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AIJ事件で思うこと

2012年2月27日 10:17

AIJ事件に関して決して忘れてはいけない原点は、被害者は唯一、「年金受給者」であるということです。

投資顧問の社長、(社外を含め)取締役、担当スタッフ、監査役はいうまでもなく、会計監査を行っている会社、資産管理を行っている信託銀行も当然、責任はあると思います。

さらに年金基金だって、「我々は被害者だ」とか、「金融庁がもっとしっかり検査をすべきだった」という言い訳は通りません。この投資顧問を採用したのは自分たちだし、四半期に一度は運用報告を受けていたはずです。その時に、なぜ、彼らのパフォーマンスに疑問を持たなかったかということは問われるべきです。「我々にはわからなかった」では済まないのです。

確かに年金基金、特に比較的小さい会社が集まって作っている総合型基金にはいわゆる専門家が少ないという事実はあるのだと思います。しかも、年金担当者はどちらかというと、人事畑や厚生畑から送り込まれてくる人が多く、必ずしもファイナンスに習熟しているとは言えないケースが多いのです。また、基金のトップもどちらかと言えば公的なポジションにあった人が天下ってくるケースも良くありました。

そんな状態ですから、売る方も買う方ものんきな(というより無責任な)ものです。「よろしく頼むよ」、「任しといてください!」で採用が決まる。ほとんどが系列やビジネス取引関係で決まっていました。私のいた米系の投資顧問の当時の会長が、「あれはTrust me salesっていうんだ」と言っていました(そう言えば以前、Trust meっていった総理もいましたが・・・)。

1990年代の中ごろまではそれがむしろ当たり前だったのですが、21世紀になりそれも随分、改善してきたと思っていました。それから10年以上を経たいま、やはりこのような問題が起こっていることは驚きでもあります。結局、年金基金そのものにも、年金受給者から委託されて運用機関を選び、そのパフォーマンスをモニターしているという意識が少なかったのではないかと思わざるを得ません。

投資のことをあまり知らない個人が目先の高いリターンにつられてハイリスクの投信を買って大やけどをするのとほとんど同じ過ちを、プロと思われる人たち、しかも、我々の大切な年金の運用に携わる人たちが犯してしまったのです。これは日本固有の専門家とか、プロを育てがらない人事制度とも関係がありそうです。ここは言い訳をしないで、どんなに痛みが伴っても問題と正面から向き合って欲しいですね。

みんなが被害者のような顔をして、すべての責任を問題の投資顧問会社に押し付けるのではなく(もちろん、最大の責任はこの会社にあるのですが)、全部の関係者が本当に受益者のためにベストを尽くしたのかどうか、あらゆる努力をして不正を発見しようとしたのかどうか、その点をしっかりと調べ尽くし、しかるべき責任を課して欲しいと思います。

あいまいな解決をしてしまうと、我々にとって大切な「マーケット」の浄化が進みません。この事件、結局、煎じ詰めるとプロフェショナリズム、職業倫理、行動規範の問題だと言えると思います。本来、すべての関連機関がプロとしての責任を持って行動していれば未然に防げたかもしれない事件です。その意味ではオリンパスの事件などとも共通する側面がすごくあります。組織になかに埋没してしまい、個々人の責任があまり問われない日本的組織形態の悪い面が象徴的にでているような気がしてなりません。

(Facebookのグループ、Club Investlifeへの寄稿に加筆しました)

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もっと配当金を注目しよう

2012年2月20日 11:08

株主は株式の発行企業に対して色々が権利を持っています。例えば、株主総会に出席して議決に参加する権利、万一、会社が解散することになった場合、残った 財産を請求する権利などです。そのなかでも一番、直接的に重要なのが利益の一部を配当金としてもらえる権利です。ある意味、株主と株式の発行会社の間の 「絆」となっているのが配当なのです。

株式の価値は未来永劫にわたって支払われる配当金の現在価値の合計であるとされます。つまり、今 年、来年、再来年、さらに10年先、100年先の配当金それぞれが、現在、どれぐらいの価値を持っているかを計算して、それを合計したものが現在の株価だ ということです。もちろん、100年先と言わずとも、5年先でも、10年先でも配当金や、配当金の原資になる利益の予測は非常に難しいものです。また、そ れは投資家それぞれの判断によって異なります。そこで、ある人は「この株が1000円なら安い」と思い、別の人は「1000円では高い」と判断し、その結 果、取引が成立しているのです。

配当金の流列が現在の株価を決める。だから、配当金の原資である利益が重要である。流通市場で毎日、乱高 下している株価は、将来の配当金に対する投資家ひとりずつの見通しが変化している結果なのです。企業と株主を結びつける「絆」が配当金です。長期投資のグ ル、ジェレミー・シーゲル氏はこんなことを言っています。

「経営陣がつねに、あくまで株主の利益のために行動するというなら、配当は重要 ではない。だがそうではない大多数の企業では、決定的に重要となる。株主と経営陣との間に信頼関係が築かれ、収益に関する経営陣の発言が裏付けられるから だ。・・(略)・・配当がなくてはならないほど重要なのは、それが信頼の印となるからだ。」

企業が会計操作や不正行為などをしていたとしても一般投資家はなかなかそれを知る術がありません。しかし、株主のための配当を払ってくれるということは一番、確かな事実として株主と企業を結び付けています。

多 くの投資家が株価ばかりを注目して配当を忘れがちです。でも、上記のような理由で配当は本当に重要です。さらに、配当を再投資することの効果も見逃せませ ん。景気が悪くなり株価が下がり、配当も減ることは良くあることですが、普通は株価の下落率よりも配当の下落率は小さいのです。その結果、もらった配当金 でそのときの株価で再投資をすると積み立て投資と同じような効果を得ることができます。これを続けていれば持ち株の配当利回りを向上していくことが可能で す。

前述のシーゲル氏の試算によると、「1871年から2003年にかけて、インフレ調整ベースで、株式の累積リターンの97%は、配当 再投資が生み出してきた。値上り益が生み出した部分は3%にすぎない」ということです。配当金はもっと重視されることが市場の活性化にも必要なのではない かと思います。

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I-OWAマンスリー・セミナー開催

2012年2月20日 10:15

 2月19日にI-OWAマンスリー・セミナーを開催しました。

私はいま、名著「ヨミトキ」シリーズとして、資産運用、投資に関する名著の解説をしています。これまでに、マルキール、エリスや、昨年、11月にはベンジャミン・グレアムの「賢明なる投資家」、1月にはジェレミー・シーゲルの「株式投資」と「株式投資の未来」につき解説。今回はフィリップ・フィッシャーの「Common Stocks and Uncommon Profits(邦訳、フィッシャーの「超」成長株投資)」を紹介しました。最後にそれぞれのアプローチを比較してみましたが、まったく投資哲学が異なる人たちに一貫して共通しているのが「長期投資」ということです。来月はジョン・テンプルトン卿の「Templeton Touch」の解説です。また、バーゲンハンターとしての異なった考えをお話するのが楽しみです。

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ゲストは伊藤宏一さんをお迎えしました。テーマは「幸福の指標と生活設計論の転換」でした。GDPの成長が本当に国民の幸福につながるのかという世界中で起こっている議論をまとめてお話いただきました。みなさん、幸福とな何なんだ?ということを自ら考えてみるよいきっかけになったと思います。

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そして、お待ちかねの懇親会。ソフトドリンク、ビール、ワインを片手に幸福論議に花が咲きました。特に幸福度を指数化することに対する疑問の声もあり、とても良い議論ができたと思います。

マンスリー・セミナーの全内容は有料動画でご覧いただけます。ご希望の方は当社までご連絡ください。

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資産運用「気づきのタネ」(62) リスクとリターンの図にご用心

2012年2月11日 01:19

 リスクとリターンの図にご用心


みなさんはリターンの図を見たことがあると思います。普通はここに掲載するグラフの左側のような形で書かれています。縦軸にリターン、横軸にリスクが描かれていて、確かにリスクが高くなるほど(グラフの右に行くほど)リターンが高くなっています。「なるほど、ローリスク・ローリターン、ハイリスク・ハイリターンというのはこういうことか」と何となくわかった気がします。

しかし、その本当に意味するところはわかっていないことが多いのです。リスクというのは平均のリターンからの散らばり方です。そして、メドとしてリターンは三分の二の確率で「平均±リスク」の範囲に収まるのです。三分の二では心もとないというのであれば、「リターン±リスクの二倍」の範囲に95%の確率でリターンが入ります。

それを図にするとこのグラフの右側のような姿になります。

緑色の線がローリターン(L)の場合のリスクだとします。それが意味するところは、リターンは95%の確率で右の(L)の上下に緑の線が二つずつ伸びた範囲入るということです。これでもかなり大きくぶれていることがわかります。さらに、ハイリターン(H)の場合には上下への変動が驚くほど大きいのです。要するにすごく儲かるかもしれないけれどすごく損するかも知れない。それがリスクの本質です。

左のグラフと右のグラフは同じことを示しています。しかし、多くの場合、左のようなグラフを見てリスクを軽く考え、高いリターンにつられてしまうのです。営業マンに左のようなグラフを見せられたら、必ず右のように描きなおして見せてくれるように頼むと良いと思います。

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「投資教育家」と「ファイナンシャル・ヒーラー」

2012年2月 5日 20:48

ベンジャミン・グレアムの名著、「賢明なる投資家」の序文でウォレン・バフェットが次のように言っています。

生 涯を通じての投資で成功するためには、知能指数がずば抜けて高い必要もなければ人並み外れた洞察力を持つことも、内部情報に通じている必要もありません。 必要なのは、意思決定のための適切かつ知的なフレームワークと、それを働かせないような力から感情を一定に保つことができる能力です。

私はかねてから自分の天職は「投資教育家」であり、同時に「ファイナンシャル・ヒーラー」であると考えています。

バ フェットのいう「 意思決定のための適切かつ知的なフレームワーク 」をそれほど知識も経験も時間もない一般生活者のために提供するのが「投資教育家」としての私の仕事です。投資を始めるためには決して難しい知識や長い経 験は要りません。本当に基礎的なことをいくつか知っておけばよいのです。しかし、また、それを知らずに投資をするとひどいことになる恐れがあります。そし て、投資の世界は奥が深いものです。少しずつ投資に習熟してきて、興味が湧いてくるのであれば、さらにステップアップしていけばいいのです。

そ して、バフェットの言葉にある「感情を一定に保つことができる」ようにするのが、 「ファイナンシャル・ヒーラー」の仕事です。人生を通じての資産運用は孤独な長旅です。途中は晴天の日ばかりではありません。むしろ、その晴天の日は少な いといってもいいでしょう。金融危機、バブル崩壊、自然災害、インフレやデフレ、戦争、その他諸々の色々なことが起こります。それにマーケットは日々、反 応します。特に短期的には極端な動きをすることが多いのです。それが心の中にストレスを生みます。そして、そのストレスから逃れるために長期投資をやめて しまう人も多いのです。そうならないように、「こういうことも時々あるんだ、安心して自分の定めた道を歩み続ければいいんだ」という「癒し」を与える、そ れがファイナンシャル・ヒーラーとしての私の仕事です。

投資教育とファイナンシャル・ヒーリングは長期投資に不可欠な車の両輪です。微力ながら私の仕事によって、少しでも多くの人々が将来の経済的独立を勝ち取り、金融面の束縛から解放されることを心から願っています。

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当社オフィス近辺のラーメン・マップ

2012年2月 2日 14:08

 I-Oウェルス・アドバイザーズは恵比寿と広尾の間あたりにありますが、ありがたいことに近所(特に恵比寿方面)はラーメン激戦区でおいしい店がたくさんあります。当社のお越しの節は是非、お寄りください。

シマダヤさんが作成した恵比寿ラーメンの地図に当社の位置を書いておきました。(地図をクリックするとポップアップします)

ちなみに私の好きな店は1、2、7、16、27、29などです。私はおそらくこの近辺では40軒ぐらい行っていると思いますが、どんどん新しい店ができていて、このリストを見ても行ったことのない店が結構ありショックでした。

 

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こんな投信が欲しい......妙味大きい「高配当を再投資する投信」

2012年1月30日 17:32

 東洋経済オンラインに寄稿しました。

 こんな投信が欲しい……妙味大きい「高配当を再投資する投信」

高配当利回り株に投資をし、その配当を再投資すると、株価が下がるほど、より高い利回りになった株をより多く買えます。無分配で分散を利かせてそれをやってくれる投信があったらいいなあ・・・と思って書きました。

寄稿記事へのリンク

 

 

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I-OWAの会社、セミナー、私の略歴などをYoutubeにアップしました

2012年1月28日 21:34

 I-Oウェルス・アドバイザーズの会社概要、クラブ・インベストライフ、マンスリー・セミナー、私の略歴と諸情報につきYoutubeにアップしました。これを見ていただくと当社の全体がお分かりいただけると思います。

I-Oウェルス・アドバイザーズについて(8.5分)

当社のビジョン、理念、目的などについてお話しました。

クラブ・インベストライフについて(10分)

 クラブ・インベストライフの目指す投資、個人投資家宣言、会報誌、セミナーとサロン活動などにつき解説しています。

マンスリー・セミナーについて(8分)

マンスリー・セミナーの目的、プログラム、講演内容、ゲスト講師、教室会員とネット会員などにつき説明しました。

岡本和久の紹介と諸情報

私の略歴~証券アナリストの時代、年金運用の時代(9.5分)

私の略歴~投資教育家&ファイナンシャル・ヒーラーの時代、諸情報(7分)

これを見ていただくと当社の概要がお分かりいただけると思います。
お知り合いの方にもご紹介いただけるとうれしいです。

 

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資産運用「気づきのタネ」(61)資産運用、失敗への三段階と薬

2012年1月28日 10:08

資産運用、失敗への三段階と薬


インドの伝統医学、アーユルヴェーダの日本における第一人者で私もお世話になっている蓮村誠先生がFacebook上に以下のようなコメントを掲載されました。

①人が間違った行為をしている時、それには3つの段階があります。一つ目は単なる勘違いや思い込み。これは正しい知識を持つ事で訂正できます。例えは健康に良いと思い込んで水を毎日2リットル飲んでいる人が、実は身体を冷やすので良くないと知ればやめる事ができます。

②2つ目は1つ目の状態が進行し正しい知識を持っても間違いを訂正できない段階。例えは過食症。食べ過ぎている事を分かっているのにやめられない、身体に良くないと知りながら食べ続けてしまいます。過食後に嘔吐するのは食べ過ぎが良くないと分かっているからです。 

③3つ目はさらに進行した段階で、もはや自分の間違いに気づく事ができません。嘔吐する事もなく過食を続け、やがて肥満、高血圧、糖尿病などの病気になってしまいます。では何故人は間違ったことをするのでしょうか? 人である限り間違える事は仕方がないのでしょうか?

このコメントに触発されて人生を通じての資産運用における「失敗への三段階」について書いてみます。

① 投資も資産運用も何も知らず、また、知ろうともしない。将来の自分はいまの自分が支えるという発想もない。「投資は危ない」、「博打だ」と思って、ただ、銀行預金だけしていればよいと思っている。しかし、あるとき、友人が株、投信、FXなどで大儲けをしたと聞くと突然、投機をはじめ大損をする。そして、二度と投資(実は投機)などするものかと思う。

そのような人に必要なのは投資教育です。基本的な知識が身についてくると資産運用の必要性と、どのようにすれば安定的に資産を形成できるかがわかってきます。金融資産全体の配分を重視する、リスクを管理する、コストに注意するなどです。投資教育によってカオスから少しずつ行動が秩序だってきます。

 ② 知識に基づいて投資をしているうちに短期的な暴落などが起こります。それはよく起こることだとは頭では分かっていてもやはり心配になります。恐怖という敵が攻撃してくるのです。もしかしたら、大変なことになるのではないか、資産運用などしなければよかったのではないか・・・と怯えてしまうのです。そして、せっかく始めた「人生を通じての」資産運用を途中でやめてしまうのです。

この段階で必要なのがファイナンシャル・ヒーリングです。心に生まれるストレスを癒してあげる。理論と体験に基づいたアドバイスによって長期投資の長旅を支えてあげることでこの段階の失敗を避けることができます。

③ 資産運用に慣れてくると次の敵がやってきます。欲望という敵です。このときの行動は二通りに分かれます。一つは理論通りにやっているのだが、どうもパフォーマンスが「かったるい」。もっと早く、もっとたくさん儲かるのではないか。そこで理論を無視して投機に走ります。もう一つのタイプは理論を過信するタイプです。高度な数学・統計学と高性能のコンピュータなどを使って人を出し抜こうとします。でも、結局、両方とも「ゼロサム-コスト=マイナス・サム」の世界での勝負です。これらは長期で見ればうまくいきません。たまたま幸運に恵まれ、うまくいったのを自分の実力だと思ってしまうのです。

ここで必要なのが「急がない、欲張らない、争わない、考えすぎない」という私が提唱する「リラックス投資」です。

蓮村先生の三段階とは少し違うかもしれませんが、人生を通じての資産運用では三つの敵と戦う必要があります。三つの敵とは、無知、恐怖、欲望です。そして、それらに対する薬が投資教育、ファイナンシャル・ヒーリング、リラックス投資なのです。

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インベストライフ勉強会開催しました

2012年1月27日 13:30

 1月26日、インベストライフ勉強会を開催しました。

テーマは「年初雑感」ということで、投資環境(危機の玉突き、ASEANに注目)や投資戦略などの話に加えて「2010年代:日本の課題」についてお話しました。

日本の課題はやはり、年頭(だいぶ経ってしまったけど)にあたって我々の立ち位置を確認したいと思って選んだテーマです。

まだ、本当はもう少し考えたいのですが、現時点でまとめたものを添付しておきます。不完全な部分もあり恐縮ですが、ご意見などいただけるとうれしいです。

 

2010sKadai.pdf

 

 

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岡本和久のI-OWA日記

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