産を大量に買い付けたりしていることが報じられています。特に石油収入で潤っている中東諸国からの投資が焦点になっています。そこで「イスラム金融」が注目されています。

「イスラム金融」というのはひと口に言えば「イスラムの教義にあった金融」という意味です。そのイスラムの教義というのは人の生き方を示すものです。イスラム教のコーランでは、利息が禁じられていますし、豚肉、アルコール、とばく、武器生産、ポルノも禁じられています。このことから、イスラム金融では「金利という概念を用いない」、「金融取引がイスラムの教えに反するものに関わっているものは排除する」という原則が守られています。イスラム金融サービスを提供する金融機関は、「シャリア諮問委員会」を設置して、そこで取引の適否が決められます。オイルマネーの膨張で当然、イスラム金融の存在感はこれからも高まっていくことになるだろうと思います。

コーランには以下のように書かれているそうです(「イスラム金融」吉田悦章著、東洋経済新報社より)。
「アッラーは商売はお許しになった、だが利息取りは禁じ給うた」(275節)
「アッラーは(最後の審判の日には)利息の儲けをあとかたもなく消して、施し物には沢山利子をつけて返してくださる」(276節)

つまり、ただ単に、おカネがおカネを生むのは許さないが、神様への感謝を込めてお供えしたものに対しては大きな利子をつけて返してくださるというわけです。私はこれを読んで、日本の大昔にあったという「利稲(りとう)」という考え方を思い出しました。毎年、稲の収穫があると、神様への感謝を込めて収穫の一部をお供えする。これが利稲と呼ばれたのです。そして、それが翌年の収穫増大のもとになったのです。利子という言葉もこの利稲からきているとか。それが徐々に、神様の代理人として権力者が、年貢として徴収するようになったのです。そして、現在は税金。どうも最近の税金の使われ方を見ていると利稲の根本に戻って欲しいものだと思わざるを得ません。

日本には物心一如というすばらしい言葉があります。つまり、おカネも含めてモノと心はひとつのものであるということです。例えば、稲作をするときにも、自分のつくった美味しいお米を味わってもらいたいという気持ちを込める。お客にお茶を出すときも「どうぞごゆっくり」という心を込めてだす。おカネと共に人々の心が循環するようになったらいいなあと思います。

イスラム金融というと多くの日本人にとって遠い国の異教徒の話だと思いがちですが、おカネに心を込めるという視点で考えてみるとずっと身近に感じられます。

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マルキール氏の「中国投資のすすめ」

2008年6月 5日 15:07

世界71か国から1850名のチャータード・ファイナンシャル・アナリスト(CFA)が集まりCFA協会の年次総会がカナダのバンクーバーで開催さ れました。さまざまな興味深い講演がありましたが、今回は「ウォール街のランダム・ウォーカー」で名高いバートン・マルキール氏の話を紹介します。テーマ は「中国成長を取り込む投資戦略」というものでした。1820年には中国は世界の三分の一を占める最大の経済大国でした。それが産業革命に乗り遅れ、列強 支配の餌食となり、屈辱の時代を過ごしたわけです。しかし、ここにきて明らかに復活してきている。購買力平価をベースにした計算では中国のGDPは世界 シェア1割にまで達しています。社会主義体制であるだけに必要な政策がどんどん実施できるというメリットがあるとのこと。

マルキール氏は中国株に投資をする場合、安全なのは香港およびニューヨークに上場されている中国株を買うことであると言っていました。高度成長の国の通貨は必ず高くなるので、為替の面での妙味も大きいと指摘していました。

もうひとつの投資機会は中国のビジネス拡大でメリットを受けている企業の株式を買うということです。例えば、いま、ルイヴィトンの最大の売上国は中 国なのだそうです。数年前まではまったくなかったマーケットが突然、出現してそれが最大の市場になったというのだからすごいことです。おそらくこれと類似 した企業はたくさんあることでしょう。

マルキール氏によれば香港やニューヨークに上場された中国株と、中国市場でメリットを受けている企業を合わせて持つのが最も安全な中国成長を享受す るための投資戦略であるとのご宣託でした。私も中国は大きな投資チャンスがあると思っています。同時に、それは相当、長期投資の覚悟があり、時として大き な上げ下げに耐えて持ち続けるガッツのある人に向いた投資であると付け加えておきたいと思います。

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インベストライフ広島サロンのセミナー

2008年5月26日 13:01

朝、大阪から広島に移動。DVDで映画を見ながらの楽しい旅でした。
広島に11時着。大阪から大谷さんも来られたので一緒に広島国際ホテルの東風へ。
門田さんをはじめとする広島のみなさんと昼食会。

それから歩いて会場へ。会場は、広島県立総合体育館でした。
澤上さんもジョインされてセミナーが開始。
ちょっと質問が途切れたときはこちらから指名。
でも、そうするとみなさん、ちゃんと質問を持っている。
(手を挙げて聞くのは勇気がいるのですね)

結局、時間一杯、質問がでてこちらも広島まで来たかいがありました。
6時の新幹線で広島発。自宅には10時半ごろに到着でした。

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大阪にてDIY資産運用教室

2008年5月25日 13:01

大阪でDIY資産運用教室を開催しました。
会場には約20名の方がお見えになり熱心に話をきいてくださいました。
今回のテーマは
(1)さまざまな投資哲学
(2)年金に学ぶ運用体制の変遷
(3)長期的視点から見た投資環境
でした。

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非常にレベルの高い方が多く、うれしくなるような良い質問が続出。

終了後の会食会も楽しくすごさせていただきました。

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新しい本がでました

2008年5月22日 13:02

ミドルエイジのための資産形成マニュアル」(毎日コミュニケーションズ、税込1764円)という本です。
40代のかたを念頭において書いた本です。「30歳からはじめる『品格あるお金持ち』になれる資産形成マニュアル」(2006年、総合法令)は若いかた、 「100歳までの長期投資*コア・サテライト戦略のすすめ」(2007年、日本経済新聞出版社)は退職間近のかたを前提にしましたが、今回はその中間とい うところです。

書き込みシートをつけていますので、自分でデータを書き込んで資産運用を行えるようにしました。書き込むのはちょっと面倒と思うかたもいるかも知れませんが、ミドルのうちに自分のおカネに関するデータを整理し、今後の運用計画を立てると、将来、大きな差がでます。

一応、対象は40代ということですが、30代、50代以降のかたにも有益です。もうすぐ書店に並ぶと思いますので、是非、手にとってご覧ください。これを教科書にした、DIY資産運用教室もやっていきたいと思っています。

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体験的情報化の変遷(4)

2008年5月20日 10:41

株価を提供することでビジネスがもらえる時代は過ぎ去りました。ニュースやマーケットコメントもいくらでも情報が行きわたるようになりました。結局、公開 された情報をどのように解釈するのか、どのように判断するのかということが求められるようになったのです。1984年、11年間の海外生活を終え、東京に 戻り情報部というところで仕事を始めました。ちょうど80年代のバブルが始まりつつありました。私のいた兜町も異様な雰囲気でした。東京で驚いたのは業界 誌などの記者がどんどん仕事場に入ってくることでした。レポートを書いていると「何、書いてるんですか?」、「あ、それ他社でもいま、書いていますよ」と いう具合で情報が市場で渦巻いている。中には「○○証券は来週、○○株を取り上げる決定をしたようだ」などという情報もいつも流れていました。当時は誰で も簡単にオフィスに入ってくることができたのです。セキュリティが厳しくなりだしたのは、バブル崩壊後だったと思います。それまで自由に出入りしていた人 たちからはずい分、反発もあったようです。

バブルも終わりに近づいた1989年の夏、私は資金証券部という部門に転勤になりました。株式市場があまりに加熱しているので、少し、金利や為替の 市場に自分を置いてみたいと希望したのが聞き入れられたものです。為替のディーリングなどもしました、しかし、これは本当に難しい。とにかく銘柄が少ない 上、みんなが同じ情報を見ている。上司から「がんばってくれよ」と言われても、何をどう頑張ればよいのかわからない。経済指標を的確に予測したとしても、 あるときは、「素直に反応し」、またあるときは、「材料出尽くし」で逆に動いたりする。フツフツとした毎日が続いていました。そんなとき、アメリカの投資 顧問会社が日本に進出するのでそれを手つだってくれないかという話が舞い込んできました。

さっそく、その会社に行き会長と面談をしました。私の悩みなどを率直に述べたのですが、それに対する彼の答えはきわめて明瞭でした。情報化がどんど ん進めば為替市場で起こっていることがすべての市場で起こるようになる。株式バブルが崩壊したのもそれが原因なのだ。これからは、情報化という現実に即し た運用の手法が求められている。「その手法がこの会社にはある!」と直感的に感じました。そして、それから15年。日本の法人は年金運用革命の一翼を担う ことができ、年金運用でトップの投資顧問会社にまでなることができました。年金運用革命はまさに情報化時代に対応した、「運用合理化革命」だったのです。

2005年、私は、個人投資家に合理的な資産運用の方法を提供したいという思いでいまの会社を設立しました。このメルマガが配信される5月20日、 I-Oウェルス・アドバイザーズは三周年目を迎えます。まだまだ、目標にはほど遠いですが、日本の個人投資家が、新しい情報化の時代に適した長期的な資産 運用ができるようにサポートしていきたいと思っています。これまで、温かいご支援をいただいたことを感謝するとともに、これからもよろしくお願いいたしま す。

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CFA協会年次総会

2008年5月15日 13:03

グローバルなアナリスト資格、CFA(チャータード・ファイナンシャル・アナリスト)協会の年次総会がカナダのバンクーバーで開催されました。第61回目の年次総会です。今年は実に1850名の人が参加しました。

CFAというのは世界同一基準で実施される試験に合格し、高い倫理観と知識を保有する者に与えられる全世界で通用する証券アナリスト資格です。この 協会は、証券アナリストの父ともいえる、ベンジャミン・グレアムの音頭で設立されたものです。私は1983年にこの資格を取得しました。

この総会では毎年、世界の投資、運用業界をリードする人々の生の講演が聞けます。今回もたくさんのすばらしい講演がありましたが、大きく分けると三つの分野の話が多かったように思います。

(1)投資を心理学で解き明かそうという行動ファイナンス、さらには脳の構造にまで踏み込んだニューロサイエンスを投資に応用しようという研究が進んでいる

  • 行動ファイナンスは役立つか(サンタクララ大のStatman教授)
  • Neuroeconomics of Surprise: How the investing brain handles the unexpected(Money Magazine – Jason Zweig氏)

(2)資産クラスの多様化とアセット・アロケーションの在り方

  • Exotic Beta(GS、Robert Litterman氏)
  • 国際分散投資(Frontier Market AM, Larry Speidell氏)
  • ETF(SSgA)、(BGI、Grossman氏 - Innovationの例として)
  • ポスト現代ポートフォリオ理論 (GWA)
  • China Opportunity(Princeton Univ. Murton Malkiel氏)

(3)今後の経済

  • サブプライム問題(Janet Yellen氏 – FRB of SF)
  • エネルギー問題(Groppe, Long & Littell, Henry Groppe氏)
  • ドルの問題(Columbia Univ, Robert Mundel氏)

今後、じっくりと聞いた内容を消化してみなさんにもお伝えしてゆきたいと思います。

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執筆、連載などのお知らせ

2008年5月11日 13:05

執筆、連載などのお知らせ

5月11日に発刊された日経ヴェリタスで私の連載が始まりました。資産運用の具体的方法を5回で解説します。ご覧ください。

また、12日より日経NET → マネー → 経済羅針盤にも私の連載が始まりました、こちらは個人投資家の投資について雑感を書いてゆきたいと思っています。こちらは2~3か月に一回のペースです。

さらに15日より東洋経済オンライン → マネー → 資産運用・投資信託に資産運用のポイントを書いてゆきます。これは月に二回のペースです。

2月から書き始めた「しあわせ持ちになれるリラックス投資入門」は週2回のハイペースで続いています。

最後の書籍の出版ですが、「ミドルエイジのための資産形成マニュアル」という本がもうすぐ、毎日コミュニケーションズから出版されます。2005年 の「30歳からはじめる『品格あるお金持ち』になれる資産形成入門」、「100歳までの長期投資*コア・サテライト戦略のすすめ」に次ぐ本です。書き込み シートにデータを書き入れつつ資産運用ができるようになっています。近く本屋さんに並ぶと思います。乞ご期待!

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体験的情報化の変遷(3)

2008年5月 5日 11:51

「株価情報はもういらないよ」とアメリカの機関投資家のお客に言われてショックを受けたのですが、それでも、そのころはマーケットの概況や主なニュースについては早朝に電話をすると聞いてくれました。特に、薬品関係やハイテク関係のニュースなど、短時間で英語の単語を調べて相手に伝えるのは大変でしたが、英語の勉強にはずいぶんなりました。しかし、それもまた、ある時、「いらないよ」ということになってしまいました。日本のマーケットの詳しい状況や、主なニュースが英語でロイターズなどで即座に見ることができるようになったのです。そのお客からは、「これからはニュースはいらない。そのニュースをどう評価するか、君の意見が聞きたい」と言われました。

株価を伝えるという仕事は結構、メリットがあったのです。なぜなら、相手がどんな銘柄に興味があるかわかるからです。しかし、それがなくなってしまったわけです。そこで、「これからはあなたの興味のありそうな銘柄についてきちんと分析をしてあげるから、銘柄リストを教えてくれ」と話し、ついにそのリストをもらいました。全部で50銘柄ぐらいあったと思います。

ちょうど私はそのころアメリカの証券アナリスト資格、CFAの勉強をしていました。そこで、それらの銘柄をCFA受験プログラムで教えているような方法で分析しお客に提供しはじめたのです。それは私にとってもCFA受験勉強にもなったのです。銘柄数も多く、50銘柄を半期ごとに、しかも、連結と単体の両方の数値をアレンジしなおして分析したので、ほとんど週末はすべてその作業につぶれてしまう状態でした。しかし、このサービスは非常に喜ばれました。日本の株式をアメリカ流の手法で分析するというのは当時、あまり行われていなかったのです。アメリカのアナリスト連中とも、日本株の話をするときにようやく、「共通の言語」で話ができるようになりました。

毎日、毎日、数字を見て、それを加工していると、だんだん、数字が物語を語ってくれるようになります。時系列の財務比率などをみていると「あれ?」と思う数値がある。その原因を探っていくとまた別の要因が見つかる。こうして数字から、その企業で何が起こっているかを感じ取ることができるようになったと思います。

年に何回かは、お客と日本を訪問して企業を直接訪問しました。財務指標をさんざん見て、その背景を自分なりに類推しているので、面談によりそれを確認することができるのです。工場など生産現場もよく見せてもらいました。工場での製品の流れの速さが前回、見たときと比べて遅くなっている。そのような時は、経営陣がどんな強気の発言をしてもちょっと注意が必要です。また、受付の態度や、会社全体の雰囲気など数値では得られない貴重な情報を得ることができました。

その後、1984年に東京に転勤になり、情報部という投資戦略を策定する部門でチーフ・アナリスト兼ストラテジストという仕事につきました。私の担当した部門の仲間に私の手法を教え、組織としてきちんとしたレポートを発行するようになったのです。ちょうどバブルが始まりかけていた1980年代の中頃でした。

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岡本和久のI-OWA日記

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