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きほんのき

2010年6月20日 13:16

● 先日、サンフランシスコでアメリカ人の友人とランチをしていたときの話です。色々、投資教育の話などをしていたら、「ところで、SAVEと INVESTというのはどう違うんだろう?」と聞くのです。面白いことを聞くなと思い、「どうして、そんなことを聞くの?」と言うと、彼の奥さんが子ども のために買った貯金箱には、SAVE(貯める)、SPEND(使う)、DONATE(寄付する)、INVEST(投資する)というコインを入れる四つの口 があるというのです。興味をもったので是非、それを見たいと言ったらリンクを送ってきてくれました。確かに四つに分かれています。

http://www.amazon.com/Money-Savvy-Piggy-Bank-Purple/dp/B0030215EU

●  日本の「貯金箱」はただ、おカネを貯めるのが目的のようですが、アメリカの貯金箱はおカネの使い道をどうするかを自分で決めるための道具なのです。だか ら貯金箱ではなくて、ピギー・バンク(子豚ちゃんの銀行)というのでしょうか。子供たちが小さな銀行の経営者になって自分のおカネの使い方を決める。その 使い道が、貯める、使う、寄付する、投資するという四つだというのです。

● マクロ経済学的に言えば、「投資」というのは、企業が新しい 機械や建物などの資本財に資金を投下して、将来、収益を得ようという行為です。そのような企業活動に株式や債券を通じて資金を提供するのが金融投資です。 金融投資を行う原資となるのは、収入から消費を差し引いた残りのおカネ、つまり、貯蓄です。その意味では、「貯蓄」は銀行に預けること、投資は株や債券や 投信を買うことというのは正確ではありません。例えば引出にしまっておくおカネも貯蓄なのです。貯蓄はリスクを取っているおカネではありません。ですから 元本は、少なくとも名目的には安全です。一方、投資は元本をリスクにさらして、その資金が稼いだ収益の一部をリターンとしてもらうのです。つまり、「貯 蓄」の使いみちのひとつが「投資」です。

● そう考えるとピギー・バンクに四つの入れ口がついているのは面白いと思います。おこづかいを もらう。その一部は使う。そして残りは貯める。それが、だんだん貯まってきたら、それをおカネが必要な人のための投資に回して、将来のリターンを得る。ま たは、貯まったおカネの一部を寄付して、人助けをする。これはこれで人に喜んでもらって「うれしい、よかった」というリターンを得ているのです。自分が得 たおカネをどう使うか自分で決めるという作業がピギー・バンクに象徴されています。その意味では、「SAVE」は「貯める」というより「とっておく」と 言った方がいいでしょう。

● 日本の招き猫などの貯金箱を見るとおカネの入れ口はたった一つです。そして、それを使うときには貯金箱を壊 さなければ使えません。やはり、ひたすら「貯める」ということを重視する日本と、おカネを使う分ととっておく分に分け、とっておいたおカネを人々のために 役立てるという海外の文化の違いがここにも表れているようです。

きほんのき

2010年6月20日 13:16 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

5月のマーケット・レビュー

2010年6月 5日 16:47

● ベンチマークの月間パフォーマンス(配当を含めたトータル・リターン)
【日本株式  】   10.8%  (配当込東証株価指数)
【日本債券 】    0.3%   (野村BPI指数)
【先進国株式】 -12.2%  (MSCI KOKUSAI、円換算値)
【新興国株式】 -11.4%    (MSCI Emerging Markets、円換算値)
【外国債券  】  -6.0%   (CITIGROUP WGBI 円建)

● 基本ポートフォリオの月間パフォーマンス
①積極型             -9.8%
②成長型          -7.3%
③安定型          -4.7%
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①国内株式40%、先進国株式36%、新興国株式4%、国内債券10%、海外債券10%
②国内株式25%、先進国株式22.5%、新興国株式2.5%、国内債券25%、海外債券25%
③国内株式10%、先進国株式9%、新興国株式1%、国内債券40%、海外債券40%
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円高に思う

● 「100年に一度」といわれた金融危機を回避するために各国は超低金利政策を実施すると同時に、財政出動による救済を行った。その結果、どの国も財政赤字に悩むこととなっている。要するに金融危機が財政危機に形を変えたのだ。

●  その結果、どの国も輸出を増やし財政の穴を埋めようとしている。アメリカは消費主導から輸出主導へと向かっている。ユーロでもドイツはギリシャを助ける 代わりにユーロ安によって輸出で儲けようという意図が働いている。つまり、自国通貨を安くするというインセンティブがどの国でも働きやすい。

● 円の「独歩高」は日本のファンダメンタルズが良いから起こっているのではない。むしろ、各国が自国の通貨安を誘導している結果であろう。日本の政治的空白という弱さゆえに、押しつけられた円高なのではないかと思う。

●  目先はともかく長期的に見れば円高は日本にとってプラスである。円高を活用して海外の高収益資産(企業買収なども含め)を買い付けることで最終的に日本 に資金を取り戻すことも長期的には可能であろう。また、日本企業がこれまで遅れていたグローバル化をする協力な武器であるともいえる。

● しかし、問題は、為替動向が日本の意向と都合と関係なく他国の事情で起こっているところにある。国内政治のみならず、国際的な面で日本の政治的リーダーシップが本当に求められている理由がここにもある。

5月のマーケット・レビュー

2010年6月 5日 16:47 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

4月のマーケット・レビュー

2010年5月20日 10:31

● ベンチマークの月間パフォーマンス(配当を含めたトータル・リターン)

【日本株式  】   0.8%  (配当込東証株価指数)
【日本債券 】   0.8%   (野村BPI指数)
【先進国株式】   1.1%   (MSCI KOKUSAI、円換算値)
【新興国株式】   2.2%    (MSCI Emerging Markets、円換算値)
【外国債券  】   4.6%   (CITIGROUP WGBI 円建)

● 基本ポートフォリオの月間パフォーマンス

①積極型      1.3%
②成長型          1.8%
③安定型          2.3%
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①国内株式40%、先進国株式36%、新興国株式4%、国内債券10%、海外債券10%
②国内株式25%、先進国株式22.5%、新興国株式2.5%、国内債券25%、海外債券25%
③国内株式10%、先進国株式9%、新興国株式1%、国内債券40%、海外債券40%
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ギリシャの次は日本か?

●  ギリシャの財政問題が深刻化し、国家債務の信用度が問題になっています。さらには、やれ、PIGS(ポルトガル、アイルランド、ギリシャ、スペイン) だ、いや、PIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)だ、はたまたSTUPID(スペイン、トルコ、英国、ポルトガル、イタ リア、ドバイ)だなどと懸念の輪が広がっています。人によっては次は日本だと懸念する人もいます。

● たしかに日本の財政状況が非常に大きな問題 になっているのは事実です。でも、結論からいうと、日本がいますぐ財政破綻するということはちょっと考えにくい状態です。まず、日本国債は95%日本にい る人が保有しています。つまり、国内の貯蓄で借金がまかなわれているのです。

● 先日も日経新聞(5月11日)に2009年末の「国の借金が 882兆円になり、国民一人当たり693万円である」という記事がでていました。これは正しい表現ではありません。これは国の借金ではなく、「政府の借 金」です。そして、国民一人当たりの借金ではなく、「国民一人当たりが政府に貸しているおカネ」なのです。

● 卑近な例をあげましょう。いま、あ る家庭で親父が収入以上、どんどんおカネを使っているとします。当然、資金が足りなくなるので、奥さんからへそくりを借りて使っています。これが現状で す。つまり、親父が政府、奥さんが家計部門です。つまり、その家庭全体としては外部からの借金はないのです。

● 問題は、親父がこのままどんどん おカネを使っているといつか奥さんのへそくりが底をつくのは目に見えているということです。そうなってしまうと、元利金を支払うためにも外からおカネを借 りてこなければならなくなります。当然、奥さんが貸してくれるよりは厳しい条件になります。

● 日本の家計部門は1400兆円の金融資産を保有しています。それに対して政府の借金が882兆円。いつ、これが交差するかというのが問題なのです。諸説ありますが、2015年とか、2020年などという人が多いようです。

● 結論は、ギリシャが破綻しそうだからといってすぐに日本が危ないことはない。しかし、ほっておくと大きな問題が起こることはわかっている。つまり、できるだけ早く、厳しい対策であっても講じなければ、国の規模からいってもギリシャどころの騒ぎではなくなる。

●  日本が抱える一番の問題は、この厳しい対策をどのような政治的リーダーシップのもとにできるのかということです。これは本当に心もとないですね。もし、 日本人の手で解決できなければ、IMFなどが介入して厳しい手段を否応なく実行することになるでしょう。日本はいま、この面からも本当に政治のリーダー シップを問われているのです。

4月のマーケット・レビュー

2010年5月20日 10:31 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

4月のマーケット・レビュー

2010年5月 5日 10:38

● ベンチマークおよび基本ポートフォリオの月間パフォーマンスはデータが不ぞろいのため次回にお送りします。
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● マーケットは相変わらず神経質な展開が続いている。ヨーロッパではソブリンリスク、アメリカでは金融制度の抜本的改革の行方、日本は政治の問題、中国さえも万博が始まりちょっと材料が出尽くしつつある・・・。色々あるが、大切なことは大きな方向性を見失わないこと。

●  言うまでもなく「100年に一度」と言われた金融危機の爪痕は大きい。それが一朝一夕に回復すると思うのはあまりに楽観的過ぎる。日本の1990年以降 と同様、今回はグローバルに不動産業界と金融業界の両方がダメージを受けている。これらは長い期間をかけて療養生活をおくることになるだろう。

● 一方、工業製品、消費財、インフラ投資関連の素材などは今後、かなりの成長をすることになろう。特に太平洋圏の需要の高まりが機関車役を果たすことになる。

● 前年度、日本の上場企業は「減収増益」を達成した。言い換えれば損益分岐点を下げる努力が相当、効を奏してきたということだろう。したがって、うまく「アジア内需」を売上増につなげることができれば、かなり大幅な増益も期待できるのではないかと思う。

●  金融や不動産といったアセットをベースにした産業が調整期に入り、一方で製造業を中心に実物経済が成長の中心になることで、マーケットは「業績相場」の 色彩を強めていくことになる。いままでバリュー株と比べてアンダーパフォーマンスを続けていたグロース株が復活する可能性もでてきていると思う。

4月のマーケット・レビュー

2010年5月 5日 10:38 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

国民総幸福量(GNH)の話を聞く

2010年4月20日 14:00

● 全国44経済同友会共催で第23回 全国同友会セミナーが、いま、熱い高知市で開催されました。私も参加させていただきました。参加者は総勢900名以上、土佐経済同友会の方々のご尽力もあり、熱気のこもったセミナーとなりました。

● 今回のテーマは「今こそ、日本を洗濯いたし申し候」です。何と言ってもハイライトはブータン王国の首相、ジグミ・ティンレイ氏の「地球規模での幸福な経済成長の実現 -GNHの国、ブータンからの提言-」と題する基調講演でした。首相は、民族衣装で登場、流暢な英語で一時間の講演をされました。色々と気付かされることの多いお話でした。

● 国民総幸福量(GNH)は1972年に、ブータンのジグミ・シンゲ・ワンチュク国王が提唱した「国民の幸福度」を示す”尺度”です。すでに30年以上の歴史があり、国勢調査でも、国民の52%が「幸福である」、45%が「非常に幸福である」と回答しており、着実に成果を上げています。

● 現代の社会はGDP崇拝と市場支配の結果、病んでしまっている。「人生の目的はハッピネスである」と認識し、そのために病んだ社会を「バンドエイド」的対策ではなく、抜本的な方策で変える必要がある。ブータンのGNHはいま、主要国でも注目され始めており、OECDでも新しい指標が開発されつつあり、カナダ、オーストラリア、フランスなども実施を検討しているとのことでした。

● 私が一番、強く受けた印象はGNHは必ずしもGDPと相反するものではないということです。重要なことはまず、GDPを成長させることが大切なのではなく、GNHを成長させた結果としてGDPが成長するということなのです。それはとても納得できます。

● ブータンは国民の幸福度を測るための指数を開発しています。そのためにさまざまな分類の項目につき国民の声を直接聞き、幸福感の度合いを数値化しています。その結果、政府と国民の間の直接対話が生れているように思います。その点はマスコミがなんとなく世論の代表のような役割を負っている日本と違いますね。

● 首相は、「龍馬のインスピレーションが明治維新を実現し、日本の繁栄をもたらしたではないか。GDPによる成長で最も成功した日本が、自ら日本のあり方を選択し、世界に新しい国家のあり方のモデルを示してもらいたい」と言う言葉で講演を終えました。これはちょっと耳が痛い感じがしました。

国民総幸福量(GNH)の話を聞く

2010年4月20日 14:00 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

3月のマーケット・レビュー

2010年4月 5日 12:24

● ベンチマークの月間パフォーマンス(配当を含めたトータル・リターン)

【日本株式  】  10.4%  (配当込東証株価指数)
【日本債券 】  -0.1%   (野村BPI指数)
【先進国株式】 11.1%   (MSCI KOKUSAI、円換算値)
【新興国株式】 12.8%    (MSCI Emerging Markets、円換算値)
【外国債券  】  0.3%   (CITIGROUP WGBI 円建)

● 基本ポートフォリオの月間パフォーマンス

①積極型    8.7%
②成長型        5.4%
③安定型        2.2%
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①国内株式40%、先進国株式36%、新興国株式4%、国内債券10%、海外債券10%
②国内株式25%、先進国株式22.5%、新興国株式2.5%、国内債券25%、海外債券25%
③国内株式10%、先進国株式9%、新興国株式1%、国内債券40%、海外債券40%
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● 日経平均は昨年を10546で終えた。1月には11000円をうかがう動きとなったが、二月上旬に下落、9867円をつけた。その後、世界景気先行きに対する安心感が広がり3月の株式市場は堅調となった。日経平均も年初来5%強の上昇で11000円台にのせる動きとなった。

● 今年も1月3日に経営者20名の株価見通しが日経に掲載されていた。実に20名のうち、15名が今年は1~3月のどこかで安値をつけると予測している。しかも、その安値のレンジは9500~8000円と昨年末水準から1000~2500円の下落を予測していた。

● この結果をもって回答者の予測が正しかったかどうかを判断するのは難しい。しかし、改めて痛感するのは、マーケットは、かくのごとく「わからない」ものだと言うことだ。本来、経済の動きを一番肌で感じている、大企業の中枢にいる人々ですらこの結果だったということである。

● 長期的視点で考えてみよう。10年前、まさにアメリカ市場はITバブルの真っ只中だった。次の10年で情報産業はもっともっと進化し、IT産業は高成長をし、株価は上昇をし続けるはずであった。事実、情報化は進み、IT企業で高度成長するところもあった。が、ITバブルは崩壊した。

● 20余年前、日本は「東京湾マンハッタン構想」に湧いていた。世界金融の中心、東京のウォーターフロントは高層ビルに埋め尽くされ、東京湾岸に土地を持つ企業は大きな収益を得ると予想された。実際に東京はマンハッタンのように高層ビルが立ち並ぶ町に変容した。しかし、いま、株価はピークから7割も下の水準である。

● そして、いま、成長をバックに新興国株式市場が長期強気市場に入っていると思っている人が多い。おそらく、その予想通り、経済的には10年後、新興国はいまよりはるかに大きな地位を占めているであろう。しかし、それがそのまま株式の永遠の上昇につながるのだろうか。頭の片隅にそんなことを置いて投資を考えるべきときにあると思う。

3月のマーケット・レビュー

2010年4月 5日 12:24 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

Wealth Management Conferenceに出席して

2010年3月20日 13:22

国際的証券アナリストの職業団体であるCFA協会が主催するWealth Management Conferenceが米国アリゾナ州のフェニックスにおいて開催されました。私は2005年以来、六回目の参加、今回も日本からの唯一の参加者でした。

合計12の講演が一日半にわたり行われました。どれも非常に質の高い内容で、いつもの事ながら学ぶことがとてもたくさんありました。そのなかでもハロルド・エバンスキー氏の講演は示唆に富むものでした。

「退 職前には資産は定期的に増加する、退職後は、それが徐々に減少する。その結果、二つに一つのことが起こる。銀行に預金を残したまま(予定通り)に死ぬか、 あるいは死ぬ前に資金が尽きるかだ」というウィリアム・シャープ博士の言葉にもあるように、いま、資産運用は大きなパラダイムの変化期にあります。興味深 いデータが紹介されました。

● 米国においても2009年から2025年の間、7秒に一人の人が59.5歳になる
● 米国において現在、65歳のカップルは、一方あるいは両方が50%の確率で91歳まで生きる

こ れまで資産運用は、いかに退職後のために資産を増やすかが主な目的でした。しかし、いま、先進国でベビーブーマーが退職期を迎えることになり、いかに運用 をしながら資産を取り崩していくかに焦点が移りつつあります。それは、証券市場にも大きな影響を及ぼすと同時に、そのようなマーケット環境のなかで、どの ような運用&取り崩し戦略がよいのかという大きな課題を我々に突きつけています。

この分野はまだ理論的にも完成されていない面がたくさん あるように思います。エバンスキー氏の講演では、退職後の人々が抱えるさまざまなリスクの分析、従来のモンテカルロ・シミュレーションの問題点、ポート フォリオからのキャッシュフローの確保の問題、インカム・リターンかキャピタル・リターンかなどの幅広い分野での氏の考え方が紹介されました。

エバンスキー氏とは3年ぶりの再会でしたが、色々、個人的にも話をし、見解を聞くことができとても有益な時間を持つことができました。この会議で学んだことを消化して、みなさまにも折にふれて解説していきたいと思います。

Wealth Management Conferenceに出席して

2010年3月20日 13:22 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

2月のマーケット・レビュー

2010年3月 5日 18:28

● ベンチマークの月間パフォーマンス(配当を含めたトータル・リターン)
【日本株式  】  -0.7%  (配当込東証株価指数)
【日本債券 】  +0.1%   (野村BPI指数)
【先進国株式】 +0.5%   (MSCI KOKUSAI、円換算値)
【新興国株式】 -0.6%    (MSCI Emerging Markets、円換算値)
【外国債券  】  -2.5%   (CITIGROUP WGBI 円建)
● 基本ポートフォリオの月間パフォーマンス
①積極型      -0.4%
②成長型        -0.7%
③安定型        -1.0%
-----------------------------------------------------------------
①国内株式40%、先進国株式36%、新興国株式4%、国内債券10%、海外債券10%
②国内株式25%、先進国株式22.5%、新興国株式2.5%、国内債券25%、海外債券25%
③国内株式10%、先進国株式9%、新興国株式1%、国内債券40%、海外債券40%
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● 「100年に一度」といわれた金融危機から世界経済は回復に向かいつつある。
しかし、それは決して各国に同時に起こるものでもなければ、一本調子に進行するものでもない。「行きつ戻りつ、こけつ、まろびつ」しながら回復していくものだ。そのひとつ、ひとつの出来事に一喜一憂するべきではない。大局観をもって状況を見ていかなければならない。

● 「出口戦略」は業績相場への「入口」である。いまは、流動性の量に支えられた相場展開から、業績に支えられた相場展開への移行期であろう。このような移行期には相場が不安定になるのも定石通りであるといえる

● 業績を支える要因はいくつかある。まず、日経新聞によれば今三月期の企業収益は「減収増益」になるとのこと。これは、企業の損益分岐点が下がっていることを意味する。売上が増加すると非常に大きな利益を生み出す態勢ができてきていることを示す。

● アジアを中心に膨大な中間所得層が生れつつある。彼等のニーズにマッチした商品に対する需要は、人口が多いだけに日本の60年代と比べても比較にならないほど大きい。この需要は新興国企業のみでなく、世界中の企業に大きな恩恵を与える。

● 日本国内でも、960万人といわれる団塊ジュニア世代が40代に突入しつつある。言うまでもなく40代から50代前半は人生のうち一番おカネのかかるときでもある。ここでも新しい需要が生れてくる可能性があろう。企業の損益分岐点が下がったところで、新しい需要により売上が増加すれば、そこで生れる利益は非常に大きなものとなる。三寒四温で本格的に春になっていくのと同じような環境にマーケットはあると思う。

2月のマーケット・レビュー

2010年3月 5日 18:28 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

「出口」戦略は業績相場への「入口」

2010年2月20日 16:17

● いまのマーケットの状況は、非常に古典的な回復過程をたどっています。相場にはおカネの量が増えてマーケットがかさ上げされる金融相場、業績が好調で証券の価値が増加することで上昇する業績相場、金融が引き締められて下落する逆金融相場、そして、業績悪が売られる逆業績相場があります。

● 「100年に一度」の金融危機のあと、各国政府は大幅に金融を緩和して危機を乗り切ろうとしました。それが昨年3月以来の株式市場の回復過程でした。いま、経済の安定化、成長への復帰を反映した業績相場への移行期に入っています。典型的に金融相場から業績相場への移行期には、マーケットがもたついたり、急落したりすることがよくあります。いまはちょうどその時期です。

● 現在、マーケットが不安視している材料を検討してみるとよくわかります。まず、中国やインドなどいち早く経済が回復した国が「出口」戦略を始めています。ちょうど病気で入院していた人が退院したようなものです。まだ、不安はあるけれど、ともかく自宅療養になった感じです。一方、欧州ではギリシアの信用不安の問題があります。これはまだ、病の後遺症がでている状態で、退院にはもう少し時間がかかりそうです。そして、アメリカの金融制度改革。これは、重い病の人が体力が少し回復してきたので、大きな手術を受けるようなものです。

● いずれの場合も基本的には金融不安が引き起こしたグローバルな問題に対処し、より健全な方向に向かおうと進んでいるのです。しかし、松葉杖がいらなくなったと言っても急に走りだせるわけではないのです。

● しかし、アジアを中心に世界的に消費需要は高まりを見せています。日本企業も色々問題はありますが、日経などによれば今期は「減収、増益」になりそうです。私の体験では「減収、増益」というのは極めて良い兆候であると言えます。目先の不安はありますが、大局的に見ると、「出口」戦略が始まりつつあるいまは業績相場への「入口」にあると言ってよいのだと思います。

「出口」戦略は業績相場への「入口」

2010年2月20日 16:17 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

1月のマーケット・レビュー

2010年2月 5日 12:09

● ベンチマークの月間パフォーマンス(配当を含めたトータル・リターン)
【日本株式  】  -0.7%  (配当込東証株価指数)
【日本債券 】  -0.0%   (野村BPI指数)
【先進国株式】 -6.8%   (MSCI KOKUSAI、円換算値)
【新興国株式】 -7.6%    (MSCI Emerging Markets、円換算値)
【外国債券  】  -3.5%   (CITIGROUP WGBI 円建)
【モデル・ポートフォリオ】
(1) 積極型        -3.4%
(2) 成長型        -2.8%
(3) 安定型        -2.2%

(1) 国内株式40%、先進国株式36%、新興国株式4%、国内債券10%、海外債券10%
(2) 国内株式25%、先進国株式22.5%、新興国株式2.5%、国内債券25%、海外債券25%
(3) 国内株式10%、先進国株式9%、新興国株式1%、国内債券40%、海外債券40%

● 中国など景気回復の早い国で「出口戦略」が始まりつつある。また、米国でもオバマ大統領が金融危機再発防止に向け新たな金融規制案を発表。マーケットは調整局面に入っている。しかし、出口戦略はまさに非常事態からの「出口」であり、非常事態が正常化していることの裏づけでもある。金融規制案にしても、金融機関が健全化し、その結果、顧客の資産が安全になるのであれば、これも正常化のための必要なプロセスであろう。

● 出口戦略にしても金融規制案にしても短期的には市場に流れ込む流動性を減少させる効果を持つ。したがって一時的な市場の波乱は避けられない。そして、徐々に市場を押し上げる要因としての業績が、流動性の減少を補って余りあるようになる。いま、起こっていることは非常に典型的な金融相場から業績相場への移行であると思う。そして、金融相場から業績相場への移行期にはマーケットが波乱状態になるのも毎回起こる現象である。

● 世界的に企業業績は予想外の回復をする可能性がある。金融危機が勃発し、企業は最悪事態を想定して大幅に損益分岐点を下げる努力をした。その結果、景気回復局面になると大幅に利益を増加することになる。

● 膨大な需要がいま世界的に顕在化しつつあり、その大きな流れに乗っている企業は非常に大きな成長を遂げることになるであろう。その需要は以下の三つの分野であろう。
(1) 世界的な中間所得層の増加(新興国の消費高度化、インフラ投資)
(2) グローバルな経済基盤構築(グローバル・インフラ投資、企業グループ再編)
(3) 環境問題への対応(衣食住+ビジネス、新技術・新エネルギー・新商品)

1月のマーケット・レビュー

2010年2月 5日 12:09 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

「勤、倹、譲」の思想

2010年1月20日 12:56

● 年末、年始の休みに、資本主義の原点を学び直してみたいと思い、ヴェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」やシューマッハーの「仏教経済学」(「スモール・イズ・ビューティフル」)、ベンジャミン・フランクリンの「十三徳」、二宮尊徳の「報徳仕法」などを読みなおしました。

● 学ぶところが多かったです。特に二宮尊徳の思想は、非常に合理的であり、かつ、本来の経済の原理を良く知っているという点で感銘を受けました。二宮尊徳というと、金次郎と言われた時代の薪を背負いながら本を読んでいる銅像で有名ですが、多くの人は「ああ、あの苦労しながら勉強した人ね」という程度で理解が止まってしまっているのではないでしょうか。これはとても残念です。

● 尊徳は「荒れ地には荒れ地の『徳』がある。その徳を活かして社会に役立てることが『報徳』である」ということを言っています。彼は「徳」というのは社会にとって役立つポテンシャルを意味していたようです。これはまさに日本企業にも当てはまります。立派な人材や技術やおカネを持っていながらその「徳」を十分に活かしきっていない企業が多いのではないでしょうか。

● 彼は人間を含め自然界が持っている徳を完全に活用することこそ良い社会を作ることだと考えていたのだと思います。さまざまな藩にアドバイザーとして呼ばれ財政改革をしたのですが、晩年はその手法をマニュアル化し、弟子にその仕事を引き継いでいます。

● 「報徳」というのは「道徳」です。「仕法」というのは経済です。それらを合体して、「報徳仕法」としたのは、アダム・スミスが「道徳感情論」と「諸国民の富」をもって思想の根幹としたのと極めて似ています。そして、報徳仕法のキモである「勤、倹、譲」は、プロテスタンティズムの「天職を勤勉に就くし、節約し、富を蓄え、それを与えることで天国に宝を積む」という思想と同じと言っていいでしょう。日本にこんな立派な人がいたのです。もっと、まずは日本人に、そして、世界に知ってもらいたい人物です。

「勤、倹、譲」の思想

2010年1月20日 12:56 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

12月および2009年のマーケット・レビュー

2010年1月 5日 10:26

● ベンチマークの月間パフォーマンス(配当を含めたトータル・リターン)

               12月     2009年
【日本株式  】  +8.0%   +7.6%(配当込東証株価指数)
【日本債券 】  +0.1%     +1.4%(野村BPI指数)
【先進国株式】  +9.2%     +36.2%(MSCI KOKUSAI、円換算値)
【新興国株式】 +11.2%     +81.9%(MSCI Emerging Markets、円換算値)
【外国債券  】  +3.7%     +7.4%(CITIGROUP WGBI 円建)

● 年間を通して見ると円ベースで新興国株式の急反発、それに次いで先進国株式の回復が特徴的な一年間であった。私が提案しているモデル・ポートフォリオの年間パフォーマンスを紹介すると、積極型(国内株式40%、先進国株式36%、新興国株式4%、国内債券10%、海外債券10%)が20.2%、成長型(国内株式25%、先進国株式22.5%、新興国株式2.5%、国内債券25%、海外債券25%)が14.3%、安定型(国内株式10%、先進国株式9%、新興国株式1%、国内債券40%、海外債券40%)が8.3%とそれぞれ良好な結果となった。

● 運用のプロセスは単純である。まず、自分のとれるリスクに合わせた資産配分を上記の三つから選ぶ。これが資産運用の設計図である。その次に各資産クラスを代表するインデックス投信またはETFを選択する。そして、投資対象を資産配分に沿って買い付ける。その後は年に3~4回程度、ポートフォリオのパフォーマンスをチェックすれば良い。

● 大切なことはこのように設計図を決める、部品を選ぶ、組み立てるというトップダウンのアプローチをとること。「どの市場が上がりそうか」という発想を捨てることが大切である。また、世界の経済がグローバル化するなか、海外市場への分散投資はどうしても不可欠になっている。

12月および2009年のマーケット・レビュー

2010年1月 5日 10:26 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

ファイナンシャル・ヒーラー(R)宣言

2009年12月20日 16:14

● ウォレン・バフェットのことば
生涯を通じた投資で成功をするためには、飛びぬけたIQも、非凡なビジネス・センスも、インサイダー情報もいらない。ただ、必要とされるのは、投資判断のための健全で知的なフレームワークと、感情のブレがそのフレームワークを破壊しないように心がけることだけである。

●  人生を通じての資産運用は長い、長い道のりの孤独な旅です。その間には山もあれば谷もある。晴天のこともあれば雷雨や暴風雨のこともある。このような環 境の変化が投資家の心にストレスを発生させます。残念なことに、そのストレスに負けてせっかく始めた長期目的の投資をやめてしまう人も多いのです。

●  これまでは、「だから投資理論をしっかり学ばなければならない」というのがこのストレスに負けないための方法でした。しかし、バフェットも言うように、 健全な知識とともに必要なのは、相場の一時的な変動に負けないような心がけ、「耐久力」なのです。知識と耐久力が揃ってこそ初めて長期投資が可能になるの です。

● これはまさに、私が感じていたことと同じことです。このフレームワークを破壊しないですむようなサポートが個人投資家のみなさんには必 要なのです。いわば投資に伴うストレスを解消する「癒し」が必要ということです。ストレスを解消して、再び信念を固め長期投資の長旅にチャレンジする勇気 を与えることが本当に大切だと思います。

● あるとき、私はハッと気づいたんですね。自分のしていることは、まさにヒーリングなのだと。おカネや 投資に関係した「癒し」、ファイナンシャル・ヒーリングです。多くの方が長期的な資産運用を志してもなかなかうまく行かないのは、ファイナンシャル・ヒー リングがないからではないか。もし、悩める投資家に気づきを与えることができれば、耐久力を増すことができ人生を通じての資産運用も可能になるかも知れな い。そんなことを考え、私自身、ファイナンシャル・ヒーラー(R)を名乗ろうと決めました。

● インベストライフでは2010年1月号から「ファイナンシャル・ヒーリング~きほんのき」というシリーズで連載を始めます。お楽しみに。
(ファイナンシャル・ヒーラー(R)は岡本和久の登録商標です)

ファイナンシャル・ヒーラー(R)宣言

2009年12月20日 16:14 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

11月マーケット・レビュー

2009年12月 5日 12:14

● ベンチマークの月間パフォーマンス(配当を含めたトータル・リターン)

【日本株式  】  -6.11% (配当込東証株価指数)
【日本債券 】  +0.85% (野村BPI指数)
【先進国株式】  -1.0%  (MSCI KOKUSAI、円換算値)
【新興国株式】  -1.4%  (MSCI Emerging Markets、円換算値)
【外国債券  】  -2.95% (CITIGROUP WGBI 円建)

● 海外市場は比較的堅調だが、日本のマーケットは弱い展開が続いている。大量の公募増資、デフレ色の強まる経済状態、政権交代に伴うゴタゴタなどが重しとなっている。その上、円高の進行で目先の企業収益、国内景気に対する悲観的見方が台頭している。

● 月末にはドバイ首長国政府が政府系持ち株会社の債務返済を求める発表があり一段と警戒感が高まった。日本のバブル崩壊後でもそうであったように、今回の金融危機のように大きな出来事のあとは断続的に色々な問題が噴出してくる。深刻な問題であることは事実であるにしろ、金融危機問題の余波であると理解すべきだと思う。今後も類似した問題はでてくるかも知れない。

● 2010年は経営パラダイムの変化がますます必要とされる年になるだろう。例えば、
(1) 環境問題はコストではなく、ビジネスチャンスであると捉える
(2) 内需企業は日本からマーケットをアジア内需に広げる
(3) 高品質であれば売れるという発想からの脱却
(4) 円高はデメリットではなくメリットであるという発想の転換
などがあげられる。

● 柔軟な発想とチャレンジ精神を持った企業が活躍することを願いたい。2010年のマーケットがどうなるかは、まさに、日本株式会社の経営力を反映した動きになろう。キーワードは「経営の質」だと思う。

11月マーケット・レビュー

2009年12月 5日 12:14 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

日本企業よ、世界を目指せ!

2009年11月20日 15:48

● 最近、感じるのですが、どうも日本の製造業が「輸出はよくない」ことだというトラウマに囚われているのではないかと思います。80年代、競合企業も多 い欧米市場にどんどん輸出をした結果、貿易摩擦が生じ、また、円高圧力が加わり、それが結局、自分を窮地に陥れたという苦い経験があるのは事実です。しか し、いま、大きく伸びている需要先は欧米というよりは中国を中心とする新興国です。彼等の生活が高度化することで新しい需要が生じているのです。

●  しかし、国内の論調を見ていると相変わらず、「内需を拡大しなければ・・・」という声が強いのです。むろん、それは悪いことではないけれど、果たして経 済が成熟し、人口も減少している日本の内需にどのぐらい拡大の可能性があるでしょう。でも、アジアを見れば膨大な需要があるのです。日本は人口が減ってい ても、世界の人口は増加しているのです。

● その意味で、日本の企業は本当に「アジア」内需の発想を持つ必要があるのだろうと思います。「国内」内需を考えるからなかなかうまくいかない。アジア全体を市場とする発想が必要なのです。すでにそのような企業もどんどんでてきています。

●  中国のデパートで一階の一番、目に付く場所には日本の化粧品が並んでいるそうです。中国の化粧人口は2004年には2000万人でした。それが2007 年には4000万人になり日本の化粧人口と並びました。それが、2010年には1億人、さらに2020年には4億人に達するといいます。これは一例です が、人口の減少する日本にしがみついているから限界があるので、ちょっと視野を広げれば膨大なチャンスがあるのです。

● ただし、大切なことは現 地の需要に合ったものを提供するということです。日本の製造業は欧米企業と競争するため、高品質、高価格を目指してきました。しかし、新興国を考えるな ら、彼等の所得層に合わせたシンプルかつ、低価格な商品を提供することが必要です。現地メーカーの製品より少しだけ高品質のものを地元の普通の人にも買え るような価格で出す。現地メーカーが追いついてきたらまた、少しだけ先を行く製品を販売する。提灯アンコウの提灯のように、いつも少しだけ先をゆく製品を だすことが成功の秘訣ではないかと思います。ちょっと極論かも知れませんがいかがでしょうか。

日本企業よ、世界を目指せ!

2009年11月20日 15:48 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

10月マーケット・レビュー

2009年11月 5日 12:05

● ベンチマークの月間パフォーマンス(配当を含めたトータル・リターン)
【日本株式  】  -1.7% (配当込東証株価指数)
【日本債券 】  -0.4% (野村BPI指数)
【先進国株式】  -0.2%  (MSCI KOKUSAI、円換算値)
【新興国株式】  +1.6%  (MSCI Emerging Markets、円換算値)
【外国債券  】  +1.0% (CITIGROUP WGBI 円建)

● 世界の景気は、今後、予期せざる大きな出来事が発生しなければ、今年の1~3月を底として、大きな回復のうねりのなかにあるものと思います。長期の回復局面にも、一時的に景気が落ち込むことはありますし、また、回復がどんどん進んでいることを実感できるときもあるでしょう。ですから、「やっぱりまだまだだ」と感じる局面と、「やっぱり良くなってる」と実感できる局面が、これからも繰り返しでてくることだろうと思います。その中期的なサイクルに合わせて経済評論家のコメントは「まだ」と「もう」の間を行ったり来たりします。それは当然で、彼らは景気の中期的な動向を当てるのが仕事なのです。それにつれてマーケットも上昇、下落を続けます。

● 年金や投信のファンド・マネジャーであれば、その中期的変動のなかでうまく売ったり買ったりして、競争相手よりも、そして、市場よりも良いパフォーマンスをあげようとします。それが彼らの仕事だからです。毎月、あるいは三カ月に一度、パフォーマンス評価にさらされるプロの世界では、長期で持っていればよいとわかっていてもそれができない。三カ月ぐらいで実績をださなければお客から苦情がくる。「プロはつらいよ」なのです。

● しかし、みなさんは個人投資家。なんの制約もありません。大きな流れだけつかんでいればいいのです。大切なことは中勢的な変動にとらわれず長期的な回復の流れに乗っているということです。「急がない」、「欲張らない」、「争わない」、「考えすぎない」という老荘的リラックス投資でいいのです。グローバルに十分、分散されたポートフォリオを親鳥が卵を温めるようにじっと持っていればいいのです。

10月マーケット・レビュー

2009年11月 5日 12:05 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

9月マーケット・レビュー

2009年10月 5日 16:09

● ベンチマークの月間パフォーマンス(配当を含めたトータル・リターン)
【日本株式  】   -5.1% (配当込東証株価指数)
【日本債券 】   +0.3% (野村BPI指数)
【先進国株式】   +1.3% (MSCI KOKUSAI、円換算値)
【新興国株式】   +5.5% (MSCI Emerging Markets、円換算値)
【外国債券  】   -2.0% (CITIGROUP WGBI 円建)

● 相変わらず国内外の経済指標に一喜一憂を続けている。
● そのなかで鳩山新政権の政策が少しずつ明らかになりつつある。今まで不条理だと誰しも思っていたことにメスを入れてゆく姿勢は好感が持てる。いずれ手術が必要と思っていた日本がようやく手術台に乗る覚悟を決めたということだろう。
● 考えてみれば今回の政権交代は意義深い。おそらく長い日本の歴史のなかで初めて国民が政治に積極的に参加し、総意を明らかにして政権交代というリスクを取った。「自らの手で政治を動かす」ということ、そして、「リスクをとる(変化を選ぶ)」ということ、ともにこれまでの日本ではあまり見られなかった現象だと思う。自民か、民主かという問題以上に、この事実は長く歴史に残る出来事だと思うし、長期的に見ればこれは日本にとって非常に良いことだろう。
● しかし、不慣れなこともあろうが、経済・金融面での新閣僚の発言は不用意なものが多い。また、意思統一が十分でないという「馬脚」が見え隠れするのも気にかかる。
● モラトリアムの導入についての総務大臣の発言、為替に関する財務大臣の発言など、もっと洗練された発言の仕方があったはずだと思う。マスコミもマーケットもしばしば短絡的な反応を示すものだ。それだけに、大臣が口にする言葉はもっと、プロフェショナルなコミュニケーターのものでなければいけないと思う。同時に我々、投資家も表面的なコメントなどに躍らせれることなく、冷静に本質を見極めていく必要がある。
● 今後、証券税制に関する議論がでてくるであろうが、資本市場というものが世の中に果たす役割を本当に十分、理解して政策運営をしてもらいたいと願うばかりだ。

9月マーケット・レビュー

2009年10月 5日 16:09 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

政権交代!

2009年9月20日 22:22

● 遂に政権が交代しました。正直言って株式市場などへの影響はまだわからないというのが実情です。どのような政策がとられるのかも具体的にはわからない し、また、それが成功するかどうかも未知数です。いずれにしても、どのような環境になっても、企業は必死に生き延びる努力をするでしょう。まして、グロー バルな時代です。一国の政治や経済と、その国と企業の価値創造をあまり直接的にリンクするのは間違いだと思います。投資家が買っているのは企業の価値であ り、国の政治や経済ではないのです。

● しかし、私は今回の政権交代は日本国にとって非常に大きな意味があったと思います。短期的、中期的には不透明要因ではありますが、長期でみればこれは必ず大きなプラス効果をもたらすでしょう。今回の政権交代の意義は次の二つではないかと思います。

●  まず、第一に多くの国民が、政治に興味を持ち、実際に投票をし、自分たちの意見を政治に反映させたということです。第二に、未知数である政党に圧倒的な 支持をしたということ、つまり、国民はリスクをみずからとったということです。これまでの、「ガチガチ」に固まっていた政治・社会・経済の体制に少し、緩 みが生じたわけで、「政権は交代するもの」という考え方が定着していけば、国の戦略にもフレキシビリティが増し、日本の国力は結果として増すことになるだ ろうと思います。特に今日のようにグローバル化が進むなかで日本は従来、常に後手に回る傾向がありました。今回の「政権は交代してもよい」という国民の選 択が激しい世界の動きに順応し、日本のプレゼンスと高めることにつながってくれれば良いと思います。

● 目先は色々なギクシャクがあるだ ろうと思います。マーケットという観点から見ても市場メカニズムへの過度の介入、日米関係と為替の問題、証券税制の問題など相場を大きく変動する不安材料 はあります。新政権にはバイアスを持つことなく物事の本質を良く理解してかじ取りをしてもらいたいものです。

● 先日、中国に行った時、 ガイドさんが、「中国では、『上に政策あれば、下に対策あり』という言葉があります」という話をしていました。日本企業も政府にお任せではなく、どのよう な環境においても生き延びて、成長していくというサバイバル力を発揮してもらいたいものです。国民もリスクをとったのですから、企業もリスクをとってス テークホルダーのために大胆な行動をとって欲しい。これが国の活力になっていくのだと思います。

政権交代!

2009年9月20日 22:22 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

資産運用「きほんのき」

2009年9月 5日 10:03

● ベンチマークの月間パフォーマンス(配当を含めたトータル・リターン)
【日本株式  】   +1.7% (配当込東証株価指数)
【日本債券 】   +0.7% (野村BPI指数)
【先進国株式】   +1.1% (MSCI KOKUSAI、円換算値)
【新興国株式】   -3.3% (MSCI Emerging Markets、円換算値)
【外国債券  】   -1.15% (CITIGROUP WGBI 円建)

● 8月のマーケットは日経平均で10200~10600円の間の持ち合い相場だった。海外株式市場は、現地通貨ベースで新興国はほぼ横ばいだったが、先進国市場は+4.2%と強い動きだった。特にニューヨーク・ダウ工業株指数は下旬にかけ堅調な動きだった。しかし、円が95年台から92円台へと上昇したため、円ベースでのパフォーマンスはさえない結果となった。また、この円高の影響で外債もマイナスのパフォーマンスとなった。

● 相変わらず景気の今後についてナーバスな動きが続いている。良い指数が発表になると「いよいよ」と思う投資家が増える一方、雇用など遅行指標の悪い数字がでると「やっぱり、まだか」と警戒的になっている。「まだはもうなり、もうはまだなり」という有名な相場格言があるが、まさに、「もう」と「まだ」の間を行ったり来たりしているのがいまの投資家心理なのだろう。

● 日本における政権交代は、政権交代がかなり織り込まれていた上、現時点では消化難であることもありあまりマーケットには大きな影響を与えていない。しかし、いままで選挙にあまり興味を示さなかった人々も、今回の選挙では、みずからの投票をし、その引き起こした結果を実感できたのではないかと思う。また、少なくとも今回の政権交代で、与野党ともに緊張感が増すのであれば、それも好ましいことだと言える。その意味では、日本にとって非常に長期的な価値のある選挙だった。市場にとっての懸念材料としては証券税制が挙げられる。政権与党が証券投資というものの本質を正しく理解し、政策運営を誤らないことを切に願いたい。

● 先週は経済同友会の中国ミッションに参加し、北京、昆明、上海、無錫と訪問をしてきた。その報告はインベストライフ誌上や、マンスリー・セミナーなどで報告をしたいが、ひとつ、印象深かったのは、政策当局者からほとんど世界の金融問題の話がでないことであった。おそらく、この問題をすでに過去のこととして認識しているということなのだろう。むしろ、環境問題への積極的な取り組みや上海万博へ向けての高揚感が目立った。カネと力を持っている国の強みだろうと思うが、政策のプライオリティが明確でありそれを着実に実行している点は感心をした。むろん、中国といえども多くの問題を抱えているのだが、やはり国として育ちざかりの勢いというものを強く感じた。

資産運用「きほんのき」

2009年9月 5日 10:03 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

時空を越えるリラックス投資

2009年8月20日 10:17

よく投資で大切なことは時間を味方につけるということだといいます。長期投資を行なっていれば、一年ごとに見ると上下への変動が大きな株価も、良い年と悪い年が相殺しあって比較的高い平均値に収斂するというものです。これはまったくその通りです。

私は「時間を味方につける」ということに加えて、「マーケットを味方につける」ということも必要だと思っています。つまり、マーケットのなかの上がりそうな銘柄とか、良さそうな銘柄だけを選んで保有するのではなく、マーケット全体を買う。つまり、インデックス運用をするということです。

良い銘柄だけを持っていればマーケットよりも高いパフォーマンスが得られるかというと、必ずしもそうでないところが株式投資の難しいところです。つまり、良い銘柄は、すでにそのような評価に基づいて株価が決まっている。悪い銘柄は反対に悪いという前提で株価が決まっているのです。良い銘柄にちょっと悪材料がでると大幅安をしたり、悪いと思われている銘柄にちょっと明るい兆候がでると大幅高をしたりするのは良くあることです。

世の中に100%良い会社も100%悪い会社もありません。その判断は市場に任せて、良い銘柄は多めに、悪い銘柄は少なめに持つというのが、TOPIXなど時価総額加重インデックスに連動する運用です。TOPIXに投資をするということは、日本の民間企業の活力を信じ、全部まとめて応援するということです。

我々はみなグローバル化した世界にすんでいます。世界中の企業の生産活動にお世話になっているのです。ですから、全世界の先進国も新興国も含めてすべてを応援する。私は日本株、外国の先進国、新興国の配分は5:4:1ぐらいでいいだろうと思っています。これらの比率に合わせてそれぞれのインデックス投信やETFを買って、ずっと保有していればいいのです。

時間を味方につける、マーケットを味方につけるいうのは、長期投資と分散投資ということでもあります。そして、時間軸と空間の広がりを大きく拡大するということです。時空を越えて意識を拡大するのはまさに瞑想の世界です。同じようにマネーも時空を越える投資に活用する。それが「急がない」、「争わない」、「欲張らない」。
「考えすぎない」というリラックス投資の本質です。

時空を越えるリラックス投資

2009年8月20日 10:17 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

資産運用「きほんのき」

2009年8月 5日 10:15

● ベンチマークの月間パフォーマンス(配当を含めたトータル・リターン)
【日本株式  】   +2.2% (配当込東証株価指数)
【日本債券 】   -0.1% (野村BPI指数)
【先進国株式】  +9.1% (MSCI KOKUSAI、円換算値)
【新興国株式】  +11.4% (MSCI Emerging Markets、円換算値)
【外国債券  】   +0.4% (CITIGROUP WGBI 円建)

● 日経平均は6月末の9958から九日連続安で13日には9050まで下落。その後、九日連騰を交えて27日には1万円を回復した。日米共に雇用統計に改善が見られない。雇用は景気の遅行指標なので当然の結果だといえる。
しかし、また、雇用が改善しないと本格的な消費の回復も期待し難い。当面は、先行指標に見え始めた明るさが、徐々に遅行指標にまで浸透する過程を待つ状況が続くのだろう。

● マーケットの底入れ期には「思ったよりも悪くなさそうだ」という心理が徐々に強まり、投資家心理も、好材料により強く反応するようになる。しかし、ある程度の上昇が続くと、今度は「やはり、まだ、まだ問題は多い」という側面を見るようになる。その結果、悪材料に敏感になる。結局、同じ状況を見ているのだが、心理が振れているだけなのだ。

● 投資家心理の振れにうまく乗って儲けようとしても、なかなかうまくいかない。当然のことで自分自身が投資家の一部であるからだ。ここは短期の振れは気にしないこと。まだ、まだ株価水準は安いのだから時間をかけて固まりを作っておけばよいだろう。引き続き「健康のため、株価の見すぎに注意しましょう」。

資産運用「きほんのき」

2009年8月 5日 10:15 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

夏休みの宿題

2009年7月20日 15:33

子供さんの夏休みの宿題に「株式投資」の自由研究はいかがでしょうか。2007年11月の会報誌「インベストライフ®」に「真央ちゃんの株式研究レポート」という記事を掲載したことがありますので、覚えている方も多いかと思います。金融市場を再生しなければならないいま、子供たちに株式投資の正しい知識を持ってもらうことはとても大切です。そして、それも単に研究するだけでなくて、1万円でいいので株式を買ってみることが大切ではないかと思います。

自分がお世話になっている会社、自分が好きな商品を作ってくれている会社、そして、自分なりに良い社会を作ってくれそうだと思う会社を子どもに考えさせリストアップする。家の中で、そして、自宅から駅までを散歩しながら、候補銘柄を書き出してみるのも良いと思います。そして、新聞で株価と売買単位をチェックして買える銘柄を探す。ミニカブ制度なら通常の単元の10分の1で買える方法もあります。

大切なことは銘柄を決めたら、必ず、「その会社がどんな会社か」、「自分はなぜその会社が好きか」を書いておくことです。これはとても重要です。本当は大人の投資家もこれをすべきなんです。

本当は夏休みを利用して証券取引所も見学するといいですね。自分の注文がどのように流れていくかを少し実感できるかも知れません。

証券会社に口座を開設するのも自分でやってみる。ご両親の一人が同伴し、代理人として登録する必要はありますが、それもできるだけ自分でやらせてみる。

買い付けたら株価と日経平均を記録させてみる。色々な疑問が湧いてくると思います。世の中のさまざまなことが株価に表れていること、自分の銘柄と日経平均がなぜ違う動きをするのか、そして、何よりも株価変動による結果は自己責任であること、株式投資は勉強の宝庫です。決して本で学ぶだけはない、自分の大切なおカネを通して生きた勉強ができるはずです。

(8月6日の東京インベストライフ・セミナーでは基調講演でこの話題のお話をします。興味のある方、ご参加ください)

夏休みの宿題

2009年7月20日 15:33 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

資産運用「きほんのき」

2009年7月 5日 10:16

● ベンチマークの月間パフォーマンス(配当を含めたトータル・リターン)
【日本株式  】   +3.5% (配当込東証株価指数)
【日本債券 】   +0.9% (野村BPI指数)
【先進国株式】  -1.6% (MSCI KOKUSAI、円換算値)
【新興国株式】  -2.2% (MSCI Emerging Markets、円換算値)
【外国債券  】   +1.2% (CITIGROUP WGBI 円建)

● 配当込TOPIXは先月の+7.2%に続き、+3.5%と続伸。価格指数で見ても+3.5%上昇。小型株が好調で、東証二部は+9.6%、東証マザーズ指数は+12.2%(共に価格指数)と小型株が強い動きを示した。また、東証REIT指数も+9.3%であった。

● 3月を底として順調に回復していた日本株市場だが、少々、疲れがでた(?)感じがする。これまでの上げは、世界的な経済・金融政策により「思ったよりは悪くなさそう」という見かたが下支えをしていた。この後、「やっぱり、そんなに楽観はできない」という思いが再燃しそう。ここから、さらに上昇するには、「意外に良さそう」というセンチメントが強まる必要があるのではないかと思う。当面は悪材料に敏感な動きが続こうが、そんななかで徐々に好材料が出始めると上昇へのエネルギーも増加していくことになろう。

● もちろん、全体的な水準としてはまだ、割安なので、TOPIX連動ETFや、MSCI KOKUSAI連動、あるいは、MSCI Emerging Marketsなどに連動するETFなどをためこむ時期であることは間違いない。短期はもとより、中期的な上げ下げの波にうまく乗ろうなどという姑息なことは考えず、上昇も、下落も受け入れるつもりで株式へのエクスポージャーをきちんと取っていれば長期的には良い結果が得られるだろうと思う。

資産運用「きほんのき」

2009年7月 5日 10:16 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

新社会人のための投資入門(2)

2009年6月20日 13:06

<人的資本の金銭的価値>

債券は、普通、一定の金利を定期的に受け取り、満期には元本が返済されます。
したがっ て、債券の価値は、満期までの金利と償還金額を現在の価値に換算し、それを合計したも のです。株式は、普通は配当金をもらえます。しかし、その配当金は会社の業績によって 変動します。そして、満期はないので、配当金の永久に続く流列が株式リターンの本質で す。したがって、株式の現在の価値は、将来にわたる配当金の現在価値の合計ですが、そ の価値は大きく変動します。

新社会人が入社すると、最初は比較的低い報酬ですが、それが徐々に増加して、定年退 職の時には退職金がもらえます。したがって新社会人が持つ金融資産としての人的資産 の価値は、今後、もらえる給与と賞与、そして退職金の現在価値の合計であるといえます。

年功序列、終身雇用という慣習が消滅しつつある今日、人的資産は債券型から株式型に 変わりつつあると言ってもよいでしょう。また、職種によってもキャッシュフローの安定性は 違います。大企業の社員とベンチャー企業の社員などは対照的な例です。今後は、それぞ れのキャッシュフローのリスクを反映して、リターン(つまり報酬)も差が付いてくることだろう と思います。

いずれにしても、新社会人は人的資本の金銭的価値が非常に高いといえます。
それは今 後、働く期間が長いからです。そして、年齢を重ねるほどに、働く期間が短くなっていきます から、人的資産は減少していきます。それを相殺するために、金融資産を形成してゆく必要 があるのです。

ある意味、人生のなかの「働き」の時代というのは、人的資産を金融資産に変換していくプ ロセスでもあるのです。人的資本を有効に活用して、それを収入に結びつけ、その収入か ら将来のための資産を形成してゆく。人生の最後まで自立して生きていけるだけの資産を「 働き」の時代に準備する必要があるのです。

そこで投資が必要になるのです。それも短期で売ったり買ったりして儲ける投機や短期投 資ではなく、長い時間をかけた長期投資です。目標とする資産額を、いかに小さな価値の 変動で達成していくかが資産運用の目的です。新社会人は、「学び」の時代の後半にあり ます。その時期、今回述べたような人生にわたるおカネとの付き合い方を理解し、投資につ いても少しずつ経験を積んでいくのが大切なのです。新社会人のための資産運用の方法 は次回述べます。

新社会人のための投資入門(2)

2009年6月20日 13:06 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

時空を越えるリラックス投資

2009年6月 5日 16:58

よく投資で大切なことは時間を味方につけるということだといいます。長期投資を行なっていれば、一年ごとに見ると上下への変動が大きな株価も、良い年と悪い年が相殺しあって比較的高い平均値に収斂するというものです。これはまったくその通りです。

私は「時間を味方につける」ということに加えて、「マーケットを味方につける」ということも必要だと思っています。つまり、マーケットのなかの上がりそうな銘柄とか、良さそうな銘柄だけを選んで保有するのではなく、マーケット全体を買う。つまり、インデックス運用をするということです。

良い銘柄だけを持っていればマーケットよりも高いパフォーマンスが得られるかというと、必ずしもそうでないところが株式投資の難しいところです。つまり、良い銘柄は、すでにそのような評価に基づいて株価が決まっている。悪い銘柄は反対に悪いという前提で株価が決まっているのです。良い銘柄にちょっと悪材料がでると大幅安をしたり、悪いと思われている銘柄にちょっと明るい兆候がでると大幅高をしたりするのは良くあることです。

世の中に100%良い会社も100%悪い会社もありません。その判断は市場に任せて、良い銘柄は多めに、悪い銘柄は少なめに持つというのが、TOPIXなど時価総額加重インデックスに連動する運用です。TOPIXに投資をするということは、日本の民間企業の活力を信じ、全部まとめて応援するということです。

我々はみなグローバル化した世界にすんでいます。世界中の企業の生産活動にお世話になっているのです。ですから、全世界の先進国も新興国も含めてすべてを応援する。私は日本株、外国の先進国、新興国の配分は5:4:1ぐらいでいいだろうと思っています。これらの比率に合わせてそれぞれのインデックス投信やETFを買って、ずっと保有していればいいのです。

時間を味方につける、マーケットを味方につけるいうのは、長期投資と分散投資ということでもあります。そして、時間軸と空間の広がりを大きく拡大するということです。時空を越えて意識を拡大するのはまさに瞑想の世界です。同じようにマネーも時空を越える投資に活用する。それが「急がない」、「争わない」、「欲張らない」。
「考えすぎない」というリラックス投資の本質です。

時空を越えるリラックス投資

2009年6月 5日 16:58 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

新社会人のための投資入門 - 第一回<仕事も投資>

2009年5月20日 10:23

●人生は大きく三つの局面に分かれます。生まれてから30~35歳ぐらいが「学び」の時代、その後、65歳ぐらいまでが「働き」の時代、それ以降は「遊び」の時代です。「遊び」というと怠惰なイメージを受けるかも知れませんが、要するに自分の楽しいことをしていると、それがそのまま世の中のためになるという生き方です。30歳前半までの「学び」の時代は20歳の初めまでとそれ以降に分かれます。前半は親がかりの勉強の時代です。例外はあるでしょうが、一般的にはそのコストは親がもちます。後半は多くの方が社会にでて仕事を始めるでしょうから、自分の能力アップは自前ということになります。これがいわゆる自己啓発です。

●社会にでて最初はあまり収入もありません。自立すればそれなりに生活費もかかり、さらに自己啓発の費用や、将来のための資産形成などもしなければならないとなると、資金繰りもかなり苦しくなるのは当然です。この問題を解決するベストの方法は、とにかく一生懸命に仕事をして、実務を学ぶということです。自分の選んだ道、縁があって出会った分野で本当のプロになるために経験を積んでいくことが、実は一番、効率の良い投資です。なにしろ、元手がかかりません。だんだん実力をつけて上司に認められるようになれば報酬(リターン)も良くなるかも知れません。これがまず、基本。その上で、自己啓発投資や将来のための資産形成があるべきです。プロの腕こそが「最高の自分年金」であることを認識すべきです。

●最近は入社して比較的短期で職場を変わる人も増えています。一概にそれが悪いとは言えませんが、私は「悪い転職」と「良い転職」を次のように考えています。

  →いまの仕事が面白くないから辞める
  →嫌な上司や同僚がいるから辞める
  →他の会社ではもっと高い給料がもらえそうだから辞める

「良い転職」
  →いまの会社で自分の価値が十分に高まった
  →次の会社でこれまでと比較にならないぐらい自分を活かせる
  →これまでの会社に心から感謝して「卒業」でき、仲間が祝福してくれる
  →明らかに自分の判断ミスで誤った会社に入ってしまった(今後の人生で同じミスを起こさないというレッスンを学ぶことができた)

とにかく縁があって入った会社です。最低5年ぐらいは一生懸命に努力してみることが必要です。就職も長期投資であって、短期のトレードではないのです。

新社会人のための投資入門 - 第一回<仕事も投資>

2009年5月20日 10:23 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

きほんのき

2009年5月 5日 12:39

● ベンチマークの月間パフォーマンス(配当を含めたトータル・リターン)
【日本株式  】  +8.3% (配当込東証株価指数)
【日本債券 】  -0.1% (野村BPI指数)
【先進国株式】  +10.8% (MSCI KOKUSAI、円換算値)
【新興国株式】  +15.9% (MSCI Emerging Markets、円換算値)
【外国債券  】  -0.4% (CITIGROUP WGBI 円建)

● 4月末にフロリダで開催されたCFA協会の年次総会に出席をした。時節柄、今後の経済および金融市場の見方に関する興味深い話をたくさん聞くことができた。

● なかでも、いま注目を集めているNY大学のルービニ教授は経済に対して非常に警戒的な話をしていた。リーマン・ショック以降の流動性の大量供給により昨年秋と比べ状況は改善しているとしつつも、金融機関の現状はきわめてシビアであり、ストレス・テストの結果もあまり信頼はできないとしていた。
「ゾンビ・バンク」と日本でも散々、言われた表現が何度も聞かれた。

● 米国経済については昨年の第4四半期と今年の第1四半期は「フリーフォール」状態であった。ここにきて下降のスピードはスローダウンしているのは事実だが、来年も実質GDPは0.5%程度の低成長を予測している。欧州経済は米国以上に厳しい。政策手段が底をついてきていることもあり、正常化にはかなり長期間かかることになろうとのご宣託であった。

● マーケットについてルービニ教授はあくまで最近の上昇は「ベア・マーケット・ラリー」としており、市場は経済に先立って回復するとの説に対し「過去9回のリセッションで、市場は15回予測性を発揮した」というジョークを紹介していた。

● 参加者は当然、マーケット関係者が多く、この悲観的な予測に対し、司会者も「ルービニ教授の話を聞くと、会場の出口に涙を拭くためのティッシュ-を大量に用意しなければならない」と冗談を言っていた。

● 一方、市場関係者は、不況は長期化はするであろうが、経済が最悪期を脱しつつあるのであれば、マーケットのボトムはすでに過去のものになりつつあるというようなコメントをする者が多かった。

● ルービニ教授も認めるように、経済が最悪記を脱し来年に向けて低水準ながら回復基調になるのであれば、私も、マーケットはモーメンタムに敏感なだけに(少なくともさらに悪いサプライズがでなければ)比較的明るい展望が持てるのではないかと思う。当面は悪材料、好材料の両方に敏感な動きが続くであろう。しかし、見通しが回復の方に傾くことがはっきりしてくれば、とてもこの水準で仕込むことはできない。とにかく、どん底を狙おうとせず時間をかけて貯めこむのがベストであろう。

きほんのき

2009年5月 5日 12:39 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

金融詐欺防止のための10か条

2009年4月20日 14:58

CFA(チャータード・ファイナンシャル・アナリスト)は、証券分析と資産運用における世界基準の専門資格で、現在、133の国と地域に約85000人の資格者がいます。私がこの資格を取ったのは1983年で、世界で7355人目の資格者でした。現在、私は日本における協会の名誉会長を務めています。

最近、CFA協会が個人投資家が金融詐欺にあわないために知っておくべき10か条を公表しました。これらは日本の個人投資家のみなさまにも有益な判断基準だと思います。今回はその要約を紹介しましょう。

(1) 投資戦略を明確に理解すること:おいしい話に釣られる事なく、その商品にはどのようなリスクがあるのかを理解すること。理解できない商品はどんなに良さそうに見えても買うべきではない

(2) パフォーマンスの実績が公表されているファンドの投資戦略と整合性があるかを確認する:例えば、幅広く日本株に投資することを標榜するファンドが、日本株が大幅に下落しているときに、非常に高いパフォーマンスをだしているようであれば、何か投資戦略と違うことをしている疑いがある

(3) Eメールでの勧誘やインターネット詐欺に注意すること:インターネットやEメールは非常に安価にたくさんの人にアプローチできる手段であるだけに、特にうまい話にはご用心

(4) 「確実に儲かる」、「すぐ儲かる」、「ここだけの話」などは疑うこと:きちんとした運用者は決してそのようなことは言わないもの

(5) 運用会社、販売会社やファンドの監督官庁がどこかを知ること:オフショア・ファンドなどあまり規制されていない商品のなかには怪しげなものもあるので注意すべき

(6) 運用会社の業務リスクと運用のインフラストラクチャーを確認すること:運用、売買執行、保管、コンプライアンスなどの部門が分離され独立されているか

(7) ファンドの監査をどこが行なっているかを調べること:監査証明付の決算書類で監査をどこが行なっているかを確認する。監査法人は独立しているか

(8) 運用担当者の人材を評価すること:投資判断や執行はきちんとした資格のある人間が行なっているか

(9) 登録のチェックをすること:証券会社や証券外務員、FPなど取引に関係する会社や人物が必要とされる当局への登録がなされていることを確認する

(10) 一商品への投資額に限度をもうけること:分散投資はもっとも大切な投資の原則である。ひとつの商品への投資額は資産全体の最大一割を超えないようにすること

これを全部、行なうのはなかなか至難かも知れませんが、市場リスク以外のリスクにも十分、心配りをしておくことは必要だと思います。

金融詐欺防止のための10か条

2009年4月20日 14:58 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

2009.04.05

2009年4月 5日 16:34

● ベンチマークの月間パフォーマンス(配当を含めたトータル・リターン)
【日本株式  】  +3.45% (配当込東証株価指数)
【日本債券 】  -0.32% (野村BPI指数)
【先進国株式】  +8.8% (MSCI KOKUSAI、円換算値)
【新興国株式】 +14.9% (MSCI Emerging Markets、円換算値)
【外国債券  】  +5.30% (CITIGROUP WGBI 円建)

● 世界の金融危機終息のために各国の必死の努力が続く
3月の主な出来事だけを見ても・・・
・AIGへの300億㌦の新たな支援策発表
・イングランド銀行と欧州中央銀行の政策金利下げ
・中国全人代での温家宝首相による追加景気対策発表
・ロイズ・バンキング・グループによる資産保障制度の適用申請
・G20財務相・中銀総裁会議が成長が回復するまであらゆる必要な行動をとる用意があるとの共同声明を採択
・FRBが今後6ヶ月で29兆円相当の長期国債購入を決定
・米政府が民間投資家と共同で金融機関の不良債権を買い取る枠組みを発表
などがある

● 日本の株式市場は3月9日に7083のバブル崩壊後の安値を更新したのち切り替えし、8100円を越えて月を終えた。先進国、およびBRICs諸国の市場もほぼ順調に戻り歩調となっている。各国当局の経済・金融の混乱を終息するいう決意とグローバルな協力体制が確認されつつあり、それはマーケットの大きな下支え要因となっている。また、実体経済面でも「100年に一度」のキャッチフレーズで極端な生産、在庫の削減などが行なわれたが、それに対する修正も起こりつつある。これが本格的な回復の始まりとなるかは予断を許さないが、冷静さを取り戻しているという意味では好材料であろう。

● 今後は、投資家の視点が、現在の状況に悲嘆にくれる局面から、混乱終息後の経済がどうなるのかを判断する局面に移っていくことになろう。大きな危機を回避するために使っている劇薬の副作用がどのようなものになるのかは特に注目を要する。

● ある意味、今回の金融バブルは、20世紀的なエネルギー多消費型、企画大量生産の時代が終り、21世紀的新しい産業が芽生える間隙で発生し、それが増殖したといえるのではないかと思う。ようやく21世紀の新しい産業が市場で評価される時代が来つつあるのかも知れない。

2009.04.05

2009年4月 5日 16:34 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

読者からの質問

2009年3月20日 15:34

Q:「インベストライフ」ではロスカット・ルールについてあまり触れられたことがありません。私も買ったものは基本的に売らない主義なので決めてはいません。しかし、これだけ下がっているのに買う原資がないということで残念な思いもしています。どのように考えたらいいでしょうか?

A:ロスカット・ルールというのは、投資の評価損が事前に決めておいた一定の額に達したら、反対売買をして損失のそれ以上の拡大を防ぐことを決めておくトレーディング手法です。

私はロスカット・ルールは基本的に長期的な資産運用には向いていないと考えています。ロスカットのために買っている銘柄を売るということは、長期的に問題を含んでいます。まず、資産運用においては、売ってしまっても、下げ止まったところを見計らって、基本ポートフォリオに戻さなければなりません。しかし、そのようなタイミングをはかることはほとんで不可能です。無駄なコストもかかってしまいます。また、ロスカットで売ったとたんから上がりだすというリスクもはらんでいます。相場のタイミングでもうけようと思って色々やってみても、長期でみるとずっと持っているのとさして変わらないか、あるいはかえって悪い結果になってしまう可能性が高いのではないかと思います。

ただ、トレーディング(短期売買)をする場合は話が別です。長期的なポートフォリオとは別に余裕資金があり、それでトレーディングをするのであれば、ロスカットが有効となることはあります。例えば250万円のトレーディング用の資金があるとしましょう。今後のトレーディング資金として、少なくとも200万円は維持したいと思うなら、50万円の評価損がでたところで、自分の見通しが外れたことを認め、ロスカットをするべきです。仮に、その後、その銘柄が上がったとしてもそれはもう忘れる。それより次のトレーディングのチャンスを狙うべきです。

繰り返しますがロスカットはあくまでトレーディング戦略で、資産運用には適した戦略ではありません。

Q:インベストライフ3月号の座談会では「日本の資本主義は終焉するのか?!」がテーマになっていました。私は日本の資本主義が揺らいでいるのは、宗教的なバックグラウンドが希薄だからではないかと思っています。もともと、資本主義は、人間を超えた神への信仰があって初めて成り立つものなのではないでしょうか。日本的な、利己まみれでない、利他の心を持ちあわせた、長期的に人々を幸せにするような投資を行い、同時に自分の将来のための資産を形成することを学ぶべきなのではないかと思っています。こんな私の考え方はどうなんでしょうか?

A:当社で提唱している「品格ある投資」が必要だということですね。イスラム教徒は彼らの宗教教義と倫理感に基づいた投資を貫き、イスラム金融が世界に広まりつつあります。ある意味、西欧社会がオイルマネーを取り込むための手段として、それを受け入れているのです。でも、良く考えれば日本の家計部門だって膨大な金融資産を持っているわけですよね。ですから、日本人の気質にあった投資をもっと追究して、全世界に向かって主張してもいいのではないでしょうか。

ただ、そのためには、「それでは日本人に合った投資って、どういう投資か」ということに自ら答えなければなりません。その点がまだ、フラフラしている感じがしますね。だから、ついつい、株価につられて値幅稼ぎだけを目的とした投資に走ってしまう。インベストライフでもこれからもっと日本人の気質に合った投資を考えるような企画をしたいものです。

みなさまの質問をお寄せ下さい。

読者からの質問

2009年3月20日 15:34 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

資産運用「きほんのき」

2009年3月 5日 14:03

● ベンチマークの月間パフォーマンス(配当を含めたトータル・リターン)
【日本株式  】  -4.7% (配当込東証株価指数)
【日本債券 】  +0.2% (野村BPI指数)
【先進国株式】  -1.4% (MSCI KOKUSAI、円換算値)
【新興国株式】  +3.2% (MSCI Emerging Markets、円換算値)
【外国債券  】  +8.5% (CITIGROUP WGBI 円建)


● 円が1月末89円台から2月末98円近辺まで大幅に売られた。その結果、外貨建証券のパフォーマンスが救われた(ドル建では先進国株式が約10%、新興国株式が5~6%の値下がりであった)。

● 日本の2008年10~12月期の実質GDPが年率換算で12.7%の減、1月の貿易収支も9526億円と過去最大の赤字額を記録するなどマクロ経済指標に注目が集まっている。混乱を増す政局ともあわせ手控えムードが高まっている。

● 日本株は現在、PBRが0.86倍と割安になっている一方、PERは相次ぐ収益下方修正の結果、69倍と高水準になっている。前期の株主資本2.1兆円の日立が7000億の最終赤字を予想する(1月30日)などの状況を考えれば、PBRが本当に割安といえるのかという疑問が湧いても当然であろう。市場全体に今後の収益に対する疑心暗鬼が支配している。

● ただ、ここにきて、例えば大手自動車メーカーが減産幅を縮小するなど、世界大不況の恐怖に怯えて過剰に反応した分の修正が起こることはありえる。「100年に一度」のキャッチフレーズのもとですべての悪いものを整理してしまおうという動きがあることは間違いない。在庫調整、人員の整理、トップの交代、業務の整理統合など普段では行ないにくい抜本的な対策が講じられており、世界経済に対する安心感がでれば急回復となる可能性もある。

● 中国が欧米の金融の専門家をリクルートすべく動いているとか、中国がサブプライム問題で売りにでている米国の不動産を買っているとか、中国の内陸地域で家電製品が良く売れているなど、中国関連のニュースには明るいものが多い。バルチック海運指数が、昨年末の774から2月末1986と上昇。「ダメだ、ダメだ」と思っていると明るい光を見逃すことになる。マーケットの動きに埋没してしまわないで、常に距離を置いて市場の動きをみることが必要。

資産運用「きほんのき」

2009年3月 5日 14:03 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

読者からの質問

2009年2月20日 10:12

● 長期投資というと身構えてしまって気楽に投資ができない。長期投資と短期投資の妥協点って見出せないものでしょうか。

ありがとうございます。長期とか、短期というのは保有期間で決まるものではありません。短期投資は、投資の対象があくまで株価であり、株式を売買することで値ざやを稼ごうとするものです。長期投資は、対象が企業です。そして、株式を保有することで資産を築いていくのです。投資先企業が成長するにつれて自分の投資資産も増殖していくわけです。

つまり、長期投資だから、何年間以上持たなくてはいけないというようなものではなく、「長期的な視野」に立って行なうのが長期投資です。「永代」という言葉があります。井原西鶴の「日本永代蔵」の「永代」です。これは「時間的制約がない」という意味だそうです。長期投資は、むしろ、「永代投資」と言ったほうがいいのかも知れませんね。

要するに時間を味方につけるのが長期投資、時間と戦うのが短期投資です。長期だからと身構えるのではなく、時間をかけてゆったりと資産を増やしていくのが長期投資なのです。長期だからこそ時間を味方につけてゆったり、のんびり、気楽に投資ができるのです。

● 私は投資判断をする際、「気持ち」を優先しすぎているように思います。その結果、十分なリターンが得られなかったり、分散が不十分だったりしてしまいいます。「志を込める」ということと、ポートフォリオを構築するということはどのように考えたらいいのでしょうか。

これはとても良い質問です。大切なことは、「投資」と「寄付」は違うということです。株式や投信への投資は金銭的リターンを求めます。寄付は金銭的リターンを求めるものではありません。

株式や投信への投資で成功するための有効な方法として長期投資があるのです。ここでは株式を例にとってお話しますが、投信でも同じことです。長期に投資できる企業とはどのようなものでしょうか。それは、自分がその企業を長く応援したいと思っていること、その企業が自分の代わりに世の中のためになることをしてくれること、自分の望むような社会を創ることに尽力してくれることなどがあげられると思います。

本当に社会の役に立つ企業は、世の中が求めているものを提供する企業ですから、本来、成長力も高いはずです。そして、その企業の理念に自分が賛同していればこそ、長期にわたってその企業の株主となることもできるのです。良いときも、悪いときもずっと応援し続けることができるのです。それが結果として高いリターンをもたらすのです。

そのような企業に投資をして得た収益を寄付に回せばいいのです。最初から寄付のつもりで投資をするのは、本来の目的から外れていると思います。

(私への質問があればinfo@i-owa.com宛てお寄せください)

読者からの質問

2009年2月20日 10:12 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

マーケット・レビュー(2009年1月)

2009年2月 5日 11:11

● ベンチマークの月間パフォーマンス(配当を含めたトータル・リターン)
【日本株式  】  -7.6% (配当込東証株価指数)
【日本債券  】  -0.6% (野村BPI指数)
【先進国株式】  -10.2% (MSCI KOKUSAI、円換算値)
【新興国株式】   -7.6% (MSCI Emerging Markets、円換算値)
【外国債券   】  -7.4% (CITIGROUP WGBI)


● オバマ大統領が就任。新政権の理想買いから、今後は現実の政策を評価する局面に。懸念材料としては、国家の資本主義経済への過剰介入、行き過ぎた規制強化、保護貿易主義など。

● 心にとめておくべきことは、トンネルの向こうに明かりがちらりとでも見えたら、株式をこの水準で買うことはできないということ。株価は真っ暗だからこそバーゲンになっている。ただし、トンネルはかなり長いかも知れないことも事実。とにかく、時間をかけて自分が良いと思う銘柄をしっかりと仕込むという割り切りが重要。

● 予兆のない変化はないという。最近の上海総合指数の動きは気になるところ。また、原油価格や海運指数などに底堅さもでてきている。予断は許さないし、楽観するには時期尚早だが注目すべき動きだと思う。

● 私のわずか38年間の証券市場の経験でも、また、学んできた歴史でも、いまだかつて「終わらない不況」はなかった。「健康のため、株価の見すぎに注意しましょう」をお忘れなく。

マーケット・レビュー(2009年1月)

2009年2月 5日 11:11 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

成長を続ける世界の上場投信(ETF)市場

2009年1月20日 12:05

● 2008年は世界のマーケットにとっても投資商品にとってもひどい年でした。世界中の市場が、ほとんど同時に、急速に、大幅な下げを演じました。そのような環境下で投資家は、信用リスクや、流動性、商品の透明性などに懸念を抱き、「バック・トゥ・ベーシックス(基本に戻ろう)」が合言葉になっています。そのような風潮を受けて昨年大幅に成長したのが上場投信、ETF市場です。今日は、ETF市場で大きな勢力であるiSharesの運用会社、バークレイズ・グローバル・インベスターズのデータを紹介したいと思います。

● まず、2008年10月までの統計(Strategic Insightまとめ)では、世界のETF市場には1875億ドル($1=90円として、16.9兆円)の新規のネット資金流入がありました。一方で従来型のミューチュアル・ファンドは2567億ドル(同、23兆円)の売り越しでした。2008年末の時点で、世界のETF業界では、1590本のETFが発行されており、その残高は7110億ドル(同、64兆円)に及んでいます。

● 2008年には、MSCI World(世界の先進国市場)指数の下落率は42.0%となりました。一方、ETFの残高は相場の下落を受けて減少しましたが、わずか10.8%の減少にとどまりました。昨年の一日当たりのETF取引額は、804億ドルで前年比32.5%増加しました。円に換算すれば、約7.2兆円で、東証1部市場の売買代金2.3兆円(2008年)をはるかに上回ります。

● ちなみに、今日の日本経済新聞によると昨年末の日本の公募投信の純資産残高は40.8兆円、前年比で25.9兆円の減少でした。買いから売りを差し引いた資金流入額は2.3兆円で前年比8割減だったとのこと。一方、国内ETFの買い越し額は1200億円で、海外と比べると規模は小さいですが、ETFが好調であるというトレンドは同様です。それでも国内ETFの売買代金は一日当り100億円程度で、海外の7.2兆円とは大きな差があります。

● 世界ではETFがどんどん大きな市場に育っています。金融バブルが崩壊し投資家が安心できる商品を求めているのです。現物の裏付けがきちんとしていて、流動性と透明性の高いETFはまさにこの基準に適した商品だと思います。海外では、多くの業者がETF市場に参入し、創意工夫をこらし、さまざまなETFを開発しています。ETFは、個人投資家が、容易に機関投資家のような運用をすることを可能にする便利なツールです。これから日本のマーケットでも、もっと、もっと、色々なETFが開発され、市場にだされることを願っています。

成長を続ける世界の上場投信(ETF)市場

2009年1月20日 12:05 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

マーケット・レビュー(2008年12月)

2009年1月15日 15:06

● ベンチマークの月間パフォーマンス(配当を含めたトータル・リターン)
【日本株式  】  +3.0% (配当込東証株価指数)
【日本債券  】  +1.7% (野村BPI指数)
【先進国株式】  -2.7% (MSCI KOKUSAI、円換算値))
【新興国株式】  +2.1% (MSCI Emerging Markets、円換算値)
【外国債券   】  +0.3% (CITIGROUP WGBI)

● ベンチマークの2008年間パフォーマンス(配当を含めたトータル・リターン)
【日本株式  】  -40.6% (配当込東証株価指数)
【日本債券  】   +3.4% (野村BPI指数)
【先進国株式】  -53.3% (MSCI KOKUSAI、円換算値))
【新興国株式】  -62.6% (MSCI Emerging Markets、円換算値)
【外国債券   】  -16.8% (CITIGROUP WGBI)


● 2008年はサブプライム問題に端を発し、信用格付け、金融不安、世界同時不況と玉突き的に問題が拡大した一年だった。ITバブル崩壊以降、供給された流動性が資産価格を押し上げ、レバレッジにより流動性がさらに流動性を生み、「上がるから買う、買うから上がる」というバブルに典型的なパターンが起こった。このような循環が発生したのは、低所得者向け米国不動産、新興国株式、国際商品、円安などが中心であったが、これらの崩壊が流動性の高い市場での換金売りを誘発し、さらに実体経済にも大きな影響を及ぼしている。もはや、シンボル経済の問題ではなくリアルの経済が大きな影響を受けている。

● ある意味、現在市場で起こっていることは「正常化」である。これまで、流動性で押し上げられてきた金融市場の価格体系が、実体価値に基づいた価格体系に移りつつある。今年は金融再構築の年になるだろう。

● メインシナリオとしては以下のように考えている。景気の回復には2~3年を要する、しかし、市場の回復はそれよりも半年程度は早く始まるだろうと思われるので、2009年の後半にはマーケットも安定し底入れに向かうのではないか思う。経済指標は発表までに遅れが生ずるのであまり役に立たない。むしろ、素材などの商品市況の動きに注目すべき。企業業績では売上減少下での増益が達成されれば底入れの強いサインになる。

● サブシナリオ1は現在の在庫調整から見て意外に世界景気の立ち直りが早いのではないかというもの。それでも、米国の需要減退はある程度、避けられないので、サブプライムのダメージが比較的少ない日本や、インフラ投資需要の高い中国などが世界景気の牽引車となるかも知れない。

● サブシナリオ2は世界不況が深刻化し、今後、数年は立ち直れないというもの。米国の消費需要が大幅に減退し、経常収支赤字が大幅に改善する。この場合、結果として世界的にドル不足状態となり、ドルが意外にしっかりした展開になるかも知れない。これは米国以外の国には非常に厳しい状態となる。

● 現状でメインシナリオは60%、サブシナリオ1が25%、サブシナリオ2は15%程度の確率ではないかと考えている。どのシナリオが展開してくるかは注目を要するが、ここ2年程度をかけてコアとなる株式ポートフォリオを貯めこむ戦略には変わりない。深刻な波乱要因として、イスラエルのガザ攻撃を契機とする中東情勢の緊迫化。

マーケット・レビュー(2008年12月)

2009年1月15日 15:06 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

トレンドとサイクル

2008年12月20日 18:37

● 海の表面の波はとても荒いものです。しかし、どんなに荒い波であっても、海底の奥深くを流れる潮流の影響を逃れることはできません。株式市場で日々、起こる出来事は表面の波です。株価の動きはその最たるもの。そして短期的な企業の動きと業績、中長期的な企業成長、そして、成長を支える長期トレンドとメガトレンド、これらは海の表面から底に至る海水の流れに例えることができます。長期投資家は表面の波に惑わされず、力強い長期的な流れに沿った投資をします。

● 私は現在の地球を取り巻くメガトレンドには三つの大きな潮流があると思っています。ひとつはグローバル化の進展による世界のフラット化、二番目が地球規模での人口構成の変化による社会・経済構造の変化、最後が今後、期待される我々の生活を大きく変える可能性を持つ技術革新です。これらは今後、何十年にもわたって続いていく超長期のトレンドです。いま、30歳の方が長期投資をはじめ、定年退職を迎えるときもまだ続いている潮流だろうと思います。

● 表面の波はトレンドではなくサイクルです。サイクルというのは循環。つまり、良くなったり、悪くなったり、上がったり、下がったりという繰り返しです。トレンドとサイクルという視点から2007年、2008年、そして、2009年の状況を考えてみると、トレンドは変化していないのですが、サイクルが一時的に逆方向に向かっていると言えます。なぜ、そうなっているかというと、過剰流動性が発生し、それにより資産価格が異常の水準まで押し上げられた。資産価値の上昇で資産効果が生まれ、過剰な消費が起こったからです。いま、それが正常化する過程にあり、そこで発生しているのが金融市場の混乱と景気後退なのです。

● サイクルのなかで投資をしている人にとって今はひどい状態です。とても投資に積極的になれる状態ではない。しかし、トレンドに投資をしている人にとってはそれがチャンスになるのです。5年先、さらには10年先を見据えれば現在は価値ある投資対象がバーゲンセール状態です。

● 世の中の誰もピンポイントでマーケットの底を当てることはできません。うまく当てることができたとしてもそれは偶然。スキル(技術)ではなくラック(幸運)なのです。ただ、長期の視点から見れば、いまは状況が悪いことは確かです。長期トレンドが続く中で一時的にサイクルが逆になっているのです。ですから、その期間に、時間をかけてコアになるポートフォリオを積み上げておけばいいのです。

● 「でも、この金融市場の危機で世の中どうなるかわからない。もしかしたら大不況になるかも知れない・・・。そんな不透明な環境で投資なんかしていいものだろうか・・・」、そう、思う方も多いでしょう。ごもっともです。しかし、この不透明感があるからこそ、良い投資対象がこの値段で買えるのです。不透明感がなくなったら、とてもこの水準では買えません。トレンドとサイクルをしっかりと峻別することがいま、次の成功への道なのです。

トレンドとサイクル

2008年12月20日 18:37 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

マーケット・レビュー(2008年11月)

2008年12月 5日 13:00

● ベンチマークの月間パフォーマンス(配当を含めたトータル・リターン)
【日本株式  】 -3.72% (配当込東証株価指数)
【日本債券  】 +3.86% (野村BPI指数)
【先進国株式】 -8.65% (MSCI KOKUSAI、円換算値))
【新興国株式】 -9.15% (MSCI Emerging Markets、円換算値)
【外国債券   】 +0.47% (CITIGROUP WGBI)

● 日本株式は不安定な動きながらもみ合い。セクターでは加工・組立、金融などが安い一方、社会資本・サービスは堅調な動きだった。素材・卸売りは小動き。株価指数を見ると、TOPIXが-3.7%、東証二部指数が-1.1%、マザーズ指数は+4.9%と小型株がしっかりした動きだった。REIT指数は-12.6%と大幅な下げが続いた。

● 米国市場では、S&P500指数が-7.5%、NASDAQ指数が-10.8%、ヨーロッパでもロンドン(FT100)が-2.0%、ドイツ(DAX)が-6.4%、フランス(CAC)が-6.4%。BRICs諸国に目を転じると、中国(上海総合)は景気刺激策を好感し+8.2%、インド(ムンバイSENSEX30)が-7.1%、ロシア(RTS)が-14.9%、ブラジル(BOVESPA)が-1.8%であった。

● 為替市場(NY)ではドルが10月末98.45円から11月末には95.45円の円高へ、ユーロは1.2725ドルから1.2690ドルへと対ドルで続落した。日本の金利はコール(無担保、翌日物)が10月末0.384%が、0.318%へ、3ヶ月物CDが0.80%で変らず、10年物国債金利(新発)は1.480%が1.395%へと低下した。米国では財務省証券3ヶ月ものが0.45%から0.05%へ、30年ものが4.41%から3.43%へと大幅低下した。注目の原油価格(WTI)は54.43ドルへと-19.7%、一方、金(NY)は816.2ドルへと+13.9%の上昇をした。

● 11月、最大のニュースは米国次期大統領にオバマ氏が選出されたことだろう。金融市場の危機に際し各国政府が協調体制をとって取り組んでいる。10月の日米金利引き下げに続き、11月には英国、ユーロ圏が金利を下げた。また、日米欧に新興国・地域を加えたG20、金融サミットも開催され、また米国の金融機関の救済策もとられつつある。当面は米国ビッグ・スリーの救済問題が焦点となろう。そんななか、中国が今後10年で57兆円にのぼる景気刺激策を発表したのが注目される。一方、国内ではトヨタ自動車、パナソニックの大幅減益修正、農林中央金庫の1.5兆円の有価証券含み損の発表など悪材料も相次いだ。金融市場もまだ、落ち着いたとはいえないが、今後は不況、デフレなどの実体経済がどの程度、深刻化するかを注目する展開となろう。長期投資家にとっての戦略は変らず。10年先を見て、この2年ぐらいをかけ、コアを作るつもりで積立投資をすること。

マーケット・レビュー(2008年11月)

2008年12月 5日 13:00 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

さまざまな相場格言

2008年11月20日 13:00

● 洋の東西を問わず相場に関する格言はたくさんあります。特に日本は江戸時代から米相場の伝統があり、相場に関する先人たちの知恵が凝縮されたような言葉がたくさん残っています。それらのなかで、どのような環境や時代でも通用すると思われるものを紹介しましょう。

● 投資で成功する最大のコツは常に大多数の人と逆のことをするということです。みんなが強気になるほど、自分は弱気になる。みんなが弱気になるほど、自分は強気になる。その点を強調した格言としては次のようなものが有名です。

「人の行く裏に道あり花の山」(一説に千利休の言葉といわれる)

「野も山もみないちめんに弱気なら、あほうになりて米を買うべし」(三猿金泉秘録)

「麦藁帽子は冬に買え」(ウォール街の格言)

● 投資家の心理を的確に捉えた格言も多々あります。

「もうはまだなり、まだはもうなり」(宗久翁秘録にある言葉)

「買いにくい相場は高い、買いやすい相場は安い」(日本の格言)

「腹立ち売り、腹立ち買い、決してすべからず」(宗久翁秘録)

「相場は群集心理の産物である」(メイナード・ケインズ)

「マーケットは最大多数の参加者にとってもっとも都合の悪いことが起こる場所である」(私がウォール街の古老から聞いた話)

● 投資戦略に関連した格言もたくさんあります。

「卵をひとつのかごに盛るな」(ウォール街の格言)分散投資を説く有名な格言です。私に言わせれば、かごを分散するだけでなく、かごを置いておく棚も分散すべきです。

「相場は暴落によって若返る」(日本の相場格言)
大暴落の後に続く相場は普通、それまでと大きく性格が異なります。

「いのち金には手をつけるな」(日本の相場格言)
要するにサテライト・ポートフォリオで損をしても、それをコア・ポートフォリオで補うようなことをしてはだめですよということ。

● 株価の動きに関する格言です。

「山高ければ谷深し」(日本の相場格言)
もちろん、逆も真なりで、谷が深ければ山も高いのです。

「閑散に売りなし」(日本の格言)
相場の低迷が続き、人気が離散。悪材料ばかりで好材料が見当たらない。そんなときは売りが出尽くした状態で、陰の極といえる。

「半値八掛け二割引」
1000円の株価なら320円が暴落時の下値メド。要するに三分の一。

● 米相場の極意を書いた三猿金泉秘録(牛田権三郎)という本に次のような文があります。

「三猿とは見猿、聞猿、言猿の三つなり。眼に強変を見て、心に強変の淵に沈むことなかれ。ただ、心に売りを含むべし。耳に弱変を聞きて、心に弱変の淵に沈むなかれ、ただ、心に買いを含むべし。強変を見、聞くとも人に語ることなかれ、言えば人の心迷わす。これ三猿の秘密なり」

株価の動きに眼を奪われないこと、周りのニュースにとらわれず超然としていること。そして、相場について語らない。本当に相場を知っている人は、その怖さを嫌というほど知っている。だから、得意になって相場を語るようなことをしないものです。

● 禅問答のテキスト、無門関に「非風非幡」という話がでています。それを読んで本間宗久は相場の極意、「三位の伝」を悟ったといいます。

「非風非幡」というのはこんな話です。ある日、風で寺の幡(はた)がそよいでいた。それを見て、ある僧は『幡が動いている』と言い、他は『風が動いている』と言い、二人は言い争いを始めました。二人は慧能禅師のもとに答えを聞きに行きます。禅師は『幡が動くのでもない、風が動くのでもない。動いているのはお前たちの心なのだ』と説いたといいます。

相場を動かすのは風(需給関係)だけでも幡(実体価値)だけでもない。それに心理が加わり三位が一体となって動いているのです。

● そしてこんな格言もあります。

「金のなる木は水では生きぬ、汗をやらねば枯れてゆく」
投資をするにも少しは勉強や自律心が必要です。しかし、本当の経済的自立は、投資だけで実現するものではなく、汗水たらしてまじめに働くことで可能となるのです。

さまざまな相場格言

2008年11月20日 13:00 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

さまざまな投資スタイル

2008年11月 5日 14:23

● 投資にはさまざまなスタイルがあります。近年、運用の世界では投資スタイルを特化する傾向が強まっています。つまり、何でもできますというデパート型のスタイルから、私の得意とするスタイルはこれですという専門店型の運用が主流になりつつあるのです。さまざまな投資スタイルは大きく分けると四つに分けられます。大型株・小型株という分類と、資産株・成長株という分類の組み合わせです。しばしば、この分類は「スタイルボックス」などとも呼ばれます。

● 何をもって大型か、小型かを判断するかというと、時価総額を使います。時価総額とは、現在発行されている株式数と株価を掛けたもの、つまり、いまの株価で発行されているすべての株式を買い付けたらいくらかかるかという指標です。言い換えれば、株式市場が判断したその企業の価値であるといえます。この数値の大きい銘柄が大型株、小さい銘柄が小型株です。

● 資産株・成長株という分類は銘柄を選択するとき何に注目するかと関係しています。資産株というのは、バリュー株とも呼ばれますが、その会社が保有している資産と比べて株価が割安であると判断される銘柄を言います。一方、成長株、あるいはグロース株というのは、現在の資産の額よりも将来に向けての成長性に魅力がある銘柄です。どちらのアプローチが良いかというのは一概には言えません。むしろ、投資をする方がどちらのアプローチを得意とするかという方が正しいと思います。

● 事実、投資の達人たちはほとんど明確なスタイルを持っています。元祖、証券アナリストといわれるベンジャミン・グレアムが提唱したアプローチが資産株投資の源流です。徹底的なバランス・シート分析によりその企業の価値を分析する手法で、市場の動きや成長性は見ず、ひたすら株価が企業価値を大幅に下回る銘柄を買おうというスタイルです。

● これに対してフィリップ・フィッシャーは成長株投資の父とも呼べる人です。彼は、何十年も成長を続ける企業を見つけるノウハウを15項目の条件にまとめました。そこでは経営陣の優秀さ、営業力や高度な技術などが重視されています。フィデリティーのマジェラン・ファンドの運用者として一世を風靡したピーター・リンチも成長株投資の流れを受け継ぐ人です。

● 同じ成長株でも、ある人は大型成長株に、ある人は小型成長株に特化をしたりしています。資産株でも同じことです。これらの四つのスタイルは典型的な分類ですが、それぞれの強みを活かしつつ、独自のスタイルを打ち立てている達人もたくさんいます。有名なウォレン・バフェットは資産価値を基本におきつつ成長性も加味して独自のスタイルを作り上げています。ジョン・テンプルトン卿も、どちらかと言えば資産株派ですが、視野を世界に広げ、元祖グローバル投資のグルともいわれる人となりました。

● 資産株か、成長株かというのはファンダメンタル分析の応用方法の違いです。一方、ファンダメンタル面はあまり重視せずに、株価の動きに基づいて投資の判断するテクニカル分析もあります。また、クォンツ運用という計量モデルによる投資手法もあります。人間の判断はモデルを構築する過程でのみ使い、いったんモデルができたら後はモデルの指示に従って運用する。この手法の最大のメリットは人間の感情による判断のブレを排除できるところにあります。最後にインデックス運用はパッシブ(受け身)運用とも呼ばれ、市場と同じパフォーマンスを安いコストで得ようという手法で、年金などでは幅広く用いられています。いずれにしても、どのよう運用をするかはそれぞれの人の持つ特性に依存しています。一刀流と二刀流のどちらが強いかという議論ではなく、どちらにしろその道を極めた人は強いというのが真実なのだろうと思います。

さまざまな投資スタイル

2008年11月 5日 14:23 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

株価チャートをどう見るか

2008年10月20日 15:07

● 株式投資を始めたい、そのためには何か勉強をしたい、そういう方がまず、勉強するのが株価チャートの見方です。チャートは「罫線」と呼ばれることもあります。チャートは、まったく無益だとは思いませんが、長期投資に際してはあくまで補助的な手段だと私は思っています。株式市場を相手にするのに株価を見ていても仕方がない。株価を動かす背景を知る必要があるのです。しかも、株価は誰でも手に入る情報です。そのような情報をもとに取引をしてみてもほとんど収益の機会はないと考えるべきです。

● 世の中には優秀なチャーティストとか、テクニカル・アナリストと呼ばれる人たちがいます。しかし、それらの人たちは本当に命をすり減らすようにして分析をし、株価の背後に潜む要因を把握しようとしています。とてもシロウトの方が本を読んで勉強できるようなレベルのものではないのです。繰り返しますが普通の投資家がチャートを過信して投資に用いるのは意味がありません。

● そのような前提で少しだけチャートの見方を説明しましょう。株価チャートでもっとも有名なのが「ローソク足」です。新聞などでよく目に触れるのがこれです。白と黒の太い棒の上下に細い線がでているのが普通です。一日にしろ、一週間にしろ、一か月にしろ株価の動きは四つの数値で把握できます。つまり、始まりの値段(始値)、終わりの値段(終値)、そしてその期間のなかの高値と安値です。終値が始値より高いときは、その期間に株価が上昇したことになります。このような時には白い太線を描きます。逆に始値の方が終値よりも高いなら、値下がりしたことになり黒い太線を書きます。この太線を実体と呼びます。太い線の上下にでている細い線はその日の高値と安値を示します。この細い線はヒゲと呼ばれています。こうしてある期間の動きが一本のチャートで表されます。

● この白い線と黒い線の組み合わせによって色々な名前がつけられ、今後の株価の動きを暗示するとする説があります。少なくとも私の体験ではこれらで株価の今後を判断するのは非常に難しい。色々なバリエーションが多すぎて、あとからみると何となく説明がつくような気がするのですが、実際にある局面で今後がどうなるのかはわからないのです。

● その中でちょっと参考になるのは、ヒゲの長さです。たとえば、ある一日の動きで一度、大きく売り込まれても反発して終わることがあります。このような時は下向きのヒゲ(下ヒゲ)が長く伸びるのです。これは、安くなったら買いたいと思う人がたくさんいることを意味しています。反対に上向きのヒゲ(上ヒゲ)が長いときは値段が上がったら売りたい人がたくさんいることがわかります。これは実際に発注をする際、知っておいてもよいことだと思います。

● もうひとつチャートで役立つのは移動平均線と呼ばれるものです。移動平均というのは過去の株価の平均値です。普通、短期、中期、長期があり、短期は25日、中期は100日、長期は200日などがよく使われます。例えば200日移動平均線は毎日、直前200日の株価の平均を描いたものです。

● 短い移動平均線がより長い移動平均線を下から切り上げるときを「ゴールデン・クロス」、反対に上から切り下げるときを「デッド・クロス」と呼び、相場の転機を示唆すると考えられています。

● 長期の線が長い間、横ばいを続け、次第に少しずつ上昇に向かうとき、そんなときは自分は気づいていないでも何か変化が起こっているのかも知れません。すべての銘柄のファンダメンタル分析をするのはあまりに大変です。そこで、チャートブックなどで長期的な移動平均線が長い底ばい状態からじりじり上がりだしているような銘柄を見つけだし、それらのファンダメンタル分析をしてみるのは有効かもしれません。

株価チャートをどう見るか

2008年10月20日 15:07 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

新聞のマーケット総合欄の見かた

2008年10月 5日 16:43

●株式指数の他にも株式市場には大切な指標がたくさんあります。今回は日本経済新聞のマーケット総合欄および証券欄などに掲載されている注目すべき指数について解説します。

●まず、朝刊です。マーケット総合1のページの主要指標にはさまざまな株式指数がでています。これらについては前回、説明しました。売買高・売買代金・騰落銘柄数は目を通す価値があります。まず、売買高は取引の量を株数で示したものです。また、売買代金は取引量を金額で表示しています。これらの数字が大きいほど、活況であり、さらに増えれば過熱しているということになります。また、極端に取引が細れば、人気が離散している証拠でもあります。長期投資のタイミングを見るのであればやはり売買高や売買代金の少ないときに少しずつ仕込む戦略が良いだろうと思います。

●騰落銘柄数も役に立つ指標です。本当に市場が強いときは幅広い銘柄が値上がりします。一部の値嵩株(値段の高い株式)が値上がりして日経平均が上昇しても、騰落銘柄数を見ると値下りしている銘柄が多かったりすることがあります。そんなときはあまり実体は強くないと考えられます。また、大商い10銘柄占有率も参考になります。これはその日の取引量トップ10が全体の売買高に占める比率です。この数値が高いほど、少数の銘柄が市場をリードしているといえます。どんな銘柄が売買代金で上位をしめたかは、同じページのStock Rankingで知ることができます。

●市場全体の純資産倍率(PBR)、株価収益率(PER)や平均配当利回りもこのページで見ることができます。これらは毎日、見る必要もなく、月に一回ぐらいか、あるいは市場は激変したときにでもチェックしておけばいいだろうと思います。

●マーケット総合2の主要指標の欄には為替レート、金利などがでています。為替ではドルとユーロの対円レートは見ておいた方がよいでしょう。短期金融市場では、コール・レート(無担保、翌日物)とCD三ヶ月もの、債券市場では新発10年国債の利回りをみておきましょう。

●証券欄には個別銘柄の株価がずらりと書かれています。それぞれの銘柄につき、その日の最初についた値段(始値)、高値、安値、そして最後の値段(終値)、終値の前日比、そして売買高がでています。売買高はその銘柄の活況度を表すのは市場全体の場合と同じです。銘柄名の前にA~Kまで文字がでていますが、これは売買単位を示します。例えばAは100株単位。無印は1000株単位です。また、「・」の印がついている銘柄は信用取引の対象銘柄です。

●毎週土曜日の日経に週間株式というページがあります。ここに週間株式指標という欄があります。このなかで株価指数の移動平均を調べることができます。例えば25日移動平均であれば、過去25日間の株価の平均です。一般的には25日、100日、200日などが重視されています。また、騰落レシオもここで見ることができます。普通は25日の移動平均値を見ます。これは過去25日間の値上り銘柄数合計を同期間の値下り銘柄数合計で割った比率で、一般に70割れは安値圏、130越えは高値圏などといわれています。

●日経夕刊のマーケット総合は海外市場の動向を把握するためのデータが満載です。ここで世界各地の市場指数、海外での為替レート、金利、商品価格と指数などを調べることができます。あまり、最初から欲張らずいくつかの指標を自分で選んで週に一回、数値を拾いノートに記録しておくと新聞記事を読む上でも役に立つことが多いものです。

◆◇◆◇岡本和久のマーケット・アドバイス◆◇◆◇

マーケットが大波乱です。これまで経済規模の成長を超えておカネの量がどんどん増えてきました。過剰流動性のもとで、レバレッジ、流動性の少ない市場への投資、信用度の低い証券への投資、証券化証券などが幅をきかせてきました。しかし、2006年ごろを境に、新興国でのインフラ投資などが盛んになり、おカネが実物経済に流れ始めました。また、アメリカの住宅バブルの崩壊が起こりました。このトンネルの先にあるのは、これまでのようにおカネの量によって株価が上がるのではなく、利益の成長によって株価が上がる展開です。つまり、金融相場から業績相場への移行なのです。そして、このように相場性格が大きく変化するときには、普通、大きな下げがあるのです。長期投資とは、煎じつめれば時々、発生する暴落に耐えるということに他なりません。ここはドンと腹を据えてこのマーケットからしっかりと長期投資を学んでください。

新聞のマーケット総合欄の見かた

2008年10月 5日 16:43 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

株価指数のいろいろ

2008年9月20日 14:34

●株式市場では色々な銘柄が上場され、毎日、さまざまな値段がついています。それらを全体として把握して、市場が上 がったか、下がったかを判断するためにあるのが株価指数です。このような指数が今日のような形で最初にできたのは1896年にチャールス・ダウ等が始めた ダウ平均12種だと言われています。これが進化して現在のダウ工業株30種となっています。ちなみに、当時、この指数に採用され現在も残っているのはGE のみです。

●株価指数には大きく二種類あります。ひとつが株価の平均をとったものです。こ のタイプで一番有名なのが日経平均です。日本経済新聞が選択した代表的225社の株価の平均値をとったものです。ただ、単純な平均ではなく、特殊な場合に は修正を加えます。例えば、株価が上がり過ぎると一般投資家が取引しにくくなるので、株式を分割して、値段を下げることがあります。この場合は、株価は下 がりますが、それは評価が下がって値下がりしたわけではないので、このような場合には平均を計算する際にその修正をするのです。日経平均は一番、投資家に もなじみがあり、普通、「今日は株式市場が300円高だ」などというときはこの指標を指しています。注意が必要なのは、この指数は単純な株価の平均なの で、値段の高い株価の動きに影響されやすいということです。

●ちょっとおもしろい話を紹介 しましょう。戦後、日本で株式市場が再開されたのが1949年の5月16日でしたが、この日の日経平均は176円でした。一方で、ニューヨークのダウ工業 株平均も四捨五入すると176ドルだったのです。その後、日経平均は1989年末に38915円の史上最高値をつけます。そのときのニューヨーク・ダウは 2732ドルでした。これからもいかに日本の株価値上がりがすごいものだったかよくわかります。しかし、バブル崩壊を経て、現在、両者の水準がほぼ似たよ うなものになっている。これもまた、ちょっと感慨を覚えますね。

●さて、もうひとつの株価 指数のタイプに、時価総額加重の指数があります。時価総額というのは、株価×株数、つまり、現在の株価で上場されているすべての株式を買ったらいくらかか るかという数値です。いいかえれば、時価総額とは、その企業が株式市場でいくらの価値を付けられているかを示すものです。このタイプの指数は、その評価が 高い銘柄ほど大きなウェートを付けて指数を計算するのです。逆に評価の低い株式は小さなウェートになります。つまり、市場での評価の高い企業の株価の変動 に大きな影響を受ける指数だと言えます。この代表例は東証株価指数(TOPIX)です。人気の点では、日経平均に一歩、譲りますが、株式市場の本当の動き を知るにはこちらの方が適しています。したがって、私はインデックス投信やETFなどもできるだけTOPIX連動のものをお勧めしています。

● 日経平均や東証株価指数以外にも日本にはたくさんの株価指数が算出されています。例えば、東証二部の株価の動きを示す東証二部市場指数、マザーズ指数、日 経ジャスダック平均、JQ指数、東証REIT指数などです。また、東証一部のなかを大型株、中型株、小型株に分けてそれぞれを指数化したり、産業別に指数 が計算されたりしています。これらは日本経済新聞などに掲載されていますので、興味があればご覧になってみてください。

● 海外の株式市場にはそれぞれ独自の指数があります。アメリカでは工業に従事する主要30社の株価で構成されるダウ工業株30種平均、アメリカの主要500 企業の株価を表すS&P500指数、小型株の動きを示すNASDAQ(ナスダック)指数などがあります。また、イギリスではFTSE100、ドイ ツではDAX、フランスではCACなどが市場の動きを示す際に使われています。ただ、これらはそれぞれ、地元で決められているものなので、市場間の比較を する上で一貫性があるとは言えません。

●一方、世界中の市場を同一の基準で算出している指 数もあります。一番、有名なのがモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)の指数です。これは時価総額加重の指数で、世界中の多 くの機関投資家に指標として使われています。国ごとだけでなく、地域ごと、業種ごとの指数もありますし、現地通貨ベース、ドルベースなども用意されていま す。先進国市場については23の市場が対象となっており、先進国市場全体を表す指標がMSCI World指数です。また、日本以外の先進国市場を示すMSCI Kokusaiという指数もあります。また、新興国25か国の株価を示すMSCI Emerging Markets指数、さらにそれよりももっと小さい市場を対象としたMSCI Frontier Markets指数もあります。先進国と新興国を合体したものがMSCI All Country World Index (ACWI)と呼ばれる指数で、これが世界全体の株式市場の動向をほぼ表すもの指標であると考えられています。。

株価指数のいろいろ

2008年9月20日 14:34 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

株式を売買するには

2008年9月 5日 12:54

● 株式投資を全然したことがない方が、株式を売買する際には色々と不安が付きまとうものです。まず、株式投資をするには証券会社に口座を開設しなければなりません(取引所に言っても株式は売買できません!)。手続きは証券会社に行けば丁寧に教えてくれます。「株式委託注文書」が渡されますので、それに住所、氏名、電話番号など、必要事項を書込み捺印すればいいのです。

● 株式を売買するときには、まず、銘柄を特定します。日本の株式には四桁の数字のコード番号がふられています。これは会社情報や、会社四季報ですぐに確認できます。この番号を知っておくと間違いがなく確実に希望する銘柄の売買ができます。次に必要なのは「買い」か、「売り」かの区別、そして株数。これらは言うまでもありません。

● 株価の注文の出し方には「成行き」と「指値(さしね)」などがあります。成行きというのは、そのときの値段で売買するという意味です。また、指値は値段を指定する売買の方法です。成行きですと、普通は必ず売買ができますが、値段がいくらになるかわからないという問題があります。一方、指値の場合は値段は確定できますが、市場価格がかけ離れてしまうと売買できない可能性もあります。さらに、取引開始前に寄付きの値段で注文をだしたり、取引終了前に大引値で注文を出したりもできます。取引が成立することを「約定(やくじょう)」といいます。

● 売買の後に決済が続きます。売買が成立すると、証券会社から有価証券売買報告書が送られてきます。ここに売買手数料を含めた約定金額が記載されています。普通は、約定日を含めて四営業日に受渡が行なわれます。手数料は、手数料率の自由化とオンライン証券の登場でかなり各社ごとに異なります。従来の対面型の証券会社は、「ちょっとパソコンで注文を出すのが不安」という方向きですが、その分、コストは割高です。オンライン証券は割安ですが、その分、人間のサポートがあまりなく、パソコンとのやり取りになります。

● 株式を買い付けた後の保管形式には、証券会社が預かってくれる「保護預かり方式」と、口座の振り替えだけで株券の移動を不要とする「保管振り替え決済制度」の方式があります。どちらのケースでも証券会社が株主名簿に購入者の氏名を記入する手続きをしてくれます。

● 保管振替決済制度というのは、株券などの有価証券を、顧客の承諾を得て、証券保管振替機構(ほふり)に集中保管し、売買に伴う受渡しを帳簿上の記帳で行なう制度です。これにより保管と受渡が、簡易化・円滑化でし、株券のペーパーレス化も可能となりました。2004年6月に「株券不発行制度」を導入するための法改正が行なわれ、2009年1月から、「株券不発行制度」に移行する予定です。ほふりに預託されている株券はそのまま、新しい振替制度に移行します。ほふりに預託していなくても、株主名簿の名義が本人になっていれば権利を失うことはありません。しかし、株券が手元にあり、株主名簿の書き換えをしないまま、2009年1月を迎えると権利を失う恐れがあるので注意が必要です。

株式を売買するには

2008年9月 5日 12:54 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

株式売買の実際

2008年8月20日 10:29

証券取引所は、毎年、1月4日から12月30日までの平日(土日、祝祭日を除く日)開いています。毎日の取引時間は午前が9時から11時まで、午後 が12時30分から15時までです。午前の取引を前場、午後の取引を後場といいます。前場の最初の取引値段は始値とか、寄付(よりつき)、前場の最後の値 段を前引け値、後場の最初の値段を後場寄付、後場の最後の値段を終値とか、大引(おおびけ)と呼びます。1月4日は大発会、12月30日は大納会と言われ 取引は前場のみです。

取引所で行なわれる取引は、普通、二つの原則に基づいて行なわれます。第一が、価格優先の原則。これは買う側から見れ ば高い値段の注文から執行してゆく、売る側から見れば安い値段の注文から執行してゆくというルールです。第二が、時間優先の原則です。同じ値段でたくさん の注文がでている場合には、発注時間の早い方を優先するというルールです。このようにして決められる取引を「ザラバ方式」といいます。

この例外として、前場の始まる9時までに出された注文は、すべて9時に出されたものとして寄付値段が決められます。これを「板寄せ方式」といいます。これは特定の銘柄に大量の注文が殺到したときに、売買を一時中断して、値段を付ける場合にも用いられる方法です。

株 価は1日にいくらでも変動できるわけではなく、値幅制限があります。例えば500円以上、1000円未満の株式では値幅制限は100円です。1000円以 上、1500円未満であれば200円です。これらは日本経済新聞の株価欄にも記載されています。値幅制限いっぱいに上昇した場合を「ストップ高」、下落し た場合を「ストップ安」と呼びます。市場が過熱するなど、特別の場合には、売買停止、値幅制限の縮小、後に述べる信用取引の規制などの規制処置がとられる こともあります。

売買をする際には単位が決まっています。売買単位は単元株とも呼ばれ、多くの銘柄で1000株です。日本経済新聞の株価欄の銘柄の左にAと書いてあれば100株単位、Bなら1株単位、Cなら10株単位などです。また、無印は1000株単位です。

持っ ている現金で株式を購入したり、保有している株式を売るのを現物取引といいます。株式市場ではこれとは別に信用取引と呼ばれる手法があります。証券会社が お客に信用を提供し(おカネを貸して)有価証券の売買を行なうのが信用買いです。反対に株式を持っていないのに売りたいという人に株式を貸す信用売りもあ ります。信用買いでも信用売りでも原則、6ヶ月以内に反対売買をして取引を完結します。

信用取引を行なうには委託保証金が必要です。信用取 引の損失が大きくなると、委託保証金の追加が求められることもあり、これは追い証と呼ばれます。証券会社が必要なときに株券や資金を借りることができる組 織として日証金などの証券金融会社があります。信用取引は投機性も高く、長期投資目的には適していません。このような世界もあるのだという程度の理解で十 分でしょう。

株式売買の実際

2008年8月20日 10:29 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

証券市場のプレイヤーたち

2008年8月 5日 15:36

証券市場の主なプレイヤーとしては、証券会社など、取引の仲介をする業者と、金融機関、法人、投資信託、外国人、個人などの投資家がいます。そのなかでも証券会社の役割には大きなものがあります。大きく分けてその業務には(1)委託売買業務、(2)引受け業務、(3)募集・売出し業務、(4)自己売買業務の四つがあります。委託売買業務は、投資家の売買を受けて、その注文を発注する業務です。その対価として証券会社は委託売買手数料を得ます。みなさんが株式の注文を証券会社に出すと取られる手数料がこれです。株式や債券などの発行に際して、これを引受けて投資家に販売するのが引受け業務、公募増資を引受けた証券会社が投資家に販売するのが募集・売出し業務です。そして、自己売買というのは証券会社が自分の勘定で証券売買を行なう業務です。

2008年5月現在、日本には証券会社が321社あり、そのうちの126社が取引所の会員となっています。また、2008年6月時点で約10万3000人の人が証券会社で働いています。最近は従来のような対面型の証券会社から、インターネットによる取引に特化したオンライン証券が増えています。これらの口座数は2008年6月時点で1100万口座を超えてきています。オンライン証券は、委託手数料が安いのが特徴ですが、ちょっとした相談ができない、インターネットで取引をすることが不安という方も多く、従来の対面型の証券会社が好まれるケースも、まだまだ多いようです。

投資家は大きく分ければ法人と個人に分けられます。株式に投資する個人投資家の数は戦後、50年から65年にかけ上昇し、その後、企業間の株式持合いが進み、80年代の後半まで1500万~2000万の間を推移していましたが、90年代以降、再び上昇に転じ、2007年の時点で4000万人に近づいています。しかし、個人株主が保有する株式の比率を見ると1970年の37.7%をピークとして下落、昨年で18.2%となっています。

保有比率は金融機関、事業法人などが大きな比重をしめていますが、両者とも80年代の後半をピークとして、現在はそれぞれ、30%、20%程度になっています。これに反して急増しているのが外人投資家です。バブルのピーク近くでは外人保有比率は5%以下だったものが、1999年には18.6%に達しました。そこで2002年まで少し足踏みしましたが、現在は27~28%の水準となっています。

この傾向は売買に占めるシェアにも如実に表れています。2007年を見ると委託売買に占める外国人のシェアは53%となっています。つまり、30%以下の保有比率の外人が半分以上の売買をしたことになります。特に本年の初めにはこのシェアが7割を超えたこともあり市場の注目を浴びました。グローバルな視点で日本のマーケットを見ている外人投資家が日本株に注目するのは喜ばしいことではありますが、反面、日本人の投資家の間に、外人動向を注目しすぎる傾向もでています。もっと、主体的に日本の投資家としての立場から自らの価値観で投資をしてもらいたいものだと思います。


訂正 - 前回のメルマガ、「証券取引所」に関する記載のうち、上から三つ目のパラグラフにある、「中国の時価総額が日本より大きい」との記載は、以下のように訂正させていただきます。

「興味深いのはBRICsなどの新興国です。これらの諸国は経済成長を反映して、1994年にBRICs全部を合計しても1%程度だったのが、現在は、ブラジルが2.4%、ロシアが2.3%、インドが2.3%、中国が7.1%となっています。さらに香港が1.6%ありますから、香港も含めた中国の方が日本より大きいことになりますが、中国の場合、国有企業が多く、政府がかなりの株式を保有していることが指摘されています。」

証券市場のプレイヤーたち

2008年8月 5日 15:36 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

証券取引所

2008年7月20日 16:25

日本には東京、大阪、名古屋、札幌、福岡に証券取引所があります。このうち東京、大阪、名古屋には大企業の株式取引をする1部市場と、中堅企業の株 式取引をする2部市場があります。さらに、ベンチャー企業などのための市場が用意されていて、東京にはマザーズ、大阪には新市場部とヘラクレス、名古屋に はセントレックスなどがあります。また、これらの取引所とは別にジャスダック(JASDAQ)市場があり、成長企業の株式が多く取引されています。普通の 投資家が株式を売買する場合はほとんど市場内取引ですが、大口投資家同士の相対売買や端株取引などは市場外で取引されることがあります。

証 券取引所では株式のみでなく、債券、新株予約権付社債などが取引されています。多くの投資家からの売買を取引所に集中させることによって、公正な価格形成 が可能となります。取引所を売買代金のシェアーで見ると東京証券取引所(東証)が圧倒的で9割程度を占めています。ちなみに東証1部の2007年の売買代 金は735兆円、2008年の1~6月の合計は315兆円です。現在、約1700銘柄が上場されていて、株価と株数を掛け合わせて合計した時価総額は約 400兆円となっています。

日本のなかでは圧倒的に大きな東証ですが、世界の株式市場の時価総額シェアを日興シティグループのデータでみる と、2008年2月現在、世界最大の市場はアメリカで32.2%を占めています。これに対し日本は8.6%、イギリスは6.8%、フランスが4.6%、ド イツが3.5%です。また、カナダが3.6%、オーストラリアが2.4%となっています。興味深いのはBRICsなどの新興国です。これらの諸国は経済成 長を反映して、1994年にBRICs全部を合計しても1%程度だったのが、現在は、ブラジルが2.4%、ロシアが2.3%、インドが2.3%、中国が 7.1%となっています。さらに香港が1.6%ありますから、香港も含めた中国の方が日本より大きいことになりますが、中国の場合、国有企業が多く、政府 がかなりの株式を保有していることが指摘されています。実際に流通している株式を対象に考えるとこの数値は少し膨らみすぎた感があります。

証 券取引所はそれぞれ上場を認める際の基準をもうけています。東証1部を例にとると上場株数が10万単位以上、少数特定株主が80%以下、設立後経過年数が 3年以上で、上場時価総額が500億円以上、株主資本10億円以上、さらに利益額などの厳しい基準があります。この基準をパスした企業の株式が市場で自由 に売買されている訳です。日本には実際に活動している法人が162万社あるといわれますが、そのうち上場企業は4000社のみです。多くの投資家が安心し て売買できるに足る企業として高い基準を満たしているのがこれらの企業です。当然、基準を満たさなくなれば上場が廃止されることになります。西武鉄道、カ ネボウ、ライブドア(東証マザーズ)などが上場廃止になったのは記憶に新しいところです。

証券取引所

2008年7月20日 16:25 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

発行市場と流通市場

2008年7月 5日 10:37

これから、何回かに分けて株式投資を実際に行うためにどうしても知っておくべき証券市場の知識について書きたいと思います。まず、証券市場には発行 市場と流通市場という二つがあります。証券市場の役割は、長期安定資金の調達の場を提供することにあります。銀行の役割は基本的に短期資金を貸し付けるこ とにあります。資金を長期的に必要とする人のためにあるのが証券市場です。

証券市場は大きく分ければ株式市場と債券市場に分かれます。株式 を保有するということは、その企業のオーナーとなること、債券を保有するということは、その企業の債権者になるということです。株式であっても債券であっ ても、証券市場には発行市場と流通市場の二つがあります。発行市場というのは、発行者が新しい株式や債券を発行して、資金を調達する場です。

株 式を例にとって話しましょう。最初は少数の個人や企業が出資していた零細企業もだんだん大きくなると、設備投資などのために長期的な資金が必要となってき ます。そこでもっとたくさんの人にオーナーになってもらい、新規の資金をだしてもらおうと考えます。証券会社が間に入り、投資家の需要などを予測して発行 者にとっても投資家にとっても魅力のある株価を判断し、その価格で新しい株式が募集されます。まさに証券会社の腕が問われる作業です。これが発行市場で す。

いったんオーナーになった株主も将来、おカネが必要になることがあります。そこで、自分の持っている株式を他の人に転売できれば、比較 的気楽に株主になることができます。また、株式が発行されたのちに買いたいと思う人もでてくるでしょう。そのようなことができれば株式の発行もしやすくな ります。それが流通市場です。資金調達をより円滑に行うために、流通市場で売買ができるようにすることを株式の「公開」といいます。そして、最初の公開を 「イニシャル・パブリック・オファリング(IPO)」と呼びます。また、取引所で取引できるようにすることを「上場(じょうじょう)」と言います。

流 通市場では毎日、たくさんの株式を買いたい人と売りたい人が、それぞれの注文を持ち寄り売買をしています。それぞれの投資家が、適正だと判断する値段で注 文をだし、売りたい人と買いたい人の注文がうまく出会えば売買が執行されます。その取引を行う場所が証券取引所で、たくさんの注文を持ち寄っているのが証 券会社です。取引所に株式が上場されると、多くの投資家が売ったり買ったりすることになります。それだけに企業は大きな責任を負います。取引所も上場を認 めるために厳しい要件を定めていますし、企業も適時に正しい情報を開示する責任を負います。そして、投資家もふくめすべての人がフェアな取引ができるため のルールを守ることが義務付けられています。

発行市場と流通市場

2008年7月 5日 10:37 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

イスラム金融

2008年6月20日 11:53

最近、SWF(国富ファンド)が欧米や日本の株式や不動産を大量に買い付けたりしていることが報じられています。特に石油収入で潤っている中東諸国からの投資が焦点になっています。そこで「イスラム金融」が注目されています。

「イスラム金融」というのはひと口に言えば「イスラムの教義にあった金融」という意味です。そのイスラムの教義というのは人の生き方を示すものです。イスラム教のコーランでは、利息が禁じられていますし、豚肉、アルコール、とばく、武器生産、ポルノも禁じられています。このことから、イスラム金融では「金利という概念を用いない」、「金融取引がイスラムの教えに反するものに関わっているものは排除する」という原則が守られています。イスラム金融サービスを提供する金融機関は、「シャリア諮問委員会」を設置して、そこで取引の適否が決められます。オイルマネーの膨張で当然、イスラム金融の存在感はこれからも高まっていくことになるだろうと思います。

コーランには以下のように書かれているそうです(「イスラム金融」吉田悦章著、東洋経済新報社より)。
「アッラーは商売はお許しになった、だが利息取りは禁じ給うた」(275節)
「アッラーは(最後の審判の日には)利息の儲けをあとかたもなく消して、施し物には沢山利子をつけて返してくださる」(276節)

つまり、ただ単に、おカネがおカネを生むのは許さないが、神様への感謝を込めてお供えしたものに対しては大きな利子をつけて返してくださるというわけです。私はこれを読んで、日本の大昔にあったという「利稲(りとう)」という考え方を思い出しました。毎年、稲の収穫があると、神様への感謝を込めて収穫の一部をお供えする。これが利稲と呼ばれたのです。そして、それが翌年の収穫増大のもとになったのです。利子という言葉もこの利稲からきているとか。それが徐々に、神様の代理人として権力者が、年貢として徴収するようになったのです。そして、現在は税金。どうも最近の税金の使われ方を見ていると利稲の根本に戻って欲しいものだと思わざるを得ません。

日本には物心一如というすばらしい言葉があります。つまり、おカネも含めてモノと心はひとつのものであるということです。例えば、稲作をするときにも、自分のつくった美味しいお米を味わってもらいたいという気持ちを込める。お客にお茶を出すときも「どうぞごゆっくり」という心を込めてだす。おカネと共に人々の心が循環するようになったらいいなあと思います。

イスラム金融というと多くの日本人にとって遠い国の異教徒の話だと思いがちですが、おカネに心を込めるという視点で考えてみるとずっと身近に感じられます。

イスラム金融

2008年6月20日 11:53 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

マルキール氏の「中国投資のすすめ」

2008年6月 5日 15:07

世界71か国から1850名のチャータード・ファイナンシャル・アナリスト(CFA)が集まりCFA協会の年次総会がカナダのバンクーバーで開催さ れました。さまざまな興味深い講演がありましたが、今回は「ウォール街のランダム・ウォーカー」で名高いバートン・マルキール氏の話を紹介します。テーマ は「中国成長を取り込む投資戦略」というものでした。1820年には中国は世界の三分の一を占める最大の経済大国でした。それが産業革命に乗り遅れ、列強 支配の餌食となり、屈辱の時代を過ごしたわけです。しかし、ここにきて明らかに復活してきている。購買力平価をベースにした計算では中国のGDPは世界 シェア1割にまで達しています。社会主義体制であるだけに必要な政策がどんどん実施できるというメリットがあるとのこと。

マルキール氏は中国株に投資をする場合、安全なのは香港およびニューヨークに上場されている中国株を買うことであると言っていました。高度成長の国の通貨は必ず高くなるので、為替の面での妙味も大きいと指摘していました。

もうひとつの投資機会は中国のビジネス拡大でメリットを受けている企業の株式を買うということです。例えば、いま、ルイヴィトンの最大の売上国は中 国なのだそうです。数年前まではまったくなかったマーケットが突然、出現してそれが最大の市場になったというのだからすごいことです。おそらくこれと類似 した企業はたくさんあることでしょう。

マルキール氏によれば香港やニューヨークに上場された中国株と、中国市場でメリットを受けている企業を合わせて持つのが最も安全な中国成長を享受す るための投資戦略であるとのご宣託でした。私も中国は大きな投資チャンスがあると思っています。同時に、それは相当、長期投資の覚悟があり、時として大き な上げ下げに耐えて持ち続けるガッツのある人に向いた投資であると付け加えておきたいと思います。

マルキール氏の「中国投資のすすめ」

2008年6月 5日 15:07 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

体験的情報化の変遷(4)

2008年5月20日 10:41

株価を提供することでビジネスがもらえる時代は過ぎ去りました。ニュースやマーケットコメントもいくらでも情報が行きわたるようになりました。結局、公開 された情報をどのように解釈するのか、どのように判断するのかということが求められるようになったのです。1984年、11年間の海外生活を終え、東京に 戻り情報部というところで仕事を始めました。ちょうど80年代のバブルが始まりつつありました。私のいた兜町も異様な雰囲気でした。東京で驚いたのは業界 誌などの記者がどんどん仕事場に入ってくることでした。レポートを書いていると「何、書いてるんですか?」、「あ、それ他社でもいま、書いていますよ」と いう具合で情報が市場で渦巻いている。中には「○○証券は来週、○○株を取り上げる決定をしたようだ」などという情報もいつも流れていました。当時は誰で も簡単にオフィスに入ってくることができたのです。セキュリティが厳しくなりだしたのは、バブル崩壊後だったと思います。それまで自由に出入りしていた人 たちからはずい分、反発もあったようです。

バブルも終わりに近づいた1989年の夏、私は資金証券部という部門に転勤になりました。株式市場があまりに加熱しているので、少し、金利や為替の 市場に自分を置いてみたいと希望したのが聞き入れられたものです。為替のディーリングなどもしました、しかし、これは本当に難しい。とにかく銘柄が少ない 上、みんなが同じ情報を見ている。上司から「がんばってくれよ」と言われても、何をどう頑張ればよいのかわからない。経済指標を的確に予測したとしても、 あるときは、「素直に反応し」、またあるときは、「材料出尽くし」で逆に動いたりする。フツフツとした毎日が続いていました。そんなとき、アメリカの投資 顧問会社が日本に進出するのでそれを手つだってくれないかという話が舞い込んできました。

さっそく、その会社に行き会長と面談をしました。私の悩みなどを率直に述べたのですが、それに対する彼の答えはきわめて明瞭でした。情報化がどんど ん進めば為替市場で起こっていることがすべての市場で起こるようになる。株式バブルが崩壊したのもそれが原因なのだ。これからは、情報化という現実に即し た運用の手法が求められている。「その手法がこの会社にはある!」と直感的に感じました。そして、それから15年。日本の法人は年金運用革命の一翼を担う ことができ、年金運用でトップの投資顧問会社にまでなることができました。年金運用革命はまさに情報化時代に対応した、「運用合理化革命」だったのです。

2005年、私は、個人投資家に合理的な資産運用の方法を提供したいという思いでいまの会社を設立しました。このメルマガが配信される5月20日、 I-Oウェルス・アドバイザーズは三周年目を迎えます。まだまだ、目標にはほど遠いですが、日本の個人投資家が、新しい情報化の時代に適した長期的な資産 運用ができるようにサポートしていきたいと思っています。これまで、温かいご支援をいただいたことを感謝するとともに、これからもよろしくお願いいたしま す。

体験的情報化の変遷(4)

2008年5月20日 10:41 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

体験的情報化の変遷(3)

2008年5月 5日 11:51

「株価情報はもういらないよ」とアメリカの機関投資家のお客に言われてショックを受けたのですが、それでも、そのころはマーケットの概況や主なニュースについては早朝に電話をすると聞いてくれました。特に、薬品関係やハイテク関係のニュースなど、短時間で英語の単語を調べて相手に伝えるのは大変でしたが、英語の勉強にはずいぶんなりました。しかし、それもまた、ある時、「いらないよ」ということになってしまいました。日本のマーケットの詳しい状況や、主なニュースが英語でロイターズなどで即座に見ることができるようになったのです。そのお客からは、「これからはニュースはいらない。そのニュースをどう評価するか、君の意見が聞きたい」と言われました。

株価を伝えるという仕事は結構、メリットがあったのです。なぜなら、相手がどんな銘柄に興味があるかわかるからです。しかし、それがなくなってしまったわけです。そこで、「これからはあなたの興味のありそうな銘柄についてきちんと分析をしてあげるから、銘柄リストを教えてくれ」と話し、ついにそのリストをもらいました。全部で50銘柄ぐらいあったと思います。

ちょうど私はそのころアメリカの証券アナリスト資格、CFAの勉強をしていました。そこで、それらの銘柄をCFA受験プログラムで教えているような方法で分析しお客に提供しはじめたのです。それは私にとってもCFA受験勉強にもなったのです。銘柄数も多く、50銘柄を半期ごとに、しかも、連結と単体の両方の数値をアレンジしなおして分析したので、ほとんど週末はすべてその作業につぶれてしまう状態でした。しかし、このサービスは非常に喜ばれました。日本の株式をアメリカ流の手法で分析するというのは当時、あまり行われていなかったのです。アメリカのアナリスト連中とも、日本株の話をするときにようやく、「共通の言語」で話ができるようになりました。

毎日、毎日、数字を見て、それを加工していると、だんだん、数字が物語を語ってくれるようになります。時系列の財務比率などをみていると「あれ?」と思う数値がある。その原因を探っていくとまた別の要因が見つかる。こうして数字から、その企業で何が起こっているかを感じ取ることができるようになったと思います。

年に何回かは、お客と日本を訪問して企業を直接訪問しました。財務指標をさんざん見て、その背景を自分なりに類推しているので、面談によりそれを確認することができるのです。工場など生産現場もよく見せてもらいました。工場での製品の流れの速さが前回、見たときと比べて遅くなっている。そのような時は、経営陣がどんな強気の発言をしてもちょっと注意が必要です。また、受付の態度や、会社全体の雰囲気など数値では得られない貴重な情報を得ることができました。

その後、1984年に東京に転勤になり、情報部という投資戦略を策定する部門でチーフ・アナリスト兼ストラテジストという仕事につきました。私の担当した部門の仲間に私の手法を教え、組織としてきちんとしたレポートを発行するようになったのです。ちょうどバブルが始まりかけていた1980年代の中頃でした。

体験的情報化の変遷(3)

2008年5月 5日 11:51 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

体験的情報化の変遷(2)

2008年4月20日 11:42

1973年にブラジルのサンパウロに転勤になりました。赴任してすぐオイルショックが起こり、仕事もないまま、ブラブラしていたら1975年にニューヨー クへ転勤になりました。大きなニューヨークのオフィスには空席がたくさんありました。話を聞くと、最近まですべての机に人が座っていたというのです。 1964年にケネディ大統領が利子平衡税を導入し、アメリカ人が海外投資をするときには税金がかかるようにしました。それが1974年に撤廃になります。 「さあ、これからは大量のアメリカの資金が日本に投資される」というので証券各社はニューヨーク拠点を大幅拡充します。

しかし、1973年の秋に起こった第一次オイルショックの効果が日本経済を蝕み始め、とても日本に投資をできる状態ではなくなってしまった。しか も、1975年の5月1日にアメリカの株式売買手数料の完全自由化が行なわれます。これは「メイ・デイ」と呼ばれる出来事なのですが、この結果、多くのリ サーチ・ブティーク型証券会社が苦境に陥りました。そんな事情もあり、ウォール街は暗~い雰囲気でした。そんな中に、ブラジルでボーっとしていた私が行っ たのです。

ニューヨークでの若手の朝の仕事は、東京から送られてくる長い、長いテレックスを適当な長さに切り、貼り合わせ株価シートを作ることです。そして、 それを大量にコピーをとる。そうするとメッセンジャーがアメリカの証券各社にそれをデリバリーするのです。つまり、アメリカの証券会社も日本の株価は持っ ていなかったのです。これが結構、大変な作業でした。ちょっと遅れると上司から怒られる。他社の株価シートの方が早く届くと注文がそっちに行ってしまうの です。まさに体力勝負の世界でした。

私が社会にでたのと相前後して、日経QUICKという便利なものが開発されました。いままでは短波放送を聴くより仕方なかった株価がすぐにわかる情 報端末、まさに夢の機械でした。まず、東京で導入され、黒板や値紙は姿を消しました。当初は、ニューヨークでは導入されていなかったので、東京で QUICKの端末をたたいて調べた株価をテレックスで打っていました。そのうち、ニューヨーク店にもQUICKが入ります。アメリカの証券会社にもそれが 普及し、だんだん株価シート作りは不要となってきました。

証券会社は別として、まだまだ、アメリカの機関投資家は日本の株価情報を必要としていました。私は担当しているお客から興味を持っている株価のリス トをもらい、7時前に会社に行き、株価をQUICKで調べ、朝、7時にお客に電話で報告をしました。これでお客が基本的に興味を持っている銘柄がわかった し、しかも、毎日、必ず話を聞いてくれる。マーケットの概況や主なニュースを大急ぎで英語に直し、電話で株価とともに伝えたのです。ところが、ついに、 「あ、もう、株価はいらないよ」と言われてしまう日が来ました。

体験的情報化の変遷(2)

2008年4月20日 11:42 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

体験的情報化の変遷(1)

2008年4月 5日 11:42

新年度に入りました。桜が満開!毎年のことながら良いものですね。1971年4月1日、私の証券人生が始まりました。早いものでもう37年間、証券市場で 勉強させてもらいました。ちなみに入社式を終えたときの日経平均は2421円でした。先輩から「この数字を覚えておくといいよ」と言われたのが懐かしく思 い出されます。これまでの証券人生を振り返ってみると「情報化」がどんどん進んでい言った時期だったといえます。おカネと情報は経済という車の両輪です。 これから四回にわたって私の証券人生で体験した情報化について書きたいと思います。

当時、証券会社の店頭にはおおきな黒板がありました。もちろん、いまのような株価ボードなどはありません。短波放送で流される株価をイヤホンで聴き ながら専門の人が黒板に株価を書き込んでいきます。上昇は赤、下落は青です。あの早口の株価放送を聴きながらどんどん書き込んでゆくのです。それはすごい 技術でした。もちろんクイックやロイターズ、ブルームバーグなどない時代。普通の人が株価を知るのは証券会社の店頭でこの黒板を見るしかなかったのです。 でも、いまの情報端末で見る以上の迫力を感じたものです。

私の配属となった国際部は黒板がありませんでした。その代り値紙(ねがみ)という銘柄名が印刷された大きな紙があり、やはり短波放送を聴きながら女 性が青鉛筆と赤鉛筆で株価を書き込んでいくのです。入社した年の8月15日、ニクソン・ショックが起こりました。アメリカ大統領のニクソンがドルと金の交 換を停止したのです。戦後続いてきたブレトンウッズ体制に終止符が打たれ、それから為替市場はいよいよ変動制に移行したのです。そのとき、値紙全面が真っ 青になったのを昨日のことのように覚えています。上司から、「こういうことはめったにないからよく覚えておくのだよ」と言われました。

国際部の通信はテレックスがほとんどでした。国際電話は高い。いまのように株価情報端末もありません。ファックスもなく、Eメールはもちろん存在し ません。とにかく各部にようやく電卓(と、いってもかなり大きかった)が一台ずつ普及し始めていたころです。多くの人はそろばんで計算をしていた時代で す。テレックスというのは、こちらがキーボードを打つと相手方で同じ文字がでる機械です。テレックス室がありそこにテレックスがたくさん並んでいました。 テレックスには相手方のベルを鳴らすボタンがあります。朝、取引が始まるとそれが一斉に鳴り出すのです。そうすると若手はテレックスのところに駆けつけ る。文字が流れてきます。「HITACHI NO YORITSUKI IKURA?(日立の寄り付きいくら?)」そうするとその若手は値紙のところにダッシュして株価をみます。それからテレックスに取って返して 「HITACHI YORITSUKI 300 YEN(日立寄り付き200円)」などと返事を打つのです。そうすると海外店はその情報を現地の業者に伝え注文をもらう。早く寄り付き情報を伝えたところ が注文をもらえた。そんな時代がずいぶん続きました。

体験的情報化の変遷(1)

2008年4月 5日 11:42 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

ハイリスク・ハイリターン

2008年3月20日 11:40

「この世の終りがくるという予言は株を売る理由にはならない」

これはアメリカの著名なポートフォリオ・マネジャー、ピーター・リンチの言葉です。

株式も為替もマーケットが大荒れですね。まさにこのように暴落したり、暴騰したりするのをリスクというのです。現実にすでに投資をしている方なら、 ハラハラ、ヒヤヒヤ、ドキドキしても当然です。「リスクは不確実性」などと頭では分かっていても、実際に自分にそれが降りかかってきたとき、その意味する ところの重みがよくわかることだろうと思います。そして、このハラハラ、ヒヤヒヤ、ドキドキを耐え抜いた人だけが長期投資のすばらしい果実を得ることがで きる。ハイリスク・ハイリターンとひと口にいうのは簡単ですが、それほど、生易しいものではありません。

それではリスクに耐えるにはどうしたらよいか。答えは、自分で学び、自分で確信を持ち、自分で行動を取るということしかありません。人の話を無条件 で受け入れたり、マーケットの動きにつられたりするのではなく、自分の価値観で判断し、行動をすることが唯一、相場変動のリスクに耐える方法です。

この世の終りがくるという予言は株を売る理由にはならない。そして、株価は、まるでこの世の終りが本当に来るかのように思えるときにボトムをつける のです。長期投資は耐久レース。それはリスクとの戦い。リスクの恐怖に耐え抜けた人だけが大きな成果を得ることができるのです。

「上がったらよし、下がってもよしの株価かな」

日本一の個人投資家と言われる竹田和平さんの言葉です。これぐらい達観していないと本当の長期投資家にはなかなかなれないのです。

ハイリスク・ハイリターン

2008年3月20日 11:40 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

業界の構図を知ろう

2008年3月 5日 11:41

投資をするにはおカネがかかります。おカネを増やすための投資におカネがかかるのですから、この「水漏れ」を小さくすることは投資成功のカギともい えます。典型的なのは株式売買をするときに証券会社に支払う委託売買手数料。これは証券会社の大きな収入源です。一般に取引金額に対するパーセントが決 まっていてその金額を徴収されます。問題は、証券会社は投資家が儲けようが、損しようが関係なくこの収益を上げることができるということです。とにかく売 り買いさえ頻繁にしてくれればそれでうれしいのです。そこのところを良く理解して証券会社と付き合うと、いままで気づかなかったことがわかるようになった りします。

投資信託も同様です。従来、投信会社は証券会社や銀行の系列会社として設立されてきました。多くの場合、これまで、系列の投信会社が作った投信をグ ループの頂点にある銀行や証券会社が販売をしてきました。つまり、投信会社は販売会社の影響下にあったのです。投信会社の収入は運用している純資産残高の 一定の比率です。したがって、残高が増えないと企業としてやっていけません。では、残高を増やすためには何が必要か。グループの親分に少しでもたくさん 売ってもらわなければなりません。当然、「親分、何を作ったら売っていただけるでしょうか」と聞きに行きます。親分は、「そうだなあ、他社で○○の投信を 出してずいぶん売れているようだ。お前のところもやってみたらどうだ」という話になる。そして、その投信が出来上がると販売が始まる。投信会社もハッピー です。

販売会社は販売した投信の信託報酬の一部をもらいます。同時に多くの場合、販売手数料を取ります。ですから、理想的には投信の残高は高い方が良い が、一方で常に新しい投信に乗り換えてもらうとありがたいのです。新しい投信をだしたとします。幸いに基準価格が上昇します。そうすると、「このあたりで とりあえず利益確定してはどうでしょうか、新しいよさそうな商品もありますから」という話になります。不幸にして基準価格が下がってしまったとします。 「前回のは残念でした。ちょっと予想外の展開でしたね。このまま持っていてもいいのですが、こちらの新しい商品に乗り換えてみてはどうでしょうか。その方 が効率が良いのではないかと思います」などとセールストークをします。

この構図を見ると、なぜ、業界が次から次に同じような投信をだしてくるのかわかります。最近はこの構図もずいぶん改善しています。系列外の商品を販 売する販社も増え、販売手数料のないノーロード型の投信も増えました。そして、何より販社に販売を頼らず、自分で売るという独立系の直販投信がではじめま した。これはとても良いことで歓迎すべきことです。

投資を考える際に、誰がどこで、どうやって儲けているかというメカニズムを理解することは極めて重要なことです。

業界の構図を知ろう

2008年3月 5日 11:41 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

俳句と投資

2008年2月20日 11:36

2月10日に俳人の合谷美智子さんと「『不易流行』は俳句のこころ、投資のこころ」というコラボレーション・セミナーを行ないました。「不易流行」 というのは、松尾芭蕉の言葉として有名です。彼は「不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず」と述べています。つまり、不易、変らな いものに基盤を置いて、流れ行くものに新しさを求める。長期投資においても同じことが言えます。

長期投資の不易というのは、マーケットの原理原則です。例えば、リターンとリスクの間のトレードオフの関係とか、リスクをコントロールする手法が分 散投資や長期投資であるとか、また、アセット・アロケーションがパフォーマンスのほとんどを決めると言った原則。これらはどのようなマーケット環境にあっ ても常に真実です。マーケットは常に変動して止みません。しかし、その表面の変化のみを追い求めていても投資はうまくいかない。「不易の原則」に基礎を置 き、常に変動するマーケットと対峙する、これが長期投資のこころです。その意味で松雄芭蕉の言葉はまさに投資の核心を突いているといえます。

合谷さんのお話でとても面白かったのが「句座」についてでした。みんなで持ち寄った句を互選するわけですが、初心者は初心者の句を選びがちである。 経験の長い人ほど同じように経験の長い人の句を選ぶというのです。合谷さんはそれでよいのだといっています。つまり、それぞれの感性ですなおに良いと思う ものを選べばよいというわけです。

イギリスの経済学者、ジョン・メイナード・ケインズは、株式市場を美人投票に例えました。彼は、「玄人の投資は、投票者が100枚の写真の中から最 も容貌の美しい人を6人選び、その選択が投票者全体の平均的な好みに最も近かった者に賞金が与えられる」という新聞投票に見立てることができるとしていま す。つまり、自分の価値観で銘柄を選ぶのではなく、大多数の人々がどのような行動をとるかを推測することが必要だとしているのです。

句座の例で言えば、自分がどの句を好きかではなく、みんながどの句を選ぶかが重要だということです。でも、これを株式市場ですると株価を追い掛け回 す短期投資家のスタンスになってしまいます。長期投資は違います。やはり、自分の好きな企業でなければとても長期には保有できるものではありません。不易 流行にしても、句座のあり方にしても、俳句に学ぶことは多いものだと思いました。

俳句と投資

2008年2月20日 11:36 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

曲がり角を曲がった投資環境

2008年2月 5日 11:39

過剰流動性は、経済の規模をはるかに上回る資金が供給されたときに発生します。単純化して話すと、経済の規模が100から110に成長したとしま しょう。そのときに流通している資金量が100から150に増えていれば40は過剰流動性だと言えます。すべての資金はリターンを求めます。しかし、預貯 金の利子も、債券の金利も、株式の配当金と内部留保も元をただせば企業の収益なのです。企業の収益はまさに経済活動。経済活動を大きく上回るおカネが世の 中にあふれ出したとしたらどうなるでしょう。

当然、リターンの源泉の増え方よりも、おカネの量の方が増えているのですから、おカネの収益率は低下していきます。これが昨年までの過剰流動性時代 の特徴でした。このような環境のなかで、あり余る資金は何とか高いリターンをだそうと悪戦苦闘しました。まず、レバレッジと呼ばれる借金をして自己資金の 何倍もの投資をする手法が横行しました。また、市場性の低い新興国や、商品市場に大量の資金が投じられました。売り買いの少ないなかで資金が入ってくるの で当然、値段は上がります。上がるからまた買う、買うから上がる。典型的なバブルの循環が形成されました。また、質の高い証券はリターンが低いので、質を 落として高いリターンを求めることも行われました。それでもおカネの量は増える。どんどん新しい投資対象が必要です。そこで、屋上屋を重ねるような証券化 証券がどんどん組成されました。

こんな循環が21世紀に入ったころから加速してきましたが、昨年、遂に曲がり角を曲がったように思います。サブプライム問題は「見えざる手」なので しょう。直接的にはアメリカの消費と景気を減速させ、その結果、経常収支赤字の改善などにつながります。アメリカの経常収支赤字が減るということは他の国 に流れていた資金が減少するということです。また、サブプライム・ローンを証券化した証券を保有していたヘッジファンドなど、まだまだ、波乱があることで しょう。また、証券化証券への投資による損失で資本が毀損してしまった金融機関は貸し渋り、貸しはがしを行わざるをえなくなるでしょう。また、モノライン と呼ばれる金融商品の保険会社の格付けが急落しており、これらの企業が保証していたすべての債券にもその余波が広がりつつあります。

いつも相場性格が大きく変わるときには一度、暴落があるものです。今回もそうでしょう。大切なことはすでに新しい時代に入っているのだということを よく認識することです。ある意味、過剰流動性という暴れ者が影をひそめまともな投資が主流になる動きなのではないかと思います。

曲がり角を曲がった投資環境

2008年2月 5日 11:39 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

悲観のなかで・・・

2008年1月20日 11:34

ウォール街の有名な格言に以下のようなものがあります。

「強気相場は、悲観のなかで生まれ、懐疑のなかで育ち、楽観のなかで成熟し、熱狂のなかで消えてゆく」
(Bull markets are born on pessimism, grow on skepticism, mature on optimism, and die on euphoria.)

投資家心理は万国共通のようです。そして、いまも昔も変らないようです。江戸時代の米相場の格言に

野も山もみな一面に弱気なら、阿呆になりて米を買うべし(三猿金泉秘録)

というのがあります。これも「米」を「株」に代えれば現代でも通用します。

強気相場は、あたり一面、弱気の投資家ばかりのときに始まります。少しずつ上昇し始めても、「どうせすぐにまた下がるよ」と思う人がたくさんいる。 そのなかで育っていくのです。そのうち、だんだん楽観論者が増えてきて、なぜ、いま、強気なのかを見事に説明してくれる人がどんどん増えます。そして、熱 狂的な上昇局面を迎えます。いままで警戒的だった人も、「エイ、ヤッ!」とばかりに飛びつきます。そして、最も弱気だった人が買い、すべての買い余力が出 尽くし、相場はピークを迎えるのです。だから、本当に相場を知っている人は「野も山もみな一面に弱気」になるのを待っているのです。でも、それを実行でき るには「阿呆にならなければ」できないと言っている。含蓄が深いですね。

株式市場は最大多数の人にとって不都合なことが起こる場所です。つまり、みんなが上がって欲しいと思うときは下がる。下がって欲しいと思うときは上 がる。相場とは天邪鬼なのです。それもそのはず。みんなが上がって欲しいときは、みんながすでに株式を保有しているときです。つまり、新しい買い手があま りいないのです。みんなが下がって欲しいと思うとき、それは下がってきたら買いたいと待ち構えている人がたくさんいるということです。逆に言えば、その時 点では株式を持っている人が少ない。だから売りもあまりない。したがって、下がらないというわけです。良く考えれば当たり前のことですが、結構、大切な真 理です。

さて、みなさんはいまのマーケット、どう思いますか?

悲観のなかで・・・

2008年1月20日 11:34 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

2007年のパフォーマンス・ランキング

2008年1月 5日 11:35

2007年は日本の市場にとってはあまり良い年ではありませんでした。と、言うより「日本の一人負け」の年でした。日経平均が-9%、TOPIXが -2%、JQ指数が-16%、MOTHERS指数に至っては-28%です。前半、好調だったREIT指数も結局、年間では-6%と言った具合です。

他の先進国市場も上昇はしましたが、それほど高いパフォーマンスではありません。アメリカではダウ工業株が6%、S&P500が4%、 NASDAQが10%上昇しました。イギリス株は4%、フランス株は1%、パフォーマンスの良かったのはオーストラリアの14%、ドイツの22%ぐらいな ものです。

一方、新興国は好調を持続しました。中国(上海)株が97%、インド株が47%、ブラジル株が44%、ロシア株が19%と言った具合です。

新興国株式よりももっと上昇したのが商品価格です。原油は57%(以下、ドルベース)、金が32%、CRB食品指数は22%、CRB指数が17%。 面白いのは日本の東京工業取引所指数(円建、TOCOM指数)が28%も上昇していることです。それにもかかわらず日本の消費者物価指数は前年比ほぼ横ば いを続けています。前にも指摘しましたが、何かおかしい・・・。

それでは最も上昇した指数はなんでしょうか?それは海運市況(バルチック指数)の108%でした。世界的に素材や製品のグローバルな移動が活発化し、不定期船への需要が増大しているのが原因です。

まとめて言うと、海運も含めて商品指数と新興国の株価が高謄した。一方、先進国はサブプライム・ローンの問題が影を落としイマイチのパフォーマンス に終わった。日本についてはサブプライム・ローンの問題に加えて、政治のリーダーシップに対する不信感と改革路線が揺らいでいる印象を与えた点がマイナス になったのではないかと思います。

年末、新聞に値上り・値下り銘柄の一覧が掲載されますね。よく、前の年の値下り銘柄のトップ数社を年初に買っておくとその年のパフォーマンスが良い などといいます。その方式で言えば、2008年は日本やアメリカなどの株式が期待できることになります。さて、どうなりますか。乞ご期待ですね。

2007年のパフォーマンス・ランキング

2008年1月 5日 11:35 岡本和久 | きほんのき| コメント(0)

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